夜泣きの特徴とは?月齢別の見分け方と対応のポイントについて

夜泣き

夜中にこどもが泣き出した時、これが夜泣きなのか判断に迷うことはありませんか。

普段の泣きとは何か違うような気がするけれど、その特徴がよく分からないという方も多いでしょう。

実は夜泣きには、空腹やおむつなど原因がある泣きとは異なる明確な特徴があります。

その特徴を理解することで、適切な対応ができるようになり、無駄に焦ることも減ります。

この記事では基本的な特徴から月齢別・原因別の特徴、注意すべき危険なサイン、そして特徴に応じた対応方法まで詳しく解説します。

夜泣きの特徴と普段の泣きとの違いとは?

夜泣きの特徴は突然激しく泣き出して明確な原因が見当たらず、抱っこしてもなかなか泣き止まないという点で、空腹やおむつなど明確な理由がある通常の泣きとは大きく異なります。

夜泣きは、ただ夜に泣くことを指すのではありません。他の泣きとは異なる独特の特徴があり、それを理解することが適切な対応の第一歩です。

夜泣きに見られる典型的な特徴

夜泣きの最大の特徴は、突然激しく泣き出すことです。それまで静かに寝ていたのに、何の前触れもなく泣き始めます。徐々に泣き声が大きくなるのではなく、いきなり大声で泣くため、親も驚いて目が覚めます。

泣き方も激しく、声を振り絞るように泣きます。顔を真っ赤にし、全身に力を入れて泣く様子は、何か苦しいことがあるように見えます。しかし原因を探っても、おむつは濡れていない、お腹も空いていない、暑くも寒くもないという状態です。

抱っこしても泣き止まないのも夜泣きの特徴です。普段なら抱っこすればすぐに落ち着くのに、夜泣きの時は何をしても泣き続けます。授乳してもミルクを飲ませても、効果がないか、一時的に泣き止んでもまたすぐに泣き出します。

目を閉じたまま泣いていることも多くあります。まるで夢の中にいるような状態で、こちらの呼びかけに反応しないこともあります。目は開いていても、どこか焦点が合っていない、ぼんやりした様子で泣いています。

泣き続ける時間も長いのが特徴です。数分で収まることもあれば、30分、1時間と泣き続けることもあります。そして突然泣き止み、何事もなかったかのように眠りにつくことがあります。

一晩に何度も繰り返すことも夜泣きの典型的なパターンです。寝かしつけても1〜2時間後にまた泣き出し、それが朝まで続くこともあります。

空腹やおむつなど原因がある泣きとの違い

空腹で泣いている時は、泣き方に規則性があります。「お腹が空いた」という明確なメッセージがあり、授乳やミルクを与えればすぐに泣き止みます。また空腹の泣きは、徐々に泣き声が大きくなっていく特徴があります。

おむつが濡れて泣いている場合は、不快そうに体をよじったり、お尻の方を気にするような仕草を見せたりします。おむつを替えれば、すぐに落ち着きます。

暑さや寒さで泣いている場合も、触れば体温の異常に気づけます。汗をかいている、手足が冷たいなど、身体的な変化が分かりやすく、温度調整をすれば泣き止みます。

痛みや体調不良で泣いている場合は、泣き方が苦しそうで、特定の部位を気にする仕草があります。耳を触る、お腹を押さえるなど、痛みの場所を示すサインが見られることが多いです。

これらの原因がある泣きは、原因を取り除けば確実に泣き止みます。一方、夜泣きは原因が明確でなく、何をしても泣き止まないか、泣き止んでもまたすぐに泣き出すという違いがあります。

夜泣きの特徴は原因不明で突然激しく泣き出し、抱っこなどの対応でもなかなか落ち着かないという点で、明確な理由がある通常の泣きとは区別できます。

こうした基本的な特徴は、月齢によっても異なる表れ方をするため、次に月齢別の特徴を見ていきましょう。

月齢・年齢別に見る夜泣きの特徴

生後3〜4ヶ月は睡眠サイクルの変化による頻繁な目覚め、6〜8ヶ月は分離不安や歯の生え始めによる激しい夜泣き、1歳以降は夢や環境変化による断続的な夜泣きという特徴があります。

こどもの成長段階によって、夜泣きの特徴は変化します。月齢ごとの違いを理解することで、より適切な対応ができます。

生後3〜4ヶ月頃の夜泣きの特徴

生後3〜4ヶ月は「睡眠退行」と呼ばれる時期で、それまで比較的よく寝ていた赤ちゃんが突然頻繁に目覚めるようになります。この時期の夜泣きの特徴は、規則的に目を覚ますことです。

