夜泣きがなかったのは大丈夫?ない理由と成長への影響について

夜泣き

うちのこどもは夜泣きがなかったけれど、これは問題ないのだろうかと心配になっていませんか。

周りの親が苦労している話を聞くと、逆に不安になってしまうこともあるでしょう。

「ないのは何か発達に問題があるのでは」と考える方もいるかもしれません。

実は大きな個人差があり、多くのこどもが経験せずに成長しています。

この記事では夜泣きがなかった理由、そうしたこどもの特徴、心配すべきケース、急に始まった場合の対応、良好な状態を維持する工夫まで詳しく解説します。

夜泣きがなかったのは問題ない?

夜泣きがなかったことは発達上まったく問題なく、こどもの穏やかな気質や安定した環境、良好な睡眠習慣といったむしろ良い要因によるものです。

夜泣きは多くのこどもが経験しますが、必ずしもすべてのこどもに起こるわけではありません。夜泣きがないことを心配する必要はまったくないのです。

夜泣きには大きな個人差がある

夜泣きは、成長の過程で起こる現象の一つですが、すべてのこどもに必ず起こるものではありません。研究によれば、夜泣きをするこどもは全体の約30〜50%程度と言われており、半数近くのこどもは夜泣きを経験せずに成長します。

つまり夜泣きがないこどもは決して少数派ではなく、ごく普通のことなのです。「夜泣きがあって当たり前」という認識は、実は正確ではありません。

夜泣きの有無は、成長の速さや知能の発達とは関係がありません。夜泣きをしないこどもも、するこどもも、それぞれのペースで健やかに成長していきます。夜泣きは発達の指標ではなく、単なる睡眠パターンの個人差なのです。

また同じ親から生まれたきょうだいでも、一人は激しく夜泣きをして、もう一人はまったくしないということも珍しくありません。これは育て方の違いではなく、生まれ持った気質や体質の違いによるものです。

性格や気質による違い

こどもには生まれ持った気質があり、それが夜泣きの有無に大きく影響します。もともと穏やかで刺激に対して敏感でない気質のこどもは、夜泣きをしにくい傾向があります。

睡眠が得意なこどもも存在します。深い眠りに入りやすく、浅い眠りの時にも目が覚めにくい体質のこどもは、夜泣きをせずに朝まで眠り続けることができます。これは才能とも言える素晴らしい特性です。

不安を感じにくい性格のこどももいます。分離不安が起こりにくかったり、環境の変化にあまり動じなかったりするこどもは、夜泣きの主な原因となる心理的な要因が少ないため、夜泣きをしない傾向があります。

感覚が鈍感というわけではなく、ただ刺激に対する反応が穏やかなだけです。日中はしっかり反応し、笑ったり泣いたりもするけれど、夜中の目覚めには動じないというバランスの良い気質なのです。

環境や育児方法の影響

夜泣きがない理由として、安定した生活環境も大きく関わっています。規則正しい生活リズムが確立されていると、体内時計が整い、夜通し眠りやすくなります。

親が落ち着いて育児をしていることも影響します。親の精神状態が安定していると、こどもも安心して過ごせるため、夜泣きが起こりにくくなります。家庭内が穏やかな雰囲気であることは、こどもの睡眠の質を高めます。

授乳やミルクのリズムが整っていることも要因の一つです。日中にしっかりと栄養を取り、夜間は空腹で目覚めないという理想的なリズムができていると、夜泣きは起こりにくくなります。

寝かしつけの方法が適切であることも関係します。入眠儀式が確立されていたり、安心できる睡眠環境が整っていたりすると、深く眠れるため夜泣きをしません。

夜泣きがないのは、こどもの気質、環境、育児方法などの良い要因が重なった結果であり、心配する必要は全くありません。

むしろ夜泣きがなかったこどもには、どのような特徴があるのかを次に見ていきましょう。

夜泣きがなかったこどもに見られる特徴

夜泣きがなかったこどもは、もともと睡眠が得意な気質であったり、規則正しい生活リズムが確立していたり、安心できる環境で過ごしているという特徴があります。

夜泣きをしないこどもには、いくつかの共通した特徴が見られることがあります。ただしこれらはあくまで傾向であり、すべてに当てはまるわけではありません。

よく寝る穏やかな性格

夜泣きがないこどもの多くは、日中も比較的よく寝る傾向があります。昼寝もすんなり入り、起こさない限り長時間寝続けることができます。睡眠そのものが得意な体質なのです。

