イヤイヤ期はいつから始まる?年齢や兆候を知って心構えを整えよう

イヤイヤ期

こどもの成長過程で避けて通れないのがイヤイヤ期です。

突然「いや!」「だめ!」と言い始めるわが子を見て、いったいいつから始まるのか疑問に思う親御さんも少なくありません。

イヤイヤ期がいつから始まるのかを知ることで、適切な心構えができ、こどもとの関わり方も変わってきます。

この記事では、この大切な成長段階の開始時期や兆候について詳しく解説し、親として知っておきたいポイントをお伝えします。

イヤイヤ期はいつから始まるの?一般的な開始時期

イヤイヤ期は、こどもの脳の発達が急激に進み自我が芽生える1歳半から2歳頃に始まります。

多くのこどもは1歳6ヶ月頃から徐々にイヤイヤの兆候を見せ始めます。歩けるようになり、言葉も少しずつ話せるようになったこどもは、自分の意思を表現したい気持ちが強くなります。しかし、まだ思うように言葉で表現できないため、「いや」や「だめ」という言葉で自分の気持ちを伝えようとするのです。

具体的には、朝の着替えの時間に「この服いや!」と言って泣いたり、公園から帰る時に「まだ遊ぶ!いや!」と地面に寝転んでしまったりする行動が見られるようになります。これらは全て、こども自身が自分の気持ちを一生懸命伝えようとしている証拠なのです。

ただし、イヤイヤ期の開始時期には個人差があることを理解しておくことが大切です。早い子では1歳前後から始まることもあれば、2歳半頃から始まる子もいます。発達の速度は一人ひとり異なるため、他の子と比較する必要はありません。

早めにイヤイヤ期が始まる子の特徴として、言語発達が早い、好奇心が旺盛、自分の意思がはっきりしているといった点が挙げられます。例えば、1歳2ヶ月頃から「これ!」「あれ!」と指差しながら要求を伝え、思い通りにならないと激しく泣く子もいます。一方で、比較的おとなしい性格の子や、言葉の発達がゆっくりな子は、イヤイヤ期の開始も遅めになる傾向があり、2歳を過ぎてから徐々に自己主張が強くなることが多いです。

このように、イヤイヤ期の開始時期は1歳半から2歳頃が一般的ですが、個人差があることを理解して見守ることが大切です。

次に、イヤイヤ期が始まる前に見られる具体的な兆候について詳しく見ていきましょう。

イヤイヤ期が始まる兆候とサイン

イヤイヤ期の始まりには、早めに察知することで適切な対応の準備ができる特徴的な兆候やサインが現れます。

最も分かりやすい兆候は、「いや」「だめ」という言葉を頻繁に使うようになることです。以前は素直に応じていたことに対しても、まず「いや」と言ってから行動するようになります。例えば、お風呂に誘っても「いや、お風呂いや!」、着替えを促しても「この服いや!」という具合に、日常のあらゆる場面で反抗的な態度を見せるようになります。興味深いのは、最終的にはお風呂に入ったり着替えたりするのですが、まず「いや」と言うことが習慣のようになることです。

感情の起伏が激しくなることも重要な兆候の一つです。些細なことで大泣きしたり、思い通りにならないと地団駄を踏んで怒ったりするようになります。例えば、いつものようにバナナを半分に割って渡したところ、「まる(丸ごと)がよかった!」と大泣きを始めることがあります。これまで比較的穏やかだった子でも、急に感情的になりやすくなるのがこの時期の特徴です。

自己主張が強くなることも見逃せないサインです。「自分で」「○○ちゃんが」という言葉をよく使うようになり、靴を履くのも、服を着るのも、すべて自分でやりたがります。階段も手すりを持って一歩ずつ上りたい、コップに自分で水を注ぎたいなど、大人から見ると時間のかかることも自分でやろうとします。しかし、実際にはまだ上手にできないため、失敗してしまい、それがイライラの原因となることも多々あります。

また、こだわりが強くなることも特徴的です。いつもと違う道を通ることを嫌がったり、決まった順番でないと気が済まなかったりします。朝起きて最初にお気に入りのぬいぐるみを抱っこする、お風呂では必ず黄色いアヒルのおもちゃから遊ぶなど、自分なりのルーティンができあがります。このこだわりが満たされないと、激しく泣いたり怒ったりすることがあります。

