1歳になって突然夜泣きが始まったり、頻度が増えたりして戸惑っている保護者の方もいらっしゃるでしょう。
この時期の夜泣きは、赤ちゃん期とは異なる原因で起こることが多いです。
歩き始めや保育園入園など、発達段階や環境変化が原因となっています。
同じ1歳でも前半と後半では、理由が大きく異なることもあります。
本記事では、発達段階別の理由と、月齢に応じた対策を詳しく解説します。
1歳の夜泣きの主な原因は?
1歳の夜泣きは、分離不安のピーク、運動発達による興奮と疲労、環境変化への適応が主な原因であり、心身の成長過程で起こる自然な現象です。
1歳という年齢は、乳児から幼児への大きな転換期にあたります。多くのこどもが、この時期につかまり立ちから伝い歩き、そして一人歩きへと進んでいきます。運動能力の飛躍的な発達により、行動範囲が広がり、見える世界が変わります。同時に、言葉の理解も進み、簡単な指示が分かるようになったり、「ママ」「パパ」などの単語を話し始めたりします。
この時期の最も大きな心理的特徴は、分離不安のピークを迎えることです。生後8〜9ヶ月頃から始まった分離不安は、1歳前後で最も強くなります。保護者の姿が見えなくなると激しく泣いたり、後追いが激しくなったりします。日中は保護者にべったりで、トイレに行くのも一緒についてくるという状態になることもあります。
この強い分離不安が、夜間の睡眠にも影響を及ぼします。寝る時に保護者と離れることへの不安、夜中に目が覚めた時に一人でいることへの恐怖が、夜泣きとして表れます。また、保育園に通い始めるこどもが多い時期でもあり、日中の分離体験が夜泣きの引き金になることもあります。
0歳の頃の夜泣きは、空腹や不快感などの生理的な理由が主でしたが、1歳の夜泣きは心理的・情緒的な要因が大きくなります。一方、2歳以降のイヤイヤ期とも異なり、まだ自我の主張よりも、保護者への依存と不安が中心です。
つまり、1歳の夜泣きは、身体的な成長と心の発達のバランスが取れていない過渡期に起こる現象だということです。
では、同じ1歳でも月齢によってどのような違いがあるのでしょうか。
1歳の月齢別夜泣き原因の違い
同じ1歳でも、前半と後半では発達段階が大きく異なり、夜泣きの原因にも違いが見られます。
1歳0〜6ヶ月の主な原因
1歳前半は、分離不安が最も強い時期です。保護者の姿が見えないだけで不安になり、激しく泣きます。夜中に目が覚めた時、真っ暗な部屋で一人でいることに恐怖を感じ、泣いて保護者を呼びます。
この時期は、つかまり立ちから伝い歩き、そして一人歩きへと移行する段階です。日中に新しい運動能力を獲得すると、脳が興奮状態になり、夜間もその興奮が残ります。歩けるようになった喜びと、まだ不安定な身体のコントロールとのギャップが、ストレスになることもあります。転んで痛い思いをした記憶が、夜になって蘇ることもあります。
また、1歳から1歳3ヶ月頃は、多くのこどもが保育園に入園する時期です。初めての集団生活、保護者との長時間の分離、新しい環境への適応など、大きなストレスがかかります。日中は頑張って乗り越えていても、夜間にその緊張が解け、不安が夜泣きとして表れます。入園後の1〜2ヶ月は、特に夜泣きが増えることが多いです。
言葉の理解は進んでいますが、まだ表現する語彙は限られています。「イヤ」「ママ」「パパ」など、数語から十数語程度です。自分の気持ちを十分に伝えられないもどかしさが、ストレスになります。不安や恐怖を言葉で表現できないため、泣くことでしか伝えられません。
歯の生え変わりも影響します。1歳前半は奥歯が生え始める時期で、歯茎の痛みや不快感が夜泣きの原因になることがあります。日中は遊びに夢中で気にならなくても、夜になると痛みを感じて泣くことがあります。
1歳7〜11ヶ月の主な原因
1歳後半になると、分離不安は徐々に落ち着いてくる子が増えます。しかし、まだ完全には消えておらず、環境の変化などをきっかけに再燃することがあります。
この時期は、歩行が安定し、走ったり、階段を登ったりできるようになってきます。活動範囲がさらに広がり、探索行動が活発になります。日中の活動量が大幅に増えるため、身体的な疲労が大きくなります。疲れすぎると、かえって眠りが浅くなり、夜泣きにつながることがあります。
言葉の発達も進み、二語文を話す子も出てきます。「ママ、いた」「ワンワン、いた」など、簡単な文で伝えられるようになります。しかし、まだ複雑な感情や抽象的な概念を言葉にすることは難しく、コミュニケーションの限界からストレスを感じることもあります。
