夜中に何度も繰り返される夜泣きに、どうしても起きれないと悩む親は少なくありません。
連日の睡眠不足で限界を迎えると、泣き声が聞こえなくなることは珍しいことではないのです。
「親として失格なのでは」と自分を責めてしまう方もいるでしょう。
しかし夜泣きで起きれない状態は、心身が発している重要なSOSのサインです。
この記事では原因を明らかにし、具体的な解決策をお伝えします。
夜泣きに起きれないのはなぜ?主な原因と対処法
夜泣きに起きれない最大の原因は、慢性的な睡眠不足により脳と身体が防御反応を起こしているためです。
こどもの夜泣きは予測できないタイミングで発生し、一晩に何度も繰り返されることがあります。そのたびに起きて対応していると、深い睡眠をとる時間が極端に減少します。人間の身体は睡眠負債が蓄積すると、生命維持のために強制的に深い睡眠状態に入ろうとします。この状態になると、通常なら目が覚めるはずの音や刺激に対しても反応が鈍くなってしまうのです。
睡眠不足の蓄積が限界に達している
毎晩の夜泣き対応で細切れ睡眠が続くと、睡眠の質が著しく低下します。特に深い眠りであるノンレム睡眠の時間が不足すると、疲労回復ができず、翌日に疲れを持ち越してしまいます。この状態が数週間、数ヶ月と続くことで、身体は「もう限界だ」と判断し、より深い睡眠を求めるようになります。
対処法としては、まず日中に15分程度の仮眠をとることが効果的です。こどもが昼寝をしている間に一緒に眠ることで、夜間の睡眠不足を少しでも補えます。また可能であれば週に1〜2日は、パートナーや家族に夜泣き対応を完全に任せ、自分は別室で耳栓をして眠る日を作りましょう。
深い睡眠に入ってしまい音が聞こえない
睡眠には浅い眠りのレム睡眠と深い眠りのノンレム睡眠があります。通常、レム睡眠時には少しの物音でも目が覚めやすくなっていますが、睡眠不足が続くとノンレム睡眠の割合が増え、その間は外部の刺激に対する反応が極端に鈍くなります。
これは決して怠けているわけではなく、脳が必要な休息をとろうとしている正常な反応です。対処法としては、ベビーモニターの音量を大きめに設定したり、振動で知らせるタイプの機器を使用したりする方法があります。また枕元にスマートフォンを置き、泣き声を検知するアプリを使うのも一つの手段です。
夜泣きの頻度が多すぎて疲弊している
夜泣きが一晩に5回、6回と繰り返されると、そのたびに起きることへの心理的・身体的負担は計り知れません。「また泣いている」という思いが重なると、無意識のうちに音をシャットアウトしてしまうこともあります。
この場合は、夜泣きの頻度そのものを減らすアプローチも必要になります。日中の生活リズムを見直し、朝は一定の時間に起こして太陽の光を浴びさせる、日中は適度に身体を動かす遊びを取り入れるなど、睡眠の質を高める工夫をしましょう。
夜泣きに起きられなくなるのは、慢性的な睡眠不足によって脳と身体が強制的に深い休息をとろうとする防御反応です。
まずは自分を責めないことから始めることが大切です。
夜泣きに起きれなくても自分を責めないで
夜泣きに起きれないことで自分を責める必要は全くありません。それはあなたが十分に頑張ってきた証であり、休息が必要なサインなのです。
「親なのに起きられない」「こどもがかわいそう」と自分を責める気持ちは、多くの親御さんが経験するものです。しかし考えてみてください。毎晩数時間おきに起こされ続けて、正常な判断力や身体機能を保てる人間はいません。睡眠不足は拷問に使われるほど人間にとって過酷なものです。
育児は長期戦です。一晩や二晩、夜泣きに完璧に対応できなかったとしても、こどもの成長に大きな影響はありません。むしろ親が心身を壊してしまう方が、長期的にはこどもにとってマイナスです。飛行機の酸素マスクは「まず自分につけてから、こどもを助ける」と言われるように、親自身の健康を守ることが最優先なのです。
また夜泣きに起きられなかった夜があっても、こどもは泣き疲れて眠ることがほとんどです。一時的に泣かせてしまったことで、こどもの心に傷がつくわけではありません。日中にたっぷりと愛情を注ぎ、安心できる関係を築いていれば大丈夫です。
起きれないことで罪悪感を持つ必要はなく、それはあなたが十分に頑張ってきた何よりの証拠なのです。
その上で、夜泣きに気づきやすくするための具体的な工夫を見ていきましょう。
