夜泣きに一人で対応し続けていて、隣や別室で夫がぐっすり眠っていて起きないことにイライラしたことはありませんか。
何度こどもが泣いても起きない状態が続くと、不公平感や孤独感が募るものです。
夫が起きない理由について疑問を感じている方もいるでしょう。
夜泣き対応を一人で担う状況は、多くの保護者が直面する悩みです。
本記事では、対処法と気持ちの整理方法について、詳しく解説します。
夜泣きで夫が起きない時の解決法とは?
夜泣きで夫が起きない時の解決法は、事前の話し合いによる役割分担の明確化と、交代制やアラームなどの具体的な仕組み作りです。
最も重要なのは、出産前または産後早期に、しっかりと話し合うことです。夜泣きが始まってから、睡眠不足でイライラしている状態で話し合うと、喧嘩になりがちです。できるだけ冷静な時に、育児の分担について話し合いましょう。
具体的な役割分担を決めることが重要です。「できる時に手伝って」では曖昧すぎて実行されません。「平日の夜は私、週末は交代」「前半は私、後半はあなた」など、明確なルールを決めます。視覚化するために、カレンダーに担当日を書き込むことも効果的です。曜日で交代する方法では、月・水・金は妻、火・木・土は夫、日曜日は交代というように分けます。時間で交代する方法では、夜中0時までは妻、それ以降は夫というように分けます。
母乳育児の場合でも、工夫次第で交代制は可能です。搾乳した母乳を哺乳瓶に入れておけば、夫でも授乳できます。また、授乳以外の対応(おむつ交換、抱っこ、あやすなど)を夫が担当することもできます。交代制を導入する際は、「お互いの休息が大切」という認識を共有します。一方が休む日は、もう一方が完全に対応する。中途半端に両方が起きると、両方が睡眠不足になります。
夫を起こす具体的な方法も考えておきます。優しく声をかけるだけでは起きない場合、肩を揺する、明かりをつける、名前を大きな声で呼ぶなど、確実に起きる方法を見つけます。また、前もって「起こしてほしい時は、遠慮なく起こして」と許可を得ておくことも重要です。「悪いから起こせない」という遠慮が、一人で抱え込む原因になります。
テクノロジーの活用も有効です。夫のスマートフォンにアラームをセットし、夜泣きの時間帯に鳴るようにします。複数のアラームを設定することで、確実に起きられるようにします。育児アプリの中には、夫婦で育児記録を共有できるものがあります。夜泣きの記録をつけることで、「妻がこんなに頑張っている」と可視化され、夫の意識が変わることもあります。ベビーモニターを夫の枕元に置くことも一つの方法です。
話し合う際は、「起きない」ことが意図的ではない可能性を理解した上で、「だからこそ仕組みが必要」という話をします。「聞こえないなら、起こしてほしい」「一人で対応するのがつらい」と、自分の気持ちを率直に伝えます。非難するのではなく、協力を求める姿勢が大切です。
つまり、曖昧な期待ではなく、具体的なルールと仕組みを作ることが、最も効果的な解決法です。
では、なぜ夫は起きないのか、その理由を理解することも対処法を考える上で役立ちます。
夫が起きない理由を理解する
こどもの夜泣きで夫が起きない理由を知ることで、適切な対処法を選べるようになります。
生理的な睡眠の深さには個人差があります。人によって、音に対する感度が異なります。泣き声で目が覚めやすい人もいれば、かなり大きな音でも目が覚めない人もいます。これは、脳の覚醒閾値の違いによるもので、個人の体質です。意図的に起きないのではなく、本当に聞こえていない、または認識できていない場合があります。
男性と女性では、睡眠のパターンに違いがあることも研究で示されています。特に産後の母親は、赤ちゃんの泣き声に対して敏感になるホルモン変化があります。母乳育児をしている場合、プロラクチンというホルモンの影響で、赤ちゃんの泣き声に反応しやすくなります。一方、父親にはこのようなホルモン変化がないため、同じ泣き声でも覚醒しにくいことがあります。
育児への認識の違いも大きな要因です。母親は妊娠期間を通じて、少しずつ親になる準備をしています。お腹の中でこどもを感じ、出産を経験し、産後すぐから授乳や世話をすることで、強い責任感が芽生えます。一方、父親は出産の瞬間から急に親になるため、実感が湧くまでに時間がかかることがあります。
また、「夜泣き対応は母親の役割」という無意識の思い込みが、社会的に根強く残っていることも影響します。本人は気づいていなくても、そのような考えが無意識にあると、泣き声を聞いても「妻が対応するだろう」と思い、深く眠り続けてしまいます。
日中の疲労も関係します。仕事で疲れている、体力的に限界だという場合、深い眠りに入ってしまい、起きられないこともあります。ただし、これは妻も同じで、育児や家事で疲れているにもかかわらず夜泣きに対応している点を忘れてはいけません。
このように、理由は複数ありますが、理由があるからといって一人で対応し続けることが正当化されるわけではありません。理由を理解した上で、適切な対処法を選ぶことが大切です。
そして、一人で対応することへの不満は、正当な感情です。