睡眠や食事のリズムが乱れることも、イヤイヤ期の兆候として現れることがあります。これまで規則正しく寝ていた子が「まだ寝ない!」と言って寝室に行くのを拒んだり、好きだった食べ物を突然「いや」と言って食べなくなったりすることもよくあります。また、食事中に「スプーンは青がいい」「このお皿じゃない」など、些細なことにこだわりを見せることも増えてきます。

このように、イヤイヤ期が始まる前には様々な特徴的な変化が見られるため、これらのサインを把握しておくことが重要です。

こうした兆候の背景には、どのような要因が影響しているのでしょうか。

イヤイヤ期の開始に影響する要因

イヤイヤ期の開始時期や強さには、さまざまな要因が影響しています。これらの要因を理解することで、子どもの行動により深く寄り添うことができるでしょう。

言語発達との関係は、イヤイヤ期に最も大きく影響する要因の一つです。こどもは自分の気持ちや欲求を言葉で表現したいという強い願望を持っていますが、まだ語彙が限られているため、思うように伝えることができません。例えば、「このおもちゃで遊びたいけれど、お兄ちゃんが使っているから貸してほしい」という複雑な気持ちを、まだ「いや!」や「だめ!」でしか表現できないのです。この歯がゆさが「いや」という言葉での拒否反応として現れるのです。言語発達が早い子ほど、早い段階でイヤイヤ期が始まる傾向があるのも、この理由によります。

運動能力の発達も重要な要因です。歩けるようになり、手先も器用になってくると、こどもは「自分でやりたい」という気持ちが強くなります。階段を一人で上りたい、ボタンを自分で留めたい、コップに水を注ぎたいなど、様々なことに挑戦したがるようになります。しかし、まだ思うようにできないことが多いため、フラストレーションが溜まりやすくなります。特に、少し背伸びをした挑戦をしたがる時期と重なるため、失敗による不満がイヤイヤ行動につながることがあります。

環境要因も見逃せません。兄弟姉妹がいる家庭では、上の子の真似をしてイヤイヤ期が早く始まることがあります。2歳のお姉ちゃんが「いや!」と言っているのを見て、1歳半の弟も同じように「いや!」と言い始めるケースもよくあります。また、保育園に通い始めると、他のこどもたちとの関わりの中で自己主張が強くなることもあります。お友達が「これは僕の!」と言っているのを見て、自分も同じように主張するようになるのです。一方で、一人っ子や家庭保育の場合は、比較的ゆっくりとした発達を見せることが多いです。

親の関わり方や家庭の雰囲気も影響を与えます。過度に制限が多い環境では、こどもの反発が強くなることがありますし、逆に何でも許してしまう環境では、境界線を探ろうとしてイヤイヤ行動が増えることもあります。また、親が忙しすぎてこどもの要求に十分応えられない時期には、注意を引こうとしてイヤイヤ行動が激しくなることもあります。

生活リズムや体調も大きな要因となります。睡眠不足や疲労、体調不良の時は、普段以上にイヤイヤ行動が激しくなることがよくあります。夜更かしをした翌日や、風邪気味の時などは、些細なことでも大泣きしてしまうことが増えます。また、大きな環境の変化(引っ越し、保育園の入園、下の子の誕生など)があった時期にも、イヤイヤ期が始まったり、激しくなったりすることがあります。

このように、イヤイヤ期には複数の要因が複合的に作用するため、こども一人ひとりの状況を理解した対応が大切です。

そうした理解を踏まえて、イヤイヤ期に備えてどのような準備をしておけば良いのでしょうか。

イヤイヤ期開始前にできる心構えと準備

イヤイヤ期の開始前にしっかりとした心構えと準備をしておくことで、この時期を穏やかに乗り越え親子双方のストレスを軽減できます。

まず、親としての気持ちの準備が最も重要です。イヤイヤ期はこどもの正常な発達過程であり、決して親の育て方に問題があるわけではないということを理解しておきましょう。この時期のこどもの行動は、自立への第一歩として捉え、長い目で見守る心構えを持つことが大切です。「今日も一日お疲れさま」と自分自身を労う気持ちを持ち、完璧な対応を求めすぎず、時には失敗しても良いという寛容な気持ちを持ちましょう。