自我の芽生えも見られ始めます。2歳のイヤイヤ期ほど激しくはありませんが、「自分でやりたい」という意欲が出てきます。靴を自分で履きたい、スプーンを自分で使いたいなど、自己主張が始まります。できないことへのフラストレーションが、夜泣きの一因になることもあります。
保育園生活にも慣れてきますが、新たな課題も出てきます。友達との関わりが増え、おもちゃの取り合いなどのトラブルも経験します。社会性を学ぶ過程でのストレスが、夜泣きとして現れることがあります。
また、この頃から断乳や卒乳を考える家庭も増えます。授乳は単なる栄養補給ではなく、こどもにとっての大きな安心材料です。それがなくなることへの不安や、新しい入眠方法への適応が、一時的に夜泣きを増やすことがあります。
このように、1歳前半と後半では、発達段階に応じて夜泣きの原因が変化していきます。
では、1歳特有の原因について、さらに詳しく見ていきましょう。
1歳特有の夜泣き原因を詳しく解説
1歳という年齢には、この時期ならではの夜泣きの原因が複数存在します。
分離不安のピークは、1歳の夜泣きの最も大きな原因です。この時期のこどもは、保護者が視界から消えると、「もう戻ってこないかもしれない」という不安を感じます。対象の永続性という概念がまだ完全には確立されておらず、見えないものは存在しないと感じる傾向があります。日中、保育園に預けられる経験をしていると、この不安はさらに強まります。朝の別れが辛く、泣きながら保護者を探す姿は、この時期の典型的な行動です。夜間、目が覚めた時に保護者が見えないと、同じ不安に襲われ、激しく泣いて呼びます。抱き上げられて保護者の顔を見ると安心し、すぐに泣き止むことが多いのも、この分離不安による夜泣きの特徴です。
歩行開始による興奮と疲労も大きな要因です。一人で歩けるようになることは、こどもにとって人生の大きなマイルストーンです。新しい視点から世界を見られる喜び、自分の足で好きなところへ行ける自由、これらは大きな興奮をもたらします。しかし同時に、まだバランス感覚が未熟なため、何度も転びます。転ぶことへの恐怖、痛みの記憶も蓄積されます。日中に歩き回って興奮と疲労が蓄積し、夜間の睡眠の質に影響します。疲れすぎると、かえって眠りが浅くなり、夜中に何度も目が覚めて泣くことがあります。また、夢の中で歩いている場面を見て、転ぶ感覚を思い出し、驚いて泣き出すこともあります。
断乳・卒乳の影響も見逃せません。1歳から1歳半頃に、授乳をやめる家庭が増えます。授乳は栄養補給だけでなく、こどもにとって最大の安心材料です。お腹が空いた時、不安な時、眠い時、すべての場面で授乳が解決策でした。それがなくなることは、大きな変化です。新しい方法で眠りにつく必要があり、その適応過程で夜泣きが増えることがあります。夜中に目が覚めた時、いつものように授乳で再び眠りにつくことができず、どうすればいいか分からずに泣いてしまいます。断乳・卒乳から数週間は、夜泣きが増えることを覚悟する必要があります。ただし、適切な対応をすれば、徐々に新しいリズムに慣れていきます。
保育園入園のストレスも、1歳児の夜泣きの大きな原因です。保育園という新しい環境、知らない大人やこども、長時間の保護者との分離、決められたスケジュール、これらすべてがこどもにとっては大きなストレスです。特に入園後の1〜2ヶ月は、適応に必要なエネルギーが膨大です。日中は一生懸命頑張っていても、夜になるとその緊張が解け、不安や疲れが夜泣きとして現れます。朝の別れが辛かった記憶、お迎えを待つ不安な時間、これらが夢に出てきて泣くこともあります。また、園でのお昼寝のタイミングや長さが、夜の睡眠に影響することもあります。園で長く昼寝をしすぎると、夜の寝つきが悪くなったり、夜中に目が覚めやすくなったりします。
言葉の理解と表現のギャップも、ストレスの源です。1歳児は、大人の言っていることをかなり理解できるようになります。「ご飯だよ」「お風呂に入ろう」「お片付けしようね」など、日常的な指示は理解できます。しかし、自分の気持ちを同じレベルで表現することはできません。語彙が限られているため、「お腹が空いた」「眠い」「痛い」などの基本的なニーズは伝えられても、「怖い夢を見た」「寂しい」「不安だ」といった複雑な感情は言葉にできません。この理解と表現のギャップが、大きなフラストレーションを生みます。伝えたいことが伝えられない、分かってもらえないという経験が重なると、ストレスが蓄積します。夜間、このストレスが解消されないまま残っていると、夜泣きとして表れることがあります。