一人で対応することへのイライラは正常な感情
一人で夜泣き対応を続けることにイライラするのは、極めて正常で当然の感情です。
不公平感が生まれる理由は明確です。同じ親なのに、一方だけが睡眠を削って対応し、もう一方は朝までぐっすり眠っている。この状況が不公平でないはずがありません。「なぜ私だけが」という思いは、当然の感情です。特に、夫が翌日「よく眠れた」などと言おうものなら、怒りが爆発しそうになることもあるでしょう。
睡眠不足による感情の高ぶりも大きな要因です。人間は睡眠不足になると、感情のコントロールが難しくなります。些細なことでもイライラしやすくなり、普段なら気にならないことも許せなくなります。夫のいびきが聞こえるだけで、「こっちは起きているのに」と腹が立つのは、睡眠不足の影響です。これは、性格が悪いからではなく、脳が正常に機能していない状態なのです。
一人で抱え込む孤独感も、つらさを増幅させます。夜中に一人でこどもをあやしている時、世界中で自分だけが苦しんでいるような孤独を感じることがあります。隣で夫が眠っていると、その孤独感はさらに強くなります。「私の苦しみは誰にも理解されない」「誰も助けてくれない」という思いが、心を押しつぶします。
さらに、夫への失望や不信感も生まれます。「この人は父親としての責任感がないのか」「こどものことを本当に愛しているのか」と疑問を持つこともあるでしょう。妊娠中や出産前には「一緒に育児をしよう」と言っていたのに、実際には何もしないことへの裏切られた気持ちもあります。
自分を責める必要はまったくありません。「イライラする自分はダメだ」「夫を恨んではいけない」と思う必要はありません。イライラすることも、夫に怒りを感じることも、人間として当然の反応です。むしろ、それらの感情を抑え込む方が不健康です。感情を認め、適切に表現することが大切です。
このような感情は、多くの母親が経験しています。あなただけではありません。
しかし、それでも起きない、または協力が得られない場合もあります。
どうしても夜泣きで夫が起きない場合の現実的な対処法
起きてもらえない場合でも、他の形でサポートを求めることができます。
他の形でのサポートを求めることは、現実的な解決策です。夜は起きられなくても、日中の育児や家事を多く担当してもらうことはできます。「夜は私が対応するから、朝の準備はあなたがして」「週末の午前中は、あなたがこどもを見て、私は休ませて」など、別の形での協力を提案します。
週末や休日の担当を明確にすることも効果的です。平日の夜は仕事があるから起きられないとしても、週末なら対応できるはずです。「土曜日の夜は完全にあなたの担当」と決めることで、妻は週に一度、安心して眠れる日ができます。この一日があるだけで、心身の回復が大きく違います。
家事の分担で負担軽減を図ることも重要です。夜泣き対応で睡眠不足になっているなら、日中の家事を夫が多く担当するべきです。料理、洗濯、掃除などを分担し、妻の負担を減らします。「夜泣き対応をしているから、家事はできない」と割り切ることも必要です。
外部サポートの活用も検討しましょう。夫が協力的でない場合、実家の両親や義両親に助けを求めることも一つの方法です。週に一度、数時間でも預けて休めれば、心身が回復します。また、家事代行サービスやベビーシッターなど、有料のサービスも選択肢です。経済的に可能であれば、自分の健康への投資だと考えましょう。
ファミリーサポートや一時保育も活用できます。「まだ小さいから」「仕事していないから」と遠慮する必要はありません。保護者のリフレッシュのための一時保育は、正当な利用目的です。数時間でもこどもから離れて、自分の時間を持つことができれば、心が回復します。
夫婦カウンセリングを受けることも有効です。第三者を交えて話し合うことで、お互いの気持ちを理解し、解決策を見つけられることがあります。「夫婦の問題」として向き合うことで、夫の意識が変わることもあります。
最終的に、どうしても協力が得られない場合は、自分の心身の健康を最優先に考えることが大切です。完璧な育児を目指すのではなく、自分が生き延びることを最優先にします。
そして、夜泣きに対して一人で対応する時の気持ちの整理も必要です。
一人で夜泣き対応を担う時の気持ちの整理方法
夫に夜泣き対応への協力が得られない状況でも、自分自身の心を守ることが大切です。
感情を吐き出す場を持つことは、非常に重要です。信頼できる友人や家族に話を聞いてもらいましょう。夫への不満、つらさ、孤独感、すべて正直に話します。共感してもらえるだけで、心が軽くなります。同じ経験をした人に話すと、「わかる」と言ってもらえて救われます。
SNSや育児コミュニティで、匿名で気持ちを吐き出すことも有効です。「夜泣き対応を一人でしている」「夫が起きない」という悩みは、多くの母親が共有しています。「自分だけじゃない」と思えることは、大きな支えになります。他の保護者の工夫やアドバイスも参考になります。