約90分から2時間おきに目が覚め、そのたびに泣きます。睡眠サイクルが大人に近づく過程で、浅い眠りの時に目覚めやすくなるためです。泣き方はそれほど激しくなく、抱っこや授乳で比較的すぐに落ち着くことが多いです。

寝返りを始める時期とも重なるため、寝返りを打とうとして目が覚める、うつ伏せになって戻れずに泣くという特徴も見られます。この場合は、体勢を戻してあげればすぐに寝ることもあります。

日中の刺激が増える時期でもあるため、興奮状態が続いて夜泣きにつながることがあります。視力が発達して周囲への興味が増し、脳が活発に働いている証拠でもあります。

この時期の夜泣きは、一時的なものが多く、睡眠サイクルに慣れてくる1〜2ヶ月後には落ち着く傾向があります。

生後6〜8ヶ月頃の夜泣きの特徴

生後6〜8ヶ月は、夜泣きが最も激しくなる時期と言われています。この時期の夜泣きは、泣き方が非常に激しいのが特徴です。

分離不安が芽生える時期で、親の姿が見えないことへの不安から、激しく泣いて呼びます。目を開けて泣いていることが多く、親の姿を探すような様子が見られます。抱っこすると少し落ち着きますが、布団に置くとまた泣き出すという繰り返しになります。

歯が生え始める時期とも重なり、歯茎のむず痒さや痛みで夜中に目が覚めて泣きます。よだれが増える、日中に機嫌が悪い、何でも口に入れたがるといった日中の様子と合わせて判断できます。

ハイハイやお座りなど、大きな運動発達が起こる時期でもあります。新しい動きを習得する過程で、夜中に突然泣き出すことがあります。体を動かそうとしながら泣いている様子が見られることもあります。

この時期の夜泣きは、一晩に何度も繰り返し、それぞれが長時間続くという特徴があります。30分から1時間泣き続けることも珍しくありません。

1歳以降の夜泣きの特徴

1歳を過ぎると夜泣きは徐々に落ち着く傾向にありますが、それでも夜泣きをするこどももいます。この時期の夜泣きは、より複雑な心理的要因が関わっているのが特徴です。

怖い夢を見て泣き出すことが増えます。目を覚ましてから「怖かった」と言える年齢なら、夢の内容を話してくれることもあります。泣き方は突然激しくなりますが、抱っこして安心させれば比較的早く落ち着きます。

保育園や幼稚園など、環境の変化があった時に夜泣きが増えるのも特徴です。入園後の数週間、長期休み明けなど、特定の時期に集中して夜泣きが起こることがあります。

トイレに行きたくて目が覚めて泣くこともあります。まだ自分でトイレに行けない、または夜中に起きてトイレに行くことが怖いなどの理由で、泣いて親を呼びます。

言葉が発達してくると「ママがいない」「暗い」「怖い」など、理由を言葉で表現できるようになります。ただし夜中で完全に目が覚めていない状態では、言葉にならずに泣くだけのこともあります。

この時期の夜泣きは毎晩続くというよりも、数日間続いてしばらく落ち着き、またしばらくすると再開するという断続的なパターンが特徴です。

月齢によって睡眠サイクルの変化、分離不安、夢や環境変化など、夜泣きの特徴と原因は大きく異なります。

月齢だけでなく、原因によっても夜泣きの特徴は変わるため、次に原因別の特徴を詳しく見ていきましょう。

原因別の夜泣きの特徴

睡眠サイクルの乱れなら規則的に目覚める、体調不良なら苦しそうな泣き方や発熱を伴う、環境変化なら特定の状況で泣くという特徴があり、これらを見分けることで原因を推測できます。

同じ夜泣きでも、原因によって泣き方や状況に違いが現れます。特徴を観察することで、適切な対応の糸口が見つかります。

睡眠サイクルの乱れによる特徴

睡眠サイクルの乱れが原因の夜泣きは、規則性があるのが特徴です。ほぼ同じ時間帯に目が覚めて泣く、あるいは一定の間隔で泣くというパターンが見られます。

例えば毎晩22時頃と2時頃に泣く、90分おきに目が覚めるなど、時計を見ると予測できるほど規則的です。これは睡眠サイクルの浅い眠りの時に目が覚めてしまうためです。

泣き方はそれほど激しくなく、目を閉じたまま泣いていることが多いです。完全には目が覚めていない半覚醒の状態で、トントンと背中をたたいたり、声をかけたりするだけで再び眠りにつくこともあります。