環境整備も重要な準備の一つです。こどもが安全に自分で挑戦できる環境を作ることで、「自分でやりたい」という欲求を満たしてあげることができます。例えば、こどもの手の届く場所に着替えを置く、洗面台の前に踏み台を用意して手が届くようにする、靴箱を低い位置に設置する、おもちゃの片付けをこども自身ができるような収納システムを作るなどの工夫が効果的です。また、角にクッション材を付けたり、引き出しにストッパーを付けたりして、安全に探索できる環境を整えておくことも大切です。

時間に余裕を持ったスケジュールを組むことも大切な準備です。イヤイヤ期のこどもは、何事にも時間がかかります。靴を履くのに10分、着替えに15分かかることも珍しくありません。急かされることでさらに頑なになってしまうため、朝の支度や外出の準備には普段より30分程度多めの時間を確保しておきましょう。また、「あと5分で出かけるよ」「お風呂まであと3回遊んだらだよ」など、こどもにも予定を伝えておくと、切り替えがスムーズになることが多いです。

対応方法の基礎知識を身につけておくことも重要です。こどもの気持ちに共感することの大切さ、「AとBどちらがいい?」という選択肢を提示する方法、「あ、あそこに猫ちゃんがいるよ」といった気を逸らすテクニックなど、基本的な対応スキルを事前に学んでおくと、いざという時に冷静に対処できます。また、夫婦やパートナー間で「こんな時はこう対応しよう」という方針を話し合っておくことも、一貫した子育てのために重要です。

親自身のストレス発散方法を確保しておくことも忘れてはいけません。イヤイヤ期は親にとっても試練の時期です。こどもが昼寝している間に好きな音楽を聞く、週に一度は一人でカフェに行く時間を作る、信頼できる友人や家族に愚痴を聞いてもらうなど、自分自身のケアも大切にしましょう。「良い親でいなければ」という気持ちも大切ですが、親自身が心の余裕を持つことが、結果的にこどもにとっても良い影響をもたらします。

また、地域の子育て支援センターや保育園の一時預かり、ファミリーサポートなど、いざという時に頼れるサポート体制を調べておくことも有効です。親一人ですべてを抱え込まず、周囲の力を借りることも立派な子育ての一部です。「今日は疲れたから、お昼ご飯は簡単にお弁当にしよう」「今週末は実家に頼んでこどもを預かってもらおう」といった選択肢を持っておくことで、心の負担が軽くなります。

食事や睡眠などの生活リズムを整えておくことも、イヤイヤ期を穏やかに過ごすための重要な準備です。規則正しい生活は、こどもの情緒を安定させ、イヤイヤ行動を軽減する効果があります。毎日同じ時間に起きて、同じ時間に食事をとり、同じ時間に寝るというルーティンを作ることで、こどもも予測がつきやすくなり、安心して過ごすことができます。

このように、適切な準備と心構えがあれば、イヤイヤ期という成長段階を親子で上手に乗り切ることができるでしょう。

監修

代表理事
佐々木知香

略歴

2017年 本田右志理事長より右脳記憶教育講座を指南、「JUNKK認定マスター講師」取得
2018年 幼児教室アップルキッズをリビングサロンとして開講
2020年 佐々木進学教室Tokiwaみらい内へ移転、「佐々木進学教室幼児部」として再スタート
2025年 一般社団法人 日本右脳記憶教育協会(JUNKK)代表理事に就任
塾講師として中高生の学習指導に長年携わる中で、幼児期・小学校期の「学びの土台づくり」の重要性を痛感。
結婚を機に地方へ移住後、教育情報や環境の地域間格差を実感し、「地域に根差した実践の場をつくりたい」との想いから、幼児教室アップルキッズを開校。
発達障害や不登校の支援、放課後等デイサービスでの指導、子ども食堂での学習支援など、多様な子どもたちに寄り添う教育活動を展開中。