イヤイヤ期はいつまで続く?終わりの目安と乗り越え方のコツ

イヤイヤ期

日々のイヤイヤ期に疲れ果てた親御さんが最も気になるのが、一体いつまで続くのかということではないでしょうか。

毎日の「いや!」「だめ!」の連続に心が折れそうになりながらも、この大変な時期がいつまで続くのか先が見えない不安を抱えている方は多いものです。

イヤイヤ期の終わりには明確な目安があり、適切な対応で乗り越えることができます。

この記事では、終了時期の目安や終わりのサインについて詳しく解説し、この時期を上手に乗り切るためのコツをお伝えします。

イヤイヤ期はいつまで続くの?一般的な終了時期

イヤイヤ期は一般的に3歳から4歳頃に落ち着くことが多いです。

多くのこどもは3歳の誕生日を迎える頃から徐々に落ち着きを見せ始め、4歳になると明らかにイヤイヤ行動が減少します。これは言語能力が大幅に向上し、自分の気持ちを「いや」以外の言葉で表現できるようになるからです。例えば、以前は「お風呂いや!」と泣いていた子が「まだ遊びたいからあと5分で入る」と交渉できるようになったり、「この服は暑いから薄い服がいい」と理由を説明できるようになったりします。

ただし、イヤイヤ期の終了時期にも大きな個人差があることを理解しておくことが大切です。早い子では2歳半頃から落ち着き始めることもあれば、4歳を過ぎても時々イヤイヤを見せる子もいます。特に敏感な気質の子や、こだわりの強い子は、他の子よりも長期間続く傾向があります。

段階的に落ち着いていく過程も重要なポイントです。ある日突然イヤイヤがなくなるのではなく、週に数回だったものが月に数回になり、激しい癇癪が短時間で収まるようになるなど、徐々に頻度や強度が減っていきます。「今週は比較的穏やかだったな」「先月よりも話し合いができるようになった」といった変化を感じられるようになれば、終わりが近づいているサインです。

また、環境の変化によっても終了時期は左右されます。保育園や幼稚園に入園することで、集団生活のルールを学び、他の子との関わりの中で自己制御能力が育つため、イヤイヤ期が早めに終わることもあります。逆に、下の子が生まれたり引っ越しをしたりといった大きな環境変化があると、一時的にイヤイヤが復活することもありますが、これは一過性のものです。

重要なのは、この時期の長さではなく、こどもが確実に成長していることを信じて見守ることです。毎日が大変でも、昨年の同じ時期と比較すると、確実に言葉が増え、我慢できることも多くなっているはずです。

このように、イヤイヤ期は3歳から4歳頃にかけて段階的に落ち着いていくため、長い目で見守ることが重要です。

次に、イヤイヤ期の終わりを知らせる具体的なサインについて見ていきましょう。

イヤイヤ期の終わりを示すサインとは

イヤイヤ期の終わりには、こどもの言動に明確な変化として現れる特徴的なサインがあります。

最も分かりやすいサインは、言葉での表現が格段に上手になることです。以前は「いや!」の一点張りだった場面で、「○○だからいやなの」「△△の方がいい」など、自分の気持ちや理由を言葉で説明できるようになります。例えば、着替えを嫌がる時にも「この服は首がきつくて痛いから嫌」「お気に入りの青い服を着たい」といった具体的な理由を話せるようになり、親も対応しやすくなります。

我慢ができるようになることも重要なサインの一つです。「あと10分遊んだら帰ろうね」と言われた時に、時計を見ながら「まだ5分ある?」と確認したり、「お菓子は夕ご飯の後ね」と言われても「わかった、我慢する」と答えられるようになったりします。完璧ではなくても、以前よりも待つことや我慢することができる場面が増えてきます。

理由を聞けるようになることも大きな変化です。単純に「いや!」と拒否するのではなく、「なんで今お風呂に入らなきゃいけないの?」「どうしてこの靴じゃだめなの?」といった質問をするようになります。これは、こどもが状況を理解しようとしている証拠であり、親の説明を聞く準備ができていることを示しています。