日中の昼寝の時間や長さが不規則だと、夜の睡眠サイクルも乱れやすくなります。昼寝を遅い時間にとった日、昼寝が長すぎた日などに、夜泣きが増える傾向があります。

生活リズムが整っていない、毎日寝る時間がバラバラという場合にも、この種類の夜泣きが起こりやすくなります。

体調不良が原因の時の特徴

体調不良による夜泣きは、泣き方が苦しそうなのが特徴です。声がかすれている、鼻が詰まって鼻声になっている、咳き込みながら泣くなど、身体的な症状が泣き方に現れます。

発熱を伴うことも多く、抱っこすると体が熱い、汗をかいているといった様子が見られます。逆に悪寒で震えている、手足が冷たいという場合もあります。

耳を触る仕草があれば中耳炎、お腹を押さえるような動きがあれば便秘や腹痛など、痛みの部位を示すサインが見られることがあります。泣き方も、ただ泣くだけでなく苦痛を訴えるような声です。

日中の様子も通常と異なります。食欲がない、機嫌が悪い、元気がない、鼻水や咳が出ているなど、体調不良の兆候が日中から現れています。

歯の生え始めによる夜泣きは、歯茎が赤く腫れている、よだれが急に増えたという特徴があります。何かを噛みたがる、指を口に入れたがるといった行動も見られます。

体調不良が原因の夜泣きは、一時的なものが多く、体調が回復すれば夜泣きも落ち着きます。ただし症状が重い場合は医療機関の受診が必要です。

環境の変化が原因の時の特徴

環境変化による夜泣きは、特定の状況や時期に集中して起こるのが特徴です。引っ越しの直後、旅行中、保育園入園後の数週間など、生活環境が変わったタイミングで夜泣きが始まります。

いつもと違う場所で寝る時に泣きやすくなります。実家に帰省した時、旅行先のホテルなど、慣れない環境では寝つきも悪く、夜中に何度も目覚めて泣きます。

家族の変化も影響します。きょうだいが生まれた、親が仕事に復帰した、引っ越しで近所の環境が変わったなど、生活の中の変化に敏感に反応して夜泣きが増えます。

この種類の夜泣きは、新しい環境に慣れてくると徐々に落ち着きます。数日から数週間で改善することが多いですが、適応に時間がかかるこどももいます。

親の精神状態も影響します。親がストレスを抱えていたり、イライラしていたりすると、こどもはそれを敏感に察知し、夜泣きが増えることがあります。家庭内の雰囲気が落ち着くと、夜泣きも落ち着く傾向があります。

原因によって睡眠サイクルの乱れは規則的、体調不良は苦しそう、環境変化は特定の時期に集中という特徴の違いがあります。

ただし中には、すぐに医療機関を受診すべき危険な夜泣きもあるため、そのサインを知っておくことが重要です。

注意が必要な危険な泣き方の特徴

いつもと明らかに違う弱々しい泣き方や異常に激しい泣き方、呼吸困難や高熱を伴う場合は重大な病気の可能性があり、早急な受診が必要です。

大半の夜泣きは成長の過程で起こる自然な現象ですが、中には病気のサインとして現れるものもあります。見逃さないためのポイントを押さえておきましょう。

病気や体調不良のサイン

通常の夜泣きと明らかに違う泣き方をする場合は注意が必要です。いつもより弱々しく、力のない泣き方をしている時は、体力が消耗している可能性があります。

逆に、異常に激しく何時間も泣き続ける場合も要注意です。どうやっても泣き止まず、声も枯れるほど泣き続ける時は、強い痛みや不快感がある可能性があります。

呼吸の様子がおかしい場合は危険なサインです。息が荒い、ゼーゼーという音がする、呼吸のたびに胸が大きくへこむ、顔色や唇が青白いなどの症状が見られたら、すぐに医療機関を受診してください。

意識レベルの変化も重要なサインです。呼びかけても反応が鈍い、目の焦点が合わない、ぐったりして力が入らないなどの様子があれば、緊急事態の可能性があります。

けいれんを起こしながら泣いている、手足がガクガクと震えているという場合も、すぐに対応が必要です。熱性けいれんの可能性もあれば、他の深刻な症状の可能性もあります。

嘔吐を繰り返す、激しい下痢がある、半日以上水分を受け付けないといった症状と夜泣きが重なる場合は、脱水症状のリスクがあります。

生後3ヶ月未満の赤ちゃんで38度以上の発熱がある場合は、夜泣きの有無にかかわらず受診が必要です。この月齢では免疫力が弱く、細菌感染症のリスクが高いためです。

すぐに受診すべき泣き方

以下のような症状を伴う夜泣きは、夜間であっても救急外来を受診するか、救急車を呼ぶ必要があります。

呼吸困難の症状は最優先です。肩で息をしている、呼吸が止まりそうになる、チアノーゼ(顔色や唇が青紫色になる)が見られる場合は、すぐに救急車を呼びましょう。

けいれんが5分以上続く、けいれんが止まっても意識が戻らない、1日に何度もけいれんを繰り返すといった場合も緊急です。

激しい嘔吐と下痢で明らかに脱水症状がある時も、すぐに受診が必要です。おしっこが半日以上出ていない、唇がカサカサに乾いている、泣いても涙が出ないなどが脱水のサインです。

