夜泣きでママを呼ぶのはなぜ?パパでも対応できるようになるには?

夜泣き

夜中にこどもが泣いた時、いつもママを呼ぶことに困っていませんか。

パパが抱っこしても泣き止まず、結局ママでないとダメという状況が続きます。

パパも協力したいのに、こどもに拒否されてしまうと無力感を感じることもあるでしょう。

しかし適切な関わり方を続けることで、パパでも対応できるようになります。

この記事では夜泣きでママを呼ぶ理由から、パパだと泣き止まない原因、パパでも対応できるようになる方法、役割分担、根本的な対策まで詳しく解説します。

夜泣きでママを呼ぶ理由とは?

母親への強い愛着形成、授乳による特別な結びつき、日常的に最も安心できる存在であることが、夜泣きでママを呼ぶ主な理由です。

こどもがママを求めることには、生物学的にも心理学的にも明確な理由があります。

母親への強い愛着

生後数ヶ月から、こどもは特定の養育者に強い愛着を形成します。多くの場合、最も長い時間を一緒に過ごす母親が、第一の愛着対象になります。

愛着とは、こどもが不安や恐怖を感じた時に、特定の人に近づいて安心を得ようとする心理的な絆です。夜泣きは不安や不快感から起こるため、自然と最も強い愛着を持つ母親を求めます。

特に生後6〜8ヶ月頃には分離不安が芽生えます。母親が自分とは別の存在だと認識し始め、離れることへの不安を強く感じます。夜中に目が覚めて母親の姿が見えないと、激しく泣いて呼ぶのです。

この愛着は、生存本能と深く結びついています。人類の歴史の中で、母親から離れることは命の危険を意味していました。その本能が今も残っており、夜中の目覚めで母親を探すことは、自然な反応なのです。

愛着の強さは、日中の関わりの質と量で決まります。授乳やおむつ替え、寝かしつけなど、日常的なケアを主に母親が行っている場合、母親への愛着が特に強くなります。

授乳による結びつき

授乳中の場合、母親との結びつきはさらに特別なものになります。母乳は単なる栄養補給ではなく、スキンシップと安心感を同時に得られる行為です。

夜泣きの原因が空腹でなくても、授乳によって落ち着くことがあります。吸うという行為自体が、こどもを安心させる効果があるためです。この経験の積み重ねが、「泣いたらママに授乳してもらう」というパターンを作ります。

母乳の匂いも重要な要素です。こどもは母親の匂いを覚えており、その匂いが安心感を与えます。抱っこされただけで母乳の匂いを感じ取り、落ち着くのです。

授乳中のスキンシップも、愛着を強めます。肌と肌が触れ合い、母親の心拍を感じながら授乳することで、深い安心感が生まれます。この体験が、夜泣きの時にママを求める理由になります。