夜泣きに気づくための工夫と環境づくり
夜泣きに気づきやすくする工夫をすることで、起きられない不安を軽減できます。
深い睡眠状態でも何とか夜泣きに対応したいという場合、環境を整えることが有効です。ただし無理は禁物で、これらの工夫をしても起きられないほど疲れているなら、それは休息のサインだと受け止めてください。
ベビーモニターやアプリの活用
最近のベビーモニターは性能が格段に向上しており、泣き声を検知すると自動で音量を上げたり、スマートフォンに通知を送ったりする機能があります。映像付きのモニターなら、起き上がらなくてもこどもの様子を確認できるため、「本当に起きる必要がある夜泣きか」を判断できます。
またスマートフォンのアプリには、泣き声を分析して「お腹が空いている」「おむつが濡れている」などの理由を推測してくれるものもあります。夜泣きの原因が分かれば、より効率的に対応できるでしょう。
振動式の目覚まし機器を併用するのも効果的です。音だけでは起きられない場合でも、枕の下に置いた振動デバイスなら気づきやすくなります。
寝室のレイアウトを見直す
こどもの寝る位置を見直すことも重要です。ベビーベッドを親のベッドの真横に配置するサイドベッド方式にすると、こどもの小さな気配にも気づきやすくなります。また添い寝をしている場合は、軽く手を触れ合える距離で寝ることで、夜泣きの予兆段階で気づける可能性が高まります。
ただし添い寝には安全面での注意が必要です。生後6ヶ月未満の乳児の場合、窒息のリスクを避けるため、専門家の指導に従った安全な方法を選択しましょう。
寝室の温度や湿度、明るさもチェックポイントです。こどもが快適に眠れる環境なら夜泣き自体が減る可能性がありますし、親自身も睡眠の質が上がります。
交代制で対応する仕組みづくり
パートナーがいる場合は、曜日や時間帯で夜泣き対応を完全に分担する交代制が効果的です。「今夜は自分の当番だから頑張る日」と「今夜は完全にオフで深く眠れる日」を明確に分けることで、メリハリがつきます。
一人で育児をしている場合は、週に一度でも親族や信頼できる人に泊まりで手伝ってもらえないか相談してみましょう。自治体によっては夜間の育児支援サービスを提供しているところもあります。
様々な工夫で気づきやすい環境を作ることができれば、起きられないという不安を大きく軽減できるでしょう。
対応環境を整えると同時に、夜泣き自体を減らすためのアプローチも取り入れていきましょう。
夜泣き自体を減らすための右脳教育的アプローチ
夜泣きを根本から減らすには、こどもの生活リズムと心の安定を整えることが重要です。
こどもの夜泣きは日中の刺激の受け取り方や処理の仕方と深く関わっています。乳幼児の脳は日中に受けた様々な刺激を睡眠中に整理していますが、その処理がうまくいかないと夜泣きとして表れることがあるのです。
日中の刺激と睡眠リズムの関係
生後3ヶ月を過ぎた頃から、こどもの体内時計は徐々に形成されていきます。この時期に規則正しい生活リズムを作ることが、夜泣き軽減の基礎となります。
朝は毎日同じ時間に起こし、カーテンを開けて太陽の光を浴びさせましょう。これにより体内時計がリセットされ、昼夜の区別がつきやすくなります。日中は月齢に応じた適度な活動をさせることも大切です。ただし寝る直前の激しい遊びは避け、夕方以降は徐々に活動レベルを落としていきます。
また日中に受ける刺激の質も重要です。テレビやスマートフォンの画面からの強い光や音は、乳幼児の脳には刺激が強すぎることがあります。特に寝る2時間前からは、こうしたデジタル機器の使用を控えめにしましょう。
寝る前の落ち着いた環境づくり
就寝前の30分から1時間は「入眠儀式」の時間として、毎日同じルーティンを繰り返すことが効果的です。お風呂に入る、絵本を読む、子守唄を歌う、優しくマッサージをするなど、こどもが「これをしたら寝る時間だ」と認識できる流れを作ります。
この時、親自身も落ち着いた気持ちで接することが大切です。こどもは親の感情を敏感に察知します。「早く寝てほしい」という焦りや不安は、こどもに伝わって逆効果になることがあります。深呼吸をして、ゆったりとした時間を共有する意識を持ちましょう。
部屋の環境も見直します。照明は暗めにし、室温は20〜22度程度、湿度は50〜60%を目安に調整します。音は静かすぎるよりも、ホワイトノイズや小川のせせらぎなど、一定のリズムの音があった方が落ち着くこどももいます。