穏やかな性格のこどもも夜泣きをしにくいです。大きな音や環境の変化があっても、それほど動揺せず、落ち着いて過ごせます。刺激に対する反応が穏やかなため、夜中に目覚めても自然に再び眠りにつけます。

泣くことが少ない傾向もあります。もちろん必要な時はしっかり泣きますが、泣く頻度や時間が短めです。不快感を感じても、泣く以外の方法で対処できることが多いのかもしれません。

機嫌が良い時間が長いのも特徴です。日中もご機嫌で過ごせることが多く、親にとっても育てやすいと感じられることがあります。ただしこれは親の育て方が上手だからではなく、こどもの生まれ持った気質によるものです。

生活リズムが整っている

夜泣きがないこどもは、早い段階で生活リズムが確立していることが多いです。生後2〜3ヶ月頃には、昼夜の区別がつき始め、夜にまとまった睡眠をとれるようになります。

授乳やミルクの時間も規則的になりやすいです。日中にしっかりと栄養を取り、夜間は長時間空腹を感じずに眠れます。夜中に空腹で目覚めることが少ないため、夜泣きも起こりません。

昼寝のタイミングも安定しています。遅い時間に昼寝をすることが少なく、夕方にはしっかり目が覚めているため、夜の寝つきが良くなります。

体内時計が整いやすい体質である可能性もあります。光や食事の時間に対する身体の反応が適切で、自然と規則正しいリズムが身につきます。

親子関係が安定している

親が落ち着いて育児をしていると、こどもも安心して過ごせます。親の不安やストレスが少ない家庭では、こどもも情緒が安定し、夜泣きが起こりにくくなります。

日中に十分なスキンシップが取れていることも重要です。抱っこやふれあいの時間が豊富にあると、こどもは安心感を得られます。この安心感が、夜の安定した睡眠につながります。

寝かしつけの方法が一貫していることも特徴です。毎日同じルーティンで寝かしつけることで、こどもは「これから寝る時間」と理解し、スムーズに入眠できます。

家庭環境が穏やかであることも影響します。夫婦関係が良好で、家の中が落ち着いた雰囲気であると、こどもは安心して眠れます。逆に家庭内に緊張があると、こどもは敏感に察知して夜泣きが増えることがあります。

夜泣きがなかったこどもは、気質、生活リズム、環境といった複数の良い要因に恵まれています。

ただし夜泣きがないことで心配すべきケースもわずかながらあるため、その見極め方を知っておきましょう。

夜泣きがなくても心配すべきケースと見極め方

夜泣きがないこと自体は問題ありませんが、日中も反応が鈍い、泣くことがほとんどない、発達の遅れが気になるといった他の症状を伴う場合は専門家に相談が必要です。

ほとんどの場合、夜泣きがないのは良いことですが、まれに注意が必要なケースもあります。見極めのポイントを押さえておきましょう。

発達の遅れや反応の鈍さがある場合

夜泣きがないことに加えて、全体的な発達が遅れている場合は、一度専門家に相談した方が良いでしょう。例えば首すわりやお座り、ハイハイなどの運動発達が明らかに遅い、言葉の発達が気になるといった場合です。

視線が合わない、名前を呼んでも反応しないといった社会性の発達に気になる点がある場合も、小児科や発達相談窓口に相談することをおすすめします。夜泣きがないことだけが問題ではなく、他の発達面と合わせて総合的に判断する必要があります。

音や光などの刺激に対する反応が極端に鈍い場合も注意が必要です。大きな音がしても驚かない、痛みに対する反応が薄いといった場合は、感覚の発達に何か課題がある可能性があります。

ただしこれらは夜泣きがないことが原因ではなく、別の要因によるものです。夜泣きの有無と発達の遅れに直接の因果関係はありません。

極端に泣かない、表情が乏しい場合

夜だけでなく、日中もほとんど泣かない、感情表現が乏しいという場合は、注意が必要かもしれません。こどもは泣くことでコミュニケーションをとるため、適切な場面で泣かないのは心配です。

お腹が空いても泣かない、おむつが濡れても泣かない、痛くても泣かないといった状態が続く場合は、小児科を受診しましょう。泣くべき時に泣かないのは、何らかの問題のサインかもしれません。

笑顔が少ない、表情の変化が乏しいといった場合も、情緒の発達に課題がある可能性があります。生後2〜3ヶ月頃には社会的微笑(人に対して笑う)が見られるようになりますが、これがまったく見られない場合は相談が必要です。