ミルク育児の場合でも、授乳を主に母親が担当していれば、同様の結びつきが生まれます。誰が授乳するかが、愛着形成に影響するのです。

普段から安心感を得ている存在

日常的に最も長い時間を一緒に過ごし、様々なケアをしてくれる存在が母親である場合、こどもにとって母親は「安全基地」になります。

おむつを替える、服を着せる、食事を与える、遊ぶ、寝かしつけるなど、日常のあらゆる場面で母親が関わっていれば、こどもは母親に最も安心感を覚えます。

不快な時に対応してくれた記憶も重要です。お腹が空いた時、痛い時、怖い時に、いつも助けてくれたのが母親なら、困った時には母親を呼ぶという習慣が形成されます。

声のトーンや話し方も、安心感に影響します。母親の優しい声、いつもの話し方は、こどもにとって最も馴染みがあり、落ち着く音なのです。

抱き方や体温、心拍のリズムなども、こどもは敏感に感じ取っています。母親の抱き方に慣れているため、その感触が最も安心できるのです。

母親への強い愛着、授乳による特別な絆、日常的な安心感の積み重ねが、夜泣きでママを呼ぶ理由です。

では逆に、なぜパパだと泣き止まないのか、その理由を次に見ていきましょう。

パパだと泣き止まない理由

日中の関わりやスキンシップが少なく、寝かしつけの経験も不足しているため、パパの匂いや抱き方に慣れておらず泣き止みにくくなります。

パパだと泣き止まないのは、決してパパが嫌いだからではありません。慣れと経験の差が原因です。

日中の関わりが少ない

多くの家庭では、日中の育児を主に母親が担当しています。パパが仕事で不在の時間が長いと、こどもとの関わりが限られます。

朝の準備、授乳やミルク、おむつ替え、遊び、昼寝の寝かしつけ、離乳食など、日中の様々なケアを母親が行っていると、こどもにとって母親は「いつもいる人」になります。

一方、パパは夕方以降に帰宅することが多く、その時間はお風呂や寝かしつけ前の短い時間だけです。関わる時間の絶対量が少ないため、愛着形成が遅れます。

週末もママが主に育児を担当している場合、パパとの時間は相対的に少なくなります。遊ぶ時はパパが相手をしても、困った時はやはりママを求めるという状況になります。

スキンシップの量も影響します。抱っこ、授乳、添い寝など、肌が触れ合う時間が少ないと、パパの体温や匂い、抱き心地に慣れません。

寝かしつけの経験不足

夜泣きで最も求められるのは、寝かしつけのスキルです。普段から寝かしつけを担当していないパパは、このスキルが不足しています。

寝かしつけには、抱っこの仕方、揺らし方、声のかけ方、タイミングなど、様々なコツがあります。毎日やっているママは自然と身についていますが、経験が少ないパパは手探りになります。

こどもも、ママの寝かしつけパターンに慣れています。いつもと違う抱き方、違う揺らし方をされると、違和感を感じて余計に泣いてしまうのです。

寝かしつけの時の声の大きさやトーンも重要です。ママは優しい低めの声で話しかけますが、パパは声が大きかったり、高めだったりすると、興奮させてしまうこともあります。

授乳で寝かしつけている場合は、特に難しくなります。授乳なしで寝かしつける方法を、パパもこどもも知らないため、対応できないのです。

匂いや抱き方への慣れの違い

こどもは匂いに非常に敏感です。母親の匂いは生まれた時から嗅ぎ慣れており、安心感と直結しています。父親の匂いに慣れていないと、違和感を感じて泣いてしまいます。

抱き方の違いも大きな要因です。母親は何度も抱っこしているため、こどもにとって心地よい抱き方を自然と身につけています。父親の抱き方に慣れていないと、不安定に感じて泣きます。

声のトーンや大きさも影響します。一般的に男性の声は低く大きいため、小さなこどもには刺激が強すぎることがあります。優しく話しかけているつもりでも、声質の違いで落ち着かないのです。

体格の違いも関係します。父親の体は母親より大きく、硬いことが多いです。こどもが慣れている柔らかい母親の体とは感触が違うため、違和感を覚えます。

心拍のリズムも、こどもは感じ取っています。母親の心拍は胎内にいた時から聞き慣れており、安心感を与えます。父親の心拍に慣れていないと、その違いも不安材料になります。

日中の関わり不足、寝かしつけ経験の少なさ、匂いや抱き方への不慣れが、パパだと泣き止まない理由です。

しかしこれらは全て、時間をかけて改善できることなので具体的な方法を見ていきましょう。

パパでも対応できるようになる具体的な方法

日中から積極的にスキンシップをとり、寝かしつけに段階的に参加し、ママ不在の環境でパパと過ごす時間を作ることで、徐々に対応できるようになります。

焦らず、少しずつステップを踏むことが大切です。一朝一夕には変わりませんが、継続すれば必ず効果が出ます。

日中のスキンシップを増やす

まずは日中の関わりを増やすことから始めましょう。朝起きてすぐ、仕事から帰ってきた時、休日など、こどもと触れ合う機会を積極的に作ります。

抱っこの回数を増やすことが最も効果的です。機嫌の良い時に抱っこして、パパの匂いや抱き心地に慣れさせます。最初は短時間でも、徐々に長く抱っこする時間を作りましょう。

遊びを通じたスキンシップも有効です。高い高いをする、膝の上に座らせる、寝転んでお腹の上に乗せるなど、体を使った遊びを取り入れます。楽しい経験とパパの存在を結びつけることができます。

授乳やミルク以外のケアを担当することも重要です。おむつ替え、着替え、お風呂など、日常的なケアに関わることで、こどもはパパを「世話をしてくれる人」と認識します。

食事の時間も活用しましょう。離乳食を食べさせる、一緒に食事をする、おやつを与えるなど、食に関わることで信頼関係が深まります。

声をかける回数も増やします。話しかける、歌を歌う、絵本を読むなど、パパの声に慣れさせることも大切です。優しいトーンで話すことを意識しましょう。

寝かしつけに段階的に関わる

いきなり夜泣き対応を任されても、パパもこどもも困惑します。段階的に寝かしつけに関わることで、徐々に慣れていきます。

まずは寝る前のルーティンに参加しましょう。お風呂に入れる、パジャマに着替えさせる、歯を磨くなど、寝る前の準備を担当します。寝る前の時間をパパと過ごすことに慣れさせます。