このように、1歳特有の発達段階と生活環境が、複合的に夜泣きの原因となっているのです。
では、これらの原因をどのように見極めればよいのでしょうか。
1歳の夜泣き原因を見極めるポイント
原因を正しく見極めることで、適切な対処法を選ぶことができます。
泣き方の特徴から判断することは、重要な手がかりになります。分離不安による夜泣きの場合、「ママ」「パパ」と呼びながら泣くことが多いです。保護者の姿を見ると、すぐに泣き止んで抱きつこうとします。抱き上げられると安心し、数分で落ち着きます。一方、痛みや不快感が原因の場合は、抱き上げてもなかなか泣き止まず、身体のどこかを気にする仕草が見られます。耳を触る、歯茎を気にする、お腹を押さえるなどの行動があれば、身体的な不調を疑います。
日中の行動から読み取ることも大切です。保育園から帰ってきた後の様子を観察しましょう。いつもより甘えん坊になっている、後追いが激しい、些細なことで泣く、食欲がない、遊びに集中できないなどの変化があれば、園でのストレスが溜まっている可能性があります。また、新しい運動能力を獲得した直後(歩き始めた、走れるようになったなど)は、興奮による夜泣きが増えることがあります。日中に何度も転んだ日の夜は、特に夜泣きが起こりやすいです。
発達段階をチェックすることも役立ちます。運動面では、つかまり立ち、伝い歩き、一人歩き、どの段階にいるかを確認します。新しい段階に移行したばかりの時期は、夜泣きが増える傾向があります。言葉の面では、話せる単語の数、二語文が出ているかなどを確認します。言葉が急速に増えている時期も、脳の負荷が高く、夜泣きが増えることがあります。また、歯の生え方も確認しましょう。奥歯が生え始める時期は、痛みで夜泣きが増えます。
生活環境の変化を確認することも重要です。保育園への入園、断乳・卒乳、引っ越し、弟妹の誕生、保護者の仕事復帰など、大きな変化があった後は、夜泣きが増えることが予測されます。変化から数日後に夜泣きが始まることもあれば、数週間経ってから影響が出ることもあります。また、旅行や帰省など、一時的な環境の変化も夜泣きの引き金になります。
体調面のサインを見逃さないことも必要です。発熱、鼻水、咳、下痢、便秘などの症状がないか確認します。中耳炎は、日中は痛みを我慢していても、夜になると痛みが増して泣き出すことがあります。耳を気にする仕草、機嫌の悪さ、発熱などがあれば、小児科や耳鼻咽喉科を受診しましょう。また、アトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎も、夜間に症状が悪化して睡眠を妨げることがあります。
このように、様々な角度から観察することで、夜泣きの原因が見えてきます。
では、原因別にどのように対処すればよいのでしょうか。
1歳の夜泣き原因別の効果的な対処法
原因に応じた適切な対処をすることで、夜泣きの改善が期待できます。
分離不安が原因の場合
分離不安による夜泣きには、日中の関わり方と寝る前の配慮が重要です。
日中は、できるだけたくさんスキンシップを取りましょう。保育園から帰ってきたら、最初の30分から1時間は、こどもとしっかり向き合う時間を作ります。抱っこしたり、一緒に遊んだり、絵本を読んだりして、「ちゃんと戻ってきてくれた」「一緒にいられる」という安心感を与えます。家事は後回しにして、こどもとの時間を優先しましょう。
保育園への送り出しの際は、必ず「行ってくるね」「お迎えに来るからね」と伝えます。黙って去ることは、こどもの不安を増大させます。お迎えの時間を守ることも、信頼関係を築く上で重要です。時計が読めなくても、「おやつの後にお迎えに来るよ」など、こどもが理解できる形で伝えます。
寝る前は、「ママ(パパ)は隣の部屋にいるよ」「朝になったらまた会えるよ」と安心させる言葉をかけます。ドアを少し開けておいたり、廊下の電気をつけておいたりして、完全な孤立感を感じさせないようにします。お気に入りのぬいぐるみやタオルを一緒に寝かせることも効果的です。
夜中に泣いたら、すぐに駆けつけて抱き上げましょう。この時期の分離不安は発達の正常な過程であり、すぐに対応することは甘やかしではありません。抱きしめて「大丈夫だよ」「ここにいるよ」と安心させ、落ち着いたら再び寝かせます。