感情のコントロールができるようになることも見逃せないサインです。思い通りにならない時でも、以前のように激しく泣き叫ぶのではなく、「悲しい」「怒ってる」と自分の感情を言葉で表現したり、深呼吸をして気持ちを落ち着かせようとしたりする様子が見られるようになります。

他者への共感が見られることも終わりのサインです。弟が泣いていると「大丈夫?」と声をかけたり、お友達がおもちゃを欲しがっていると「一緒に遊ぼう」と提案したりするなど、自分以外の人の気持ちを考えられるようになります。これまで自分中心だった思考から、周りの人のことも考えられる発達段階に入った証拠です。

選択肢を受け入れられるようになることも特徴的です。「AとBどちらがいい?」と聞かれた時に、素直にどちらかを選べるようになったり、「今日は雨だから公園には行けないけど、家で粘土遊びをしようか」といった代案を受け入れられるようになったりします。

睡眠や食事などの基本的な生活リズムが安定してくることも重要なサインです。寝る時間になると素直にベッドに向かったり、食事の時間を理解して準備を手伝ったりするなど、生活全般において協力的になってきます。

このように、イヤイヤ期の終わりには言葉の発達・感情制御・他者理解といった様々な成長サインが現れるため、これらの変化を見逃さずに成長を認めてあげることが大切です。

しかし、すべてのこどもがスムーズにイヤイヤ期を終えるわけではありません。

イヤイヤ期が長引く場合の原因と対策

イヤイヤ期が予想より長く続く場合には、発達の個人差や環境要因など様々な原因が考えられます。

発達の個人差は最も大きな要因の一つです。言語発達がゆっくりなこどもは、自分の気持ちを言葉で表現する力がまだ十分でないため、「いや」という拒否で意思を示し続けることがあります。また、感受性が高く敏感な気質のこどもは、ちょっとした変化にも敏感に反応し、イヤイヤ行動が長期化することもあります。例えば、服の肌触りや食べ物の温度、音の大きさなどに人一倍敏感で、大人には理解しにくいこだわりを持っている場合があります。

環境の変化による影響も見逃せません。引っ越し、保育園の転園、家族構成の変化(弟や妹の誕生)、親の仕事の変化などがあると、こどもは不安を感じてイヤイヤ行動が激しくなったり長期化したりすることがあります。特に、複数の変化が重なった時期は、こどもにとって大きなストレスとなり、安定するまでに時間がかかることがあります。

不適切な対応方法が原因となることもあります。親が一貫性のない対応をしていたり、こどもの要求にすべて応えてしまったり、逆に頭ごなしに否定ばかりしていたりすると、こどもは混乱し、イヤイヤ期が長引くことがあります。例えば、同じ行動に対して、ある時は叱り、ある時は許すといった曖昧な対応は、こどもにとって境界線が分からず不安を増大させます。

生活リズムの乱れも長期化の原因となります。睡眠不足や不規則な食事時間、過度なメディア視聴などは、こどもの情緒を不安定にし、イヤイヤ行動を増長させることがあります。特に、夜更かしが続いたり、昼寝の時間が定まらなかったりすると、疲れやすくなり些細なことでもイヤイヤを起こしやすくなります。

対策としては、まず一貫した対応を心がけることが重要です。家族全員で「こういう時はこう対応する」というルールを決め、ブレない姿勢を保つことで、こどもも安心感を得られます。また、こどもの気質や発達段階に合わせた対応をすることも大切です。敏感な子には環境を整え、言語発達がゆっくりな子には時間をかけて気持ちを聞いてあげるなど、個々に応じた配慮が必要です。

生活リズムを見直すことも効果的です。決まった時間に起床・食事・就寝をし、適度な運動と十分な睡眠を確保することで、こどもの情緒が安定しやすくなります。また、親自身のストレス管理も重要で、親が精神的に余裕を持つことで、こどもへの対応も穏やかになります。