完璧を目指さないことも大切です。夜泣き対応で疲れているなら、日中の家事は最低限で構いません。洗濯物が畳まれていなくても、床が少し汚れていても、死ぬわけではありません。こどもの安全と自分の健康が最優先です。「家事をサボっている」と罪悪感を感じる必要はありません。
自分を労る時間を作ることも必要です。こどもを預けて、少しでも自分のための時間を持ちましょう。美容院に行く、カフェでゆっくりする、好きな映画を見るなど、自分を大切にすることは、育児を続けるための必要なエネルギーです。「育児中にそんな贅沢は」と思わず、自分への投資だと考えましょう。
期限があることを知ることも、心の支えになります。夜泣きは永遠には続きません。必ず終わりが来ます。今は永遠に感じるかもしれませんが、1年後、2年後には笑って話せる日が来ます。「今だけ」と思えると、少し楽になります。
また、自分を責めないことも重要です。「夫に優しくできない」「イライラしてしまう」と自分を責める必要はありません。睡眠不足で、一人で育児を担っているのだから、イライラして当然です。完璧な妻、完璧な母親である必要はありません。人間として限界があることを認めましょう。
日記をつけることも効果的です。自分の感情を書き出すことで、頭の中が整理されます。後で読み返した時、「あの時は大変だったけど乗り越えた」と自信にもなります。
このように、気持ちを整理する方法を持つことで、つらい状況でも心を守ることができます。
そして、この問題は夫婦関係にも長期的な影響を及ぼすことを知っておくべきです。
夫が起きない問題が夫婦関係に及ぼす影響
一人での夜泣き対応は、夫婦関係に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
産後クライシスのリスクが高まります。産後クライシスとは、産後2年以内に夫婦関係が急激に悪化する現象です。原因の一つが、育児の負担の偏りです。妻が一人で育児を担い、夫が協力しない状況が続くと、妻の夫への愛情が急速に冷めていきます。「この人と結婚したのは間違いだった」「こどもの父親としてふさわしくない」と感じるようになります。
長期的な関係への影響も深刻です。産後の数年間に形成された不満や不信感は、その後の夫婦関係にも影を落とします。夜泣きが終わった後も、「あの時、一人で頑張った」という記憶は消えません。夫婦の間に溝ができ、修復が難しくなることもあります。何年も経ってから、「あの時のこと、まだ覚えている」と言われることもあります。
また、第二子以降を考える際にも影響します。「もう一度あの苦しみを経験したくない」「夫が協力しないなら、二人目は無理」と思うこともあるでしょう。家族計画にも大きく影響を及ぼします。
日常的なコミュニケーションも減少します。イライラが募ると、夫と話すのも嫌になります。必要最低限のことしか話さなくなり、夫婦の会話が減っていきます。この状態が続くと、お互いに関心を失い、形だけの夫婦になってしまうこともあります。
改善のためのコミュニケーションは、今からでも遅くありません。夜泣きが落ち着いた後でも、この問題について話し合うことが大切です。「あの時、一人で対応していてつらかった」と率直に伝えます。夫が気づいていないこともあるため、具体的に説明することが重要です。責めるのではなく、「今後はこうしてほしい」と建設的に話すことが大切です。
専門家への相談タイミングとしては、夫婦関係が修復不可能に感じる、離婚を考え始めた、日常的に喧嘩が絶えない、お互いに無関心になった、夫への愛情がまったく感じられなくなったなどの場合です。夫婦カウンセリングや家族療法を受けることで、関係を修復できることもあります。早めの相談が、関係修復の鍵です。
また、産後うつの症状がある場合は、精神科や心療内科を受診することも重要です。不眠、抑うつ、不安、意欲の低下、こどもを可愛いと思えないなどの症状があれば、早めに専門家に相談しましょう。産後うつは、適切な治療により改善します。
夫婦関係を守るためにも、早めに対処することが大切です。一人で抱え込まず、夫と話し合い、必要に応じて外部の助けを求めましょう。
夜泣きで夫が起きない問題は、多くの家庭が直面する課題です。完璧な解決策はないかもしれませんが、具体的な役割分担、交代制の導入、外部サポートの活用、そして自分自身のケアを組み合わせることで、状況を改善できます。
何より大切なのは、あなた自身の心身の健康です。一人で頑張りすぎず、助けを求め、自分を大切にしてください。夜泣きは必ず終わります。そして、この困難を適切に対処することで、より強い家族になれる可能性もあります。まずは小さな一歩から、できることを始めていきましょう。
監修

略歴
| 2017年 | 本田右志理事長より右脳記憶教育講座を指南、「JUNKK認定マスター講師」取得 |
|---|---|
| 2018年 | 幼児教室アップルキッズをリビングサロンとして開講 |
| 2020年 | 佐々木進学教室Tokiwaみらい内へ移転、「佐々木進学教室幼児部」として再スタート |
| 2025年 | 一般社団法人 日本右脳記憶教育協会(JUNKK)代表理事に就任 |