運動発達が原因の場合
歩行開始などの運動発達による興奮が原因の場合は、日中の活動と夜の落ち着きのバランスを取ることが大切です。
日中は、十分に身体を動かす機会を作りましょう。公園で遊ぶ、散歩をする、家の中でも安全に歩き回れるスペースを確保するなど、運動欲求を満たします。ただし、疲れすぎると逆効果なので、こどもの様子を見ながら調整します。
夕方以降は、興奮する遊びを避け、静かな活動に切り替えます。追いかけっこやくすぐり遊びなどの激しい遊びは、お昼寝の後から夕方までにとどめましょう。夕食後は、絵本を読んだり、ブロックで遊んだりするなど、座ってできる遊びを中心にします。
寝る前のルーティンを丁寧に行うことも重要です。お風呂でゆっくり温まる、優しいマッサージをする、子守唄を歌うなど、リラックスできる活動を取り入れます。部屋の照明を暗めにし、穏やかな雰囲気を作ります。
転んで怖い思いをした日は、「今日は転んじゃったね。痛かったね。でも大丈夫だよ」と優しく話しかけ、不安を和らげます。寝る前にそのことを思い出させる必要はありませんが、こどもが話したがる場合は聞いてあげましょう。
断乳・卒乳が原因の場合
断乳や卒乳による夜泣きには、新しい入眠方法を確立することが必要です。
断乳・卒乳を始める前に、新しい入眠方法を準備しておくことが理想的です。授乳以外の方法でも眠れるように、抱っこで寝かせる、背中をトントンする、子守唄を歌うなど、複数の方法を試しておきます。
断乳・卒乳の開始後は、夜泣きが増えることを覚悟しましょう。夜中に目が覚めて、いつものように授乳を求めて泣くことがあります。この時、授乳を再開してしまうと、混乱を招きます。抱っこしたり、水やお茶を飲ませたり、他の方法で対応します。
「おっぱい(ミルク)はもうないけど、抱っこはいつでもできるよ」と伝え、スキンシップで安心させます。最初の数日から1週間は大変ですが、徐々に新しい方法に慣れていきます。
日中のスキンシップを増やすことも大切です。授乳がなくなったことで、こどもは安心材料を一つ失っています。その分、抱っこや触れ合いの時間を増やし、「授乳はなくても愛されている」という実感を持たせます。
保育園が原因の場合
保育園でのストレスが原因と思われる場合は、園との連携と家庭でのケアが必要です。
担任の先生と情報共有をしましょう。「最近夜泣きが増えて、園で何かストレスを感じているのではと心配しています」と相談します。先生から見た園での様子、友達との関わり、給食や昼寝の状況などを聞きます。
家庭では、園での頑張りを認めて褒めることが大切です。「今日も保育園に行けたね」「お友達と遊べて楽しそうだったね」と、ポジティブな面を伝えます。ただし、過度に「頑張れ」というプレッシャーは避けます。
週末は、家でゆっくり過ごす時間を作りましょう。平日は集団生活で頑張っているため、休日はこどものペースで過ごせる時間を確保します。家族だけで過ごす、のんびり遊ぶなど、リラックスできる活動を選びます。
昼寝の時間が長すぎる場合は、先生に相談して調整してもらうことも検討します。園での昼寝が長すぎると、夜の睡眠に影響します。
このように、原因に応じた適切な対処をすることで、多くの夜泣きは改善していきます。
しかし、場合によっては病気のサインである可能性もあります。
1歳の夜泣き原因が病気のサイン
頻繁に夜泣きが続く場合や、他の症状を伴う場合は、医学的な問題が隠れている可能性も考慮する必要があります。
中耳炎は、1歳児に非常に多い病気です。風邪の後に発症しやすく、耳管が短く水平なため、細菌が中耳に入りやすいのです。日中は痛みを我慢していても、夜になると痛みが増して泣き出すことがあります。耳を触ったり気にしたりする仕草、発熱、機嫌の悪さなどが見られたら、すぐに小児科や耳鼻咽喉科を受診しましょう。適切な抗生物質治療により、数日で改善します。
睡眠時無呼吸症候群は、1歳でも起こりうる睡眠障害です。扁桃腺やアデノイドの肥大により、気道が狭くなって呼吸が妨げられます。いびきをかく、口を開けて寝る、睡眠中に呼吸が止まることがある、寝相が極端に悪い、日中も眠そうにしているなどの症状があれば、この可能性があります。睡眠の質が低下するため、夜中に何度も目が覚めて泣きます。耳鼻咽喉科での診察が必要です。