親との愛着形成ができていないように見える場合も気になります。抱っこを嫌がる、親が近くにいても無関心といった様子があれば、専門家に相談しましょう。

受診を検討すべきサイン

夜泣きがないことに加えて、以下のようなサインがある場合は、小児科や保健センターに相談することをおすすめします。

体重の増え方が極端に悪い、授乳やミルクを飲まないといった場合は、何らかの身体的な問題がある可能性があります。睡眠が長すぎて起きない、起こしても反応が鈍いという場合も心配です。

極端に睡眠時間が長い場合も注意が必要です。新生児でも1日の大半を寝て過ごしますが、授乳の時間になっても起きない、起こしてもすぐにまた寝てしまうといった場合は相談しましょう。

発熱や体調不良があるのに泣かないという場合も、痛みや不快感を感じる感覚に問題がある可能性があります。

ただしこれらのサインがなく、日中は元気で発達も順調であれば、夜泣きがないことは全く問題ありません。心配しすぎる必要はないのです。

夜泣きがなく順調に過ごしていても、ある日突然夜泣きが始まることもあります。

夜泣きがなかったのに急に始まった時の対応

今まで夜泣きがなかったのに急に始まるのは、睡眠サイクルの変化や環境の変化による自然な現象であり、落ち着いて月齢に応じた対応をすれば問題ありません。

夜泣きがなかったこどもでも、ある時期から突然夜泣きが始まることがあります。これは決して珍しいことではなく、むしろよくあるパターンです。

月齢による睡眠サイクルの変化

生後3〜4ヶ月頃は、睡眠サイクルが大きく変化する時期です。それまで夜泣きがなかったこどもでも、この時期から急に目覚めるようになることがあります。これは脳の発達に伴う自然な変化で、心配する必要はありません。

生後6〜8ヶ月頃も夜泣きが始まりやすい時期です。分離不安が芽生え始めたり、歯が生え始めたりするため、それまで夜泣きがなかったこどもでも泣き始めることがあります。

1歳前後には、歩行の練習など大きな運動発達があります。新しいスキルを習得する過程で脳が興奮状態になり、夜泣きが始まることもあります。

これらの時期に夜泣きが始まっても、発達が順調に進んでいる証拠です。一時的なものであることが多く、数週間から数ヶ月で落ち着くことがほとんどです。

環境の変化が原因の場合

引っ越し、保育園の入園、きょうだいの誕生など、生活環境が大きく変わった時に、夜泣きが始まることがあります。それまで安定していた環境が変わることで、不安を感じるようになるのです。

旅行や帰省で普段と違う場所で寝た後に、夜泣きが始まることもあります。慣れない環境での睡眠が、その後の睡眠パターンに影響を与えることがあります。

親の生活リズムが変わった時も影響します。親が仕事に復帰した、引っ越しで忙しくなったなど、親の変化をこどもは敏感に察知します。

こうした環境変化による夜泣きは、新しい環境に適応すれば落ち着きます。日中にたっぷりスキンシップをとり、安心感を与えることで、早く適応できるようになります。

急に始まった夜泣きへの対処法

急に夜泣きが始まっても、焦る必要はありません。まず原因を探ります。体調不良のサインがないか、環境に変化がなかったか、発達の節目を迎えていないかなどを確認しましょう。

基本的な対応は、通常の夜泣きと同じです。抱っこや授乳、声かけなどで安心感を与えます。「急に始まったから何か特別な対応を」と考える必要はありません。

生活リズムを見直すことも効果的です。最近リズムが乱れていないか確認し、毎日同じ時間に起き、同じ時間に寝る習慣を再確認しましょう。

寝る前のルーティンも見直します。最近変えたことがあれば、元に戻してみることも一つの方法です。こどもは変化に敏感なため、いつもと同じ流れを保つことで安心します。

数日から数週間様子を見て、改善しない場合や悪化する場合は、小児科や保健センターに相談しましょう。ただし多くの場合、一時的なものであり、自然と落ち着いていきます。

急に始まった夜泣きも、成長の一過程として受け止め、落ち着いて対応することが大切です。

夜泣きがなかった良好な状態を、できるだけ長く維持するための工夫も見ていきましょう。

夜泣きがない状態を維持するための工夫

規則正しい生活リズムと安定した睡眠環境、適度な日中活動を続けることで、夜泣きがない良好な睡眠習慣を維持できる可能性が高まります。

夜泣きがなかったのは幸運なことですが、その状態を維持するためにできることもあります。ただし完璧を目指す必要はなく、できる範囲で続けることが大切です。

規則正しい生活リズムの継続

毎日同じ時間に起き、同じ時間に寝るという基本的なリズムを保ちましょう。休日も平日と大きく変えないことで、体内時計が乱れにくくなります。

朝は7時前後には起こし、カーテンを開けて日光を浴びさせます。朝の光が体内時計をリセットし、夜の自然な眠気を促します。これは夜泣きがないこどもにも、引き続き有効な習慣です。