次に、ママが寝かしつける横にいて見守ります。ママの寝かしつけ方法を観察し、学びます。同時に、こどもも寝る時にパパがいることに慣れていきます。

少しずつ関与を増やします。ママが抱っこして、パパが背中をトントンする、パパが絵本を読んでママが抱っこするなど、協力しながら寝かしつけます。

週末の昼寝から始めるのも効果的です。夜より昼寝の方がプレッシャーが少なく、失敗しても翌日に響きません。昼寝の寝かしつけができるようになったら、夜にも挑戦します。

ママがいる状態で、パパが主導して寝かしつけてみます。うまくいかない時はママが交代できる状態なので、安心してチャレンジできます。

最終的に、ママ不在の状態でパパだけで寝かしつけられるようになることを目指します。ただし焦る必要はなく、数ヶ月かけて徐々に移行していけばよいのです。

ママがいない時間を作る

パパとこどもが二人きりで過ごす時間を作ることも重要です。ママがいると、どうしてもママに頼ってしまうため、ママ不在の環境を意図的に作ります。

休日にママに外出してもらい、パパとこどもで留守番する時間を作りましょう。最初は1〜2時間から始め、徐々に時間を延ばしていきます。

その間、パパが全てのケアを担当します。おむつ替え、食事、遊び、昼寝の寝かしつけなど、ママがいない状態でどう対応するかを学びます。

最初は泣かれることもありますが、それも経験です。こどもも「ママがいなくてもパパがいる」ことを学び、パパへの信頼が深まります。

ママも、パパに任せて完全に離れることが大切です。「様子を見に行く」「途中で帰る」では、こどもはママを求め続けます。完全に任せることで、パパもこどもも成長できます。

外出が難しい場合は、ママが別室にいて一切関与しないという方法もあります。泣いても出ていかず、パパに任せることで、こどもはパパで我慢することを学びます。

日中のスキンシップ、段階的な寝かしつけへの参加、ママ不在の時間という三つのアプローチで、パパでも対応できるようになります。

こうした取り組みと並行して、役割分担を明確にすることも重要です。

ママの負担を軽減する役割分担

特定の曜日はパパが完全に担当し、ママは別室で寝るなど明確な役割分担をすることで、ママの睡眠を確保しながらパパも慣れていけます。

パパが対応できるようになるまでの間も、ママの負担を減らす工夫は必要です。

完全にパパに任せる日を設定する

週に1〜2日、完全にパパが夜泣き対応を担当する日を設定しましょう。「今夜は完全にパパの担当」と明確にすることで、ママは安心して休めます。

最初はこどもが泣き止まず、結局ママが起きることもあるでしょう。しかしそれでは意味がありません。泣き続けても、パパが最後まで対応することが重要です。

こどもも何度か経験することで、「この日はパパが来る」と学習します。最初は激しく泣いても、繰り返すうちに「パパでも大丈夫」と理解していきます。

パパ担当の日は、事前に決めておきます。「今日は疲れているからお願い」という曖昧な決め方ではなく、「月曜日と木曜日はパパの日」と固定することで、お互いに心の準備ができます。

担当日は、朝までの全ての夜泣きに対応します。1回目だけ、2回目まで、といった中途半端な分担ではなく、その夜は完全にパパが責任を持つことが大切です。

ママが別室で寝る工夫

パパ担当の日は、ママは別室で寝ることをおすすめします。同じ部屋にいると、泣き声が聞こえて起きてしまい、つい手を出したくなります。

寝室が一つしかない場合は、ママがリビングで寝る、パパとこどもが別の部屋で寝るなど、工夫が必要です。物理的に距離を取ることで、ママは深く眠れます。

耳栓を使うことも効果的です。泣き声が聞こえなければ、ママは安心して眠れます。「泣き声が聞こえたらどうしよう」という不安がなくなります。

ママは、パパに任せたら完全に離れることが重要です。「様子を見に行く」「大丈夫か確認する」では、パパの自信を損ないます。信頼して任せることで、パパも成長します。

最初は心配でしょうが、こどもは泣いても大丈夫です。パパが側にいれば、命に関わることはありません。泣かせてしまう罪悪感よりも、パパとの関係を築くことを優先しましょう。