歯の生え変わりによる痛みも、夜泣きの原因になります。1歳から1歳半頃は、奥歯が生え始める時期です。歯茎が腫れて痛みを感じ、夜間に特に不快感が増します。よだれが増える、物を噛みたがる、歯茎を気にするなどの様子があれば、歯の生え変わりが原因かもしれません。冷たい歯固めを与えたり、歯茎を優しくマッサージしたりすることで、痛みを和らげることができます。ひどい場合は、小児科で相談し、適切な痛み止めを処方してもらうこともできます。
アレルギー症状も見落とせません。アトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎により、夜間に皮膚がかゆくなったり、鼻が詰まって息苦しくなったりして、睡眠が妨げられます。日中の皮膚症状や鼻炎症状を観察し、気になる場合は小児科やアレルギー科で治療を受けましょう。
発達上の特性も考慮すべき場合があります。感覚が敏感なこどもは、音や光、布団の感触などに過敏に反応し、眠りが浅くなることがあります。夜泣きに加えて、日中の行動や発達に気になる点がある場合は、発達相談を検討しましょう。
このように、様々な医学的な問題が夜泣きの背景にある可能性があります。
では、原因が特定できない場合や、対処しても改善しない場合は、どうすればよいのでしょうか。
1歳の夜泣き原因が不明で長引く場合の相談方法
様々な対処を試しても改善しない場合や、原因が特定できない場合は、専門家に相談することが重要です。
小児科での相談は、最も身近な選択肢です。かかりつけの小児科医に、夜泣きの頻度、始まった時期、泣き方の特徴、日中の様子、生活の変化などを詳しく伝えましょう。睡眠日誌をつけて持参すると、状況を把握しやすくなります。何時に寝て、何時に目が覚めて、どのくらい泣いたか、その日の出来事、昼寝の時間などを記録します。身体的な問題がないかを診察してもらい、必要に応じて専門医への紹介状を書いてもらうこともできます。
保育園との連携も大切です。園での様子を詳しく聞くことで、家では見えないストレスの原因が分かることがあります。昼寝の時間や長さ、給食の様子、友達との関わり、機嫌の良し悪しなど、具体的な情報を得ましょう。また、園で配慮してもらえることがないか相談します。昼寝の時間を調整する、個別に声をかけてもらうなど、小さな配慮が効果を生むことがあります。
保健師への相談も有効です。自治体の保健センターや子育て支援センターで、無料で相談できます。発達相談、育児相談、心理相談など、様々な窓口があります。必要に応じて専門機関への紹介もしてくれます。一人で悩まず、地域の資源を活用しましょう。
睡眠専門医への受診は、睡眠障害が疑われる場合に検討します。大学病院や専門クリニックに睡眠外来があります。睡眠ポリグラフ検査により、睡眠の質や睡眠障害の有無を詳しく調べることができます。夜驚症、睡眠時無呼吸症候群などの診断と治療が可能です。
親自身のケアの重要性も忘れてはいけません。毎晩の夜泣き対応で、保護者自身が睡眠不足になり、心身ともに疲弊してしまうことがあります。パートナーと交代で対応する、週末は誰かに預けて休む時間を作る、一時保育を利用するなど、自分自身の休息を確保することが大切です。保護者が心身ともに健康であることが、結果的にこどもにとっても最善のケアにつながります。
同じ悩みを持つ保護者とつながることも、心の支えになります。地域の育児サークルやSNSで、経験を共有し、励まし合いましょう。「自分だけじゃない」と思えることは、大きな救いになります。
1歳の夜泣きは、多くの場合、発達過程の一時的な現象です。分離不安のピークを乗り越え、新しい運動能力や生活環境に慣れてくると、自然と夜泣きも減っていきます。焦らず、こどもの成長を信じながら、適切なサポートを得て、一日一日を乗り越えていきましょう。完璧な対応を目指す必要はありません。できる範囲で、こどもと保護者の両方が心地よく過ごせる方法を見つけていくことが大切です。
監修

略歴
| 2017年 | 本田右志理事長より右脳記憶教育講座を指南、「JUNKK認定マスター講師」取得 |
|---|---|
| 2018年 | 幼児教室アップルキッズをリビングサロンとして開講 |
| 2020年 | 佐々木進学教室Tokiwaみらい内へ移転、「佐々木進学教室幼児部」として再スタート |
| 2025年 | 一般社団法人 日本右脳記憶教育協会(JUNKK)代表理事に就任 |