食事の時間も一定にします。特に夕食の時間は、寝る2時間前までに済ませることを心がけましょう。胃に負担がかかっていると、睡眠の質が下がる可能性があります。

昼寝の時間と長さも調整が必要です。月齢が上がるにつれて昼寝の必要時間は減っていきます。遅い時間の昼寝は避け、15時以降は昼寝をさせないようにすることで、夜の睡眠を守れます。

安定した入眠環境の維持

寝る前のルーティンを確立し、それを継続しましょう。お風呂、パジャマへの着替え、歯磨き、絵本の読み聞かせなど、毎日同じ流れを保つことで、こどもは安心して眠りにつけます。

部屋の環境も一定に保ちます。室温は20〜22度、湿度は50〜60%が目安です。季節によって調整は必要ですが、できるだけ快適な環境を維持しましょう。

照明も重要です。寝る1時間前からは部屋を暗めにし、テレビやスマートフォンの画面を避けます。ブルーライトは睡眠を妨げるため、寝室には持ち込まないことが理想です。

寝室は静かで落ち着いた環境を保ちましょう。大きな音や突発的な音は避け、必要に応じてホワイトノイズなど一定のリズムの音を小さく流すのも効果的です。

安心できるアイテムも継続して使います。お気に入りのぬいぐるみやタオルを寝る時の相棒にすることで、安心感が維持されます。

日中の適度な活動

日中は月齢に応じた適度な活動をさせましょう。外遊びや散歩で体を動かし、太陽の光を浴びることが大切です。適度な疲労感が、夜の良質な睡眠につながります。

ただし疲れすぎは逆効果です。興奮しすぎたり、刺激が強すぎたりすると、かえって寝つきが悪くなります。バランスを取りながら、適度な活動を心がけましょう。

日中にたっぷりスキンシップをとることも重要です。抱っこしたり、一緒に遊んだり、触れ合う時間を大切にすることで、こどもの情緒が安定します。

夕方以降は徐々に活動レベルを落としていきます。16時以降は激しい遊びを避け、お絵描きや絵本など、静かな遊びに切り替えます。この緩やかな移行が、スムーズな入眠を促します。

親自身が落ち着いていることも大切です。親がストレスを抱えていると、こどもはそれを察知します。親が心身ともに健康で、穏やかに過ごせる環境を整えることも、夜泣きがない状態を維持することにつながります。

規則正しい生活、安定した環境、適度な活動という基本を続けることで、夜泣きがない良好な状態を維持しやすくなります。夜泣きがなかったことは、本当にラッキーなことです。多くの親が夜泣きで苦労する中、あなたのこどもは夜通し眠ってくれています。それは決して問題ではなく、むしろ祝福すべきことです。発達も順調で、日中も元気であれば、何も心配することはありません。この幸運に感謝しながら、できる範囲で良好な睡眠習慣を維持していきましょう。そしてもし急に夜泣きが始まったとしても、それは成長の一過程として受け止め、焦らず対応していけば大丈夫です。

監修

代表理事
佐々木知香

略歴

2017年 本田右志理事長より右脳記憶教育講座を指南、「JUNKK認定マスター講師」取得
2018年 幼児教室アップルキッズをリビングサロンとして開講
2020年 佐々木進学教室Tokiwaみらい内へ移転、「佐々木進学教室幼児部」として再スタート
2025年 一般社団法人 日本右脳記憶教育協会(JUNKK)代表理事に就任
塾講師として中高生の学習指導に長年携わる中で、幼児期・小学校期の「学びの土台づくり」の重要性を痛感。
結婚を機に地方へ移住後、教育情報や環境の地域間格差を実感し、「地域に根差した実践の場をつくりたい」との想いから、幼児教室アップルキッズを開校。
発達障害や不登校の支援、放課後等デイサービスでの指導、子ども食堂での学習支援など、多様な子どもたちに寄り添う教育活動を展開中。