このように、イヤイヤ期が長引く場合は原因を見極めて適切な対策を講じることで改善が期待できるため、焦らずじっくりと取り組むことが大切です。

最後に、イヤイヤ期の終了を早めるためにできるサポート方法について見ていきましょう。

イヤイヤ期の終了に向けてできるサポート

イヤイヤ期の終了に向けて、言語発達・感情制御・自立心を育むための具体的なサポートができます。

言語発達を促す関わり方として最も重要なのは、こどもの話をじっくりと聞く姿勢を持つことです。たとえ拙い言葉であっても、こどもが何を伝えようとしているのかを理解しようと努め、「○○って言いたいのね」「△△が嫌だったんだね」と気持ちを言葉にして返してあげることで、こども自身も感情を言語化する力が育ちます。また、日常生活の中で豊富な語彙に触れさせることも大切です。絵本を読んだり、散歩中に見つけたものを一緒に話したり、お料理のお手伝いをしながら「混ぜる」「切る」「焼く」といった動作の言葉を教えたりすることで、表現力が豊かになります。

感情のコントロール力を育てる方法も重要です。こどもが感情的になった時に、まず気持ちを受け止め、「怒っているんだね」「悲しかったね」と感情に名前をつけて教えてあげます。その上で、「深呼吸してみよう」「10まで数えてみよう」といった気持ちを落ち着かせる方法を一緒に練習します。また、感情をコントロールできた時には大いに褒めることで、こども自身も「我慢できた!」という達成感を味わえます。

自立心を育むためには、こどもができることを増やしていくことが大切です。年齢に応じて、靴を履く、歯を磨く、おもちゃを片付けるといった日常的なことから任せていき、失敗しても見守る忍耐が必要です。「自分でできた!」という成功体験を積み重ねることで、自信がつき、何でも「いや!」と言う必要性を感じなくなってきます。

親子の信頼関係を築くポイントとして、約束を守ることが挙げられます。「公園で30分遊んだら帰ろうね」と言ったら必ず時間を守り、「お風呂に入ったら絵本を読もうね」と約束したら実行することで、こどもは親を信頼し、約束の意味を理解するようになります。また、こどもの小さな成長や努力を見逃さずに認めてあげることで、「がんばれば認めてもらえる」という安心感を育てることができます。

環境面では、こどもが自分で判断・選択できる機会を増やすことが効果的です。「今日着る服はAとBどちらがいい?」「おやつはリンゴとバナナどっちにする?」など、日常的に選択肢を提示し、こども自身に決めさせることで、自己決定する力が育ちます。ただし、選択肢は2~3個程度に絞り、こどもが選びやすいように配慮することが大切です。

規則正しい生活リズムを維持することも終了に向けた重要なサポートです。十分な睡眠と栄養バランスの良い食事、適度な運動を心がけることで、こどもの心身が安定し、感情のコントロールがしやすくなります。また、メディアの視聴時間を適切に管理し、親子で向き合う時間を大切にすることも、情緒の安定につながります。

何より大切なのは、この時期を「問題行動」ではなく「成長過程」として捉え、長い目で見守ることです。毎日小さな変化を見つけて喜び、こどもと一緒に成長していく気持ちを持つことで、イヤイヤ期は必ず良い思い出へと変わっていきます。

このように、言語・感情・自立の各面からサポートを続けることで、イヤイヤ期の自然な終了を促すことができるでしょう。

監修

代表理事
佐々木知香

略歴

2017年 本田右志理事長より右脳記憶教育講座を指南、「JUNKK認定マスター講師」取得
2018年 幼児教室アップルキッズをリビングサロンとして開講
2020年 佐々木進学教室Tokiwaみらい内へ移転、「佐々木進学教室幼児部」として再スタート
2025年 一般社団法人 日本右脳記憶教育協会(JUNKK)代表理事に就任
塾講師として中高生の学習指導に長年携わる中で、幼児期・小学校期の「学びの土台づくり」の重要性を痛感。
結婚を機に地方へ移住後、教育情報や環境の地域間格差を実感し、「地域に根差した実践の場をつくりたい」との想いから、幼児教室アップルキッズを開校。
発達障害や不登校の支援、放課後等デイサービスでの指導、子ども食堂での学習支援など、多様な子どもたちに寄り添う教育活動を展開中。