頭を強く打った後に泣き方が変わった、意識がおかしいという場合も、すぐに受診してください。頭部外傷は時間が経ってから症状が現れることもあります。

判断に迷う場合は、小児救急電話相談(#8000)に電話して相談できます。看護師や医師が受診の必要性をアドバイスしてくれます。

いつもと違う泣き方や呼吸困難、けいれんなどの危険なサインがあれば、迷わず医療機関を受診することが命を守ることにつながります。

危険なサインがなければ、夜泣きの特徴に応じた適切な対応をしていきましょう。

夜泣きの特徴に応じた対応方法

月齢や原因による夜泣きの特徴を理解した上で、抱っこや授乳、環境調整など状況に応じた適切な対応をすることで、落ち着かせやすくなります。

夜泣きの特徴が分かれば、やみくもに対応するのではなく、効果的な方法を選べるようになります。

月齢に合わせた対応

生後3〜4ヶ月の睡眠サイクルの変化による夜泣きには、焦らず見守る姿勢が大切です。すぐに抱き上げるのではなく、トントンと背中をたたいたり、声をかけたりするだけで再び眠ることもあります。この時期は一時的なものなので、過度に心配する必要はありません。

生後6〜8ヶ月の分離不安による夜泣きには、抱っこで安心感を与えることが効果的です。「ここにいるよ」と声をかけながら、しっかりと抱きしめましょう。歯の生え始めが原因の場合は、冷やした歯固めやおしゃぶりを使うと痛みが和らぐことがあります。

1歳以降の夢や環境変化による夜泣きには、言葉で安心させることも有効です。「怖い夢を見たの?大丈夫だよ」と語りかけ、抱っこして落ち着かせます。日中にスキンシップを増やし、安心感を与えることも予防につながります。

原因を探りながらの対応

睡眠サイクルの乱れが原因と思われる場合は、生活リズムを整えることが根本的な解決策です。毎日同じ時間に起き、同じ時間に寝る習慣をつけましょう。昼寝の時間と長さも調整し、夜の睡眠を優先します。

体調不良が原因の場合は、まず症状への対応が必要です。鼻が詰まっているなら鼻水を吸う、発熱があれば体温調節をするなど、不快な症状を軽減します。症状が続く場合や重い場合は、医療機関を受診しましょう。

環境変化が原因の場合は、できるだけいつもと同じ環境を作る工夫をします。旅行先でもいつものぬいぐるみを持っていく、寝る前のルーティンを変えないなど、変化の中にも安定した要素を残します。新しい環境に慣れるまで、日中にたっぷりスキンシップをとることも効果的です。

どの原因でも共通して効果的なのは、寝る前の入眠儀式を確立することです。お風呂、パジャマへの着替え、絵本の読み聞かせなど、毎日同じ流れを作ることで、こどもが安心して眠りにつけるようになります。

また親自身が落ち着いていることも重要です。焦りや不安は子どもに伝わります。深呼吸をして、「夜泣きは成長の証」と前向きに捉える気持ちを持ちましょう。

夜泣きの特徴を理解し、月齢や原因に応じた対応をすることで、少しずつ落ち着かせられるようになります。夜泣きは必ず終わる時期が来ます。多くの場合、1歳半から2歳頃には自然と落ち着いていきます。今は焦らず、こどもの成長段階として受け止めながら、できる範囲で対応していきましょう。

監修

代表理事
佐々木知香

略歴

2017年 本田右志理事長より右脳記憶教育講座を指南、「JUNKK認定マスター講師」取得
2018年 幼児教室アップルキッズをリビングサロンとして開講
2020年 佐々木進学教室Tokiwaみらい内へ移転、「佐々木進学教室幼児部」として再スタート
2025年 一般社団法人 日本右脳記憶教育協会(JUNKK)代表理事に就任
塾講師として中高生の学習指導に長年携わる中で、幼児期・小学校期の「学びの土台づくり」の重要性を痛感。
結婚を機に地方へ移住後、教育情報や環境の地域間格差を実感し、「地域に根差した実践の場をつくりたい」との想いから、幼児教室アップルキッズを開校。
発達障害や不登校の支援、放課後等デイサービスでの指導、子ども食堂での学習支援など、多様な子どもたちに寄り添う教育活動を展開中。