交代制のルール作り

完全交代制を導入することで、お互いに休める日を確保できます。「月・水・金はママ、火・木・土はパパ、日曜は前半後半で交代」など、明確なルールを作ります。

ルールを決めたら、紙に書いて貼っておきましょう。口約束だけでは忘れたり、揉めたりします。可視化することで、お互いに責任が明確になります。

交代の時刻も決めておくとスムーズです。「2時以降の夜泣きはパパ」など、時間で区切ると、引き継ぎが明確になります。

ルールは定期的に見直します。こどもの成長やパパのスキル向上に合わせて、分担を調整していきます。最初は週1日だったパパ担当を、週3日に増やすなど、柔軟に変えていきましょう。

緊急時の対応も決めておきます。高熱がある、怪我をしたなど、明らかに異常がある場合は、担当日でもママが対応するなど、例外ルールも作っておくと安心です。

明確な役割分担と交代制で、ママの負担を軽減しながら、パパも徐々に対応できるようになります。

そして根本的に夜泣きを減らす工夫も並行して行いましょう。

夜泣き自体を減らすための対策

規則正しい生活リズムと安定した入眠環境、適度な日中活動を整えることで、夜泣き自体を減らしママを呼ぶ回数も軽減できます。

パパが対応できるようになることも大切ですが、そもそも夜泣きが減れば、家族全員が楽になります。

生活リズムの確立

毎日同じ時間に起き、同じ時間に寝るという基本的なリズムを徹底しましょう。体内時計が整うことで、夜の睡眠の質が高まり、夜泣きが減ります。

朝は7時前後に起こし、カーテンを開けて日光を浴びさせます。休日も同じリズムを保つことが重要です。

昼寝の時間と長さも管理します。15時以降は昼寝をさせない、昼寝は1〜2時間以内にするなど、夜の睡眠を優先したスケジュールを組みます。

食事の時間も一定にしましょう。特に夕食は寝る2時間前までに済ませ、胃に負担がかからない状態で眠りにつけるようにします。

入眠環境の整備

寝る前のルーティンを確立します。お風呂、パジャマへの着替え、歯磨き、絵本の読み聞かせなど、毎日同じ流れを30分〜1時間かけて行います。

部屋の環境も整えます。室温は20〜22度、湿度は50〜60%が目安です。照明は暗めにし、寝る1時間前からはテレビやスマートフォンの画面を避けます。

音の環境も見直します。静かすぎると小さな音で目が覚めやすいため、ホワイトノイズなど一定のリズムの音を小さく流すのも効果的です。

安心できるアイテムを用意します。お気に入りのぬいぐるみやタオルを寝る時の相棒にすることで、夜中に目覚めた時も一人で落ち着ける可能性が高まります。

日中の適度な活動

日中は月齢に応じた活動をさせ、適度な疲労感を感じさせます。外遊びや散歩で体を動かし、太陽の光を浴びることが理想的です。

ただし疲れすぎは逆効果です。夕方以降は徐々に活動レベルを落とし、静かな遊びに切り替えます。

日中にたっぷりスキンシップをとることも重要です。パパもママも、こどもと触れ合う時間を大切にすることで、情緒が安定し、夜の落ち着きにつながります。

刺激が強すぎる活動は避けましょう。テレビやスマートフォンの時間を制限するなど、脳への過度な刺激を避けることも夜泣き軽減につながります。

生活リズム、入眠環境、日中の活動を整えることで、夜泣き自体を減らし、ママを呼ぶ回数も軽減できます。夜泣きでママを呼ぶのは、愛着や慣れの問題であり、決してパパが嫌いなわけではありません。

日中からスキンシップを増やし、寝かしつけに段階的に関わり、ママ不在の時間を作ることで、パパでも対応できるようになります。明確な役割分担でママの負担も軽減し、同時に夜泣き自体を減らす工夫も続けましょう。時間はかかりますが、焦らず継続することで、必ずパパも頼れる存在になります。家族で協力して、この時期を乗り越えていきましょう。

監修

代表理事
佐々木知香

略歴

2017年 本田右志理事長より右脳記憶教育講座を指南、「JUNKK認定マスター講師」取得
2018年 幼児教室アップルキッズをリビングサロンとして開講
2020年 佐々木進学教室Tokiwaみらい内へ移転、「佐々木進学教室幼児部」として再スタート
2025年 一般社団法人 日本右脳記憶教育協会(JUNKK)代表理事に就任
塾講師として中高生の学習指導に長年携わる中で、幼児期・小学校期の「学びの土台づくり」の重要性を痛感。
結婚を機に地方へ移住後、教育情報や環境の地域間格差を実感し、「地域に根差した実践の場をつくりたい」との想いから、幼児教室アップルキッズを開校。
発達障害や不登校の支援、放課後等デイサービスでの指導、子ども食堂での学習支援など、多様な子どもたちに寄り添う教育活動を展開中。