生活リズムの調整と入眠環境の工夫によって、夜泣きそのものを根本的に減らしていくことが可能です。
ただし生活リズムを整える工夫だけでなく、パートナーや家族との協力体制を作ることも重要です。
パートナーや家族と協力する夜泣き対応
一人で夜泣き対応を抱え込まず、周囲と協力する体制を作ることが、起きれない状況を改善する鍵です。
夜泣き対応は一人で背負うには重すぎる負担です。特に「母親が対応すべき」という固定観念は、今すぐ手放しましょう。こどもにとって必要なのは、心身ともに健康な親であり、疲弊しきった親ではありません。
パートナーがいる場合は、まず現状を正直に伝えることから始めます。「夜泣きに起きられないほど疲れている」「このままでは倒れそう」と具体的に話しましょう。多くの場合、パートナーは状況の深刻さに気づいていないだけで、理解が得られれば協力してくれます。
具体的な分担方法としては、平日と週末で担当を分ける、夜を前半と後半に分けて交代する、曜日で完全に分けるなどがあります。授乳中の場合でも、おむつ替えや抱っこはパートナーができます。搾乳しておけば、授乳自体も代わってもらえます。
一人親の場合や、パートナーの協力が難しい場合は、他の選択肢を探しましょう。実家や親戚に頼れるなら、週に一度でも泊まりで手伝ってもらう、自分が実家に泊まりに行くなどの方法があります。
また地域の子育て支援サービスも活用しましょう。ファミリーサポートや一時預かりは日中が中心ですが、日中に休息をとることで夜の対応力が回復します。自治体によっては宿泊型の育児支援事業を実施しているところもあるので、役所の子育て支援窓口に相談してみてください。
夜泣き対応を分担する際は、担当の人が完全に責任を持つことが大切です。「様子を見ながら必要なら起こして」という曖昧な形では、結局気になって眠れません。「今夜は完全に任せる」「明日は完全に休んでもらう」と明確にしましょう。
一人で抱え込まず周囲の協力を得る体制を整えることが、起きれない状況を改善する最も確実な方法です。
こうした対応を続ける中で、夜泣きがいつまで続くのかという見通しを知っておくことも心の支えになります。
夜泣きで起きれない状況はいつまで続く?
夜泣きのピークと起きれない状況には終わりがあり、多くの場合は徐々に改善していきます。
夜泣きは生後6ヶ月から1歳半頃がピークと言われています。この時期は脳の発達が著しく、日中の刺激を処理する過程で夜泣きが起こりやすくなります。また歯が生え始める不快感や、分離不安が始まる時期とも重なります。
1歳半を過ぎると、徐々に睡眠のリズムが安定してきます。2歳頃には夜通し眠れるようになるこどもが増え、3歳を過ぎると夜泣きはほとんどなくなるのが一般的です。もちろん個人差は大きく、発達の早いこどもは1歳前に夜泣きが落ち着くこともあれば、3歳を過ぎても続くケースもあります。
親の「起きれない」状態も、夜泣きの頻度が減れば自然と改善します。週に1〜2回程度の夜泣きなら、睡眠負債も蓄積しにくくなり、起きられるようになってきます。
ただし夜泣きが長期間続いたり、極端に激しかったりする場合は、他の原因が隠れている可能性もあります。中耳炎や胃腸の不調など身体的な問題、発達上の特性などが関わっていることもあるため、心配な場合は小児科や発達相談窓口に相談しましょう。
今がどんなに辛くても、必ず終わりは来ます。そして夜泣きが落ち着いた頃には、「あの大変な時期を乗り越えた」という自信が、あなたの育児の土台になっているはずです。
夜泣きも起きれない状況も時期がくれば必ず改善していくため、今は周囲の助けを借りながらこの時期を乗り切ることに集中しましょう。無理をせず、使える手段はすべて使い、自分を責めることなく、できる範囲でこどもと向き合っていってください。
監修

略歴
| 2017年 | 本田右志理事長より右脳記憶教育講座を指南、「JUNKK認定マスター講師」取得 |
|---|---|
| 2018年 | 幼児教室アップルキッズをリビングサロンとして開講 |
| 2020年 | 佐々木進学教室Tokiwaみらい内へ移転、「佐々木進学教室幼児部」として再スタート |
| 2025年 | 一般社団法人 日本右脳記憶教育協会(JUNKK)代表理事に就任 |



