こどもの夜泣きが突然ひどくなり、風邪が原因ではないかと心配になることはありませんか。
いつもとは違う苦しそうな泣き方をしていると、どう対処すればよいか迷ってしまうものです。
実際、鼻詰まりや咳、発熱などといった症状が睡眠を妨げることは珍しくありません。
この記事では風邪による夜泣きの原因を詳しく解説し、家庭でできる対処法から病院受診の判断基準までお伝えします。
夜泣きは風邪が原因でひどくなる?
風邪を引くと、鼻詰まりや咳による呼吸の苦しさ、発熱による不快感や体温調節の乱れが、こどもの睡眠を妨げるため夜泣きがひどくなる場合があります。
こどもは大人と比べて鼻腔が狭く、少しの鼻水でも詰まりやすい構造をしています。風邪を引いて鼻水が増えると、特に仰向けで寝ている時に鼻が詰まりやすくなります。日中は起きて動いているため何とか呼吸できていても、夜横になると鼻水が喉に流れ込んだり、鼻腔を塞いだりして呼吸が苦しくなるのです。
鼻詰まりで呼吸が苦しくなる
鼻が詰まると口呼吸になりますが、乳幼児はまだ上手に口呼吸ができません。特に生後6ヶ月未満の赤ちゃんは鼻呼吸が基本なので、鼻が詰まると授乳中も苦しくなり、満足に飲めないまま空腹で起きてしまうこともあります。
鼻詰まりによる夜泣きは、泣き声が鼻にかかったような音になったり、息苦しそうにゼーゼーという音が聞こえたりするのが特徴です。泣いている最中も鼻をすすったり、口を開けて呼吸したりする様子が見られます。
寝入った後も鼻詰まりで何度も目が覚め、その都度泣いて親を呼ぶという悪循環に陥ります。こどもは自分で鼻をかむことができないため、不快感を泣くことでしか表現できないのです。
咳や喉の痛みで眠りが浅くなる
風邪による咳も、夜泣きを引き起こす大きな要因です。日中は起きて動いているため咳が出てもある程度気にならないのですが、夜横になると喉に痰が溜まりやすくなり、咳が頻繁に出るようになります。
特に夜中から明け方にかけては、副交感神経が優位になることで気管支が収縮し、咳が出やすくなります。咳き込むたびに目が覚め、そのまま泣き出してしまうのです。
喉が痛い場合は、唾を飲み込むだけでも痛みを感じます。こどもは痛みの原因が分からず、ただ不快感で泣いてしまいます。また喉の痛みで水分を取りたがらなくなると、喉がさらに乾燥して咳が悪化するという悪循環も生まれます。
発熱による不快感と体調の変化
発熱時は体温調節がうまくいかず、暑く感じたり寒く感じたりを繰り返します。この体温の変動が睡眠を妨げ、夜泣きを引き起こします。熱が上がる時は寒気を感じて震え、熱が下がる時は汗をかいて不快になるのです。
また発熱中は頭痛や関節の痛み、倦怠感など全身の不調を感じています。大人なら「風邪で体が痛い」と理解できますが、こどもは原因が分からない不快感に耐えられず、泣いて訴えるしかありません。
熱があると脳の覚醒レベルも変化し、浅い眠りが増えます。少しの刺激で目が覚めやすくなり、目覚めた時の不快感で泣き出すのです。さらに発熱時は喉が渇きやすく、脱水気味になると余計に不機嫌になります。
風邪を引くと鼻詰まりや咳による呼吸の苦しさ、発熱に伴う体温調節の乱れや全身の不快感が重なり、いつも以上に夜泣きがひどくなります。
こうした風邪による夜泣きを少しでも和らげるための、家庭でできる具体的な対処法を見ていきましょう。
風邪の時の夜泣きを和らげる具体的な対処法
風邪の時の夜泣きを和らげるには、室内の加湿と上体を少し起こした姿勢での寝かせ方、こまめな水分補給と適切な体温管理が効果的です。
風邪を引いている時の夜泣きは、症状そのものを少しでも楽にすることが最優先です。完全に泣き止ませることは難しくても、不快感を軽減することで夜泣きの回数や程度を減らすことができます。
鼻詰まりを楽にする室内環境と体勢
鼻詰まりを和らげる最も効果的な方法は、室内の湿度を50〜60%に保つことです。乾燥していると鼻水が固まりやすく、詰まりも悪化します。加湿器を使うか、濡れたタオルを室内に干すなどして湿度を保ちましょう。
寝る体勢も重要です。完全に平らな状態だと鼻水が喉に流れ込みやすいため、バスタオルや枕を使って上体を少し高くします。ただし窒息のリスクを避けるため、枕は頭だけでなく背中から支える形にし、角度は15〜30度程度に留めましょう。
鼻水が出ている場合は、こまめに吸い取ってあげることも大切です。市販の鼻吸い器を使う、お風呂上がりの鼻水が柔らかくなっている時に吸うなど、タイミングを見計らいましょう。ただし吸いすぎると鼻の粘膜を傷つけるので、1日3〜4回程度に留めます。
寝る前に温かい蒸しタオルを鼻の付け根に当てると、鼻の通りが一時的に良くなることもあります。お風呂の蒸気も効果的なので、寝る直前に入浴させるのも一つの方法です。
咳を落ち着かせる工夫
咳を和らげるには、まず喉を乾燥させないことが重要です。こまめに水分を与え、室内を加湿します。寝る前に白湯や温かい麦茶を飲ませると、喉が潤って咳が出にくくなります。
はちみつは咳を鎮める効果があると言われていますが、1歳未満の乳児にはボツリヌス菌のリスクがあるため絶対に与えないでください。1歳以上であれば、寝る前にスプーン1杯程度のはちみつを舐めさせるのも有効です。
咳き込んで起きた時は、縦抱きにして背中を優しくトントンとたたいてあげましょう。少し起き上がらせることで痰が動きやすくなり、咳が落ち着くこともあります。
寝室の温度も重要です。冷たい空気は気管を刺激するため、室温は20〜22度程度に保ちます。ただし暖めすぎると乾燥するので、加湿とのバランスを取りましょう。
発熱時の適切なケア
発熱時は体温調節を助けることが大切です。熱が上がっている時(悪寒がある時)は温かくし、熱が上がりきって汗をかき始めたら薄着にして涼しくします。こどもの様子を見ながら、服の枚数や布団の厚さを調整しましょう。
38度以上の熱がある場合は、小児科医に相談の上、解熱剤を使用することも検討します。ただし解熱剤は熱を下げるだけで風邪を治すわけではなく、むやみに使うと体の免疫反応を妨げることもあるため、医師の指示に従ってください。
こまめな水分補給も欠かせません。発熱時は汗で水分が失われやすく、脱水になると機嫌も悪くなります。起きている時はもちろん、夜中に目を覚ました時にも少量ずつ水分を与えましょう。母乳やミルク、白湯、麦茶などを少しずつ飲ませます。
汗をかいたら着替えさせることも重要です。濡れた服を着ていると体温が奪われて不快になり、夜泣きの原因になります。枕元に着替えを用意しておくと、夜中でもすぐに対応できます。
室内の加湿と適切な姿勢、水分補給と体温管理といった基本的なケアを丁寧に行うことで、風邪の時の夜泣きを大きく軽減できます。
ただし夜泣きだけでは風邪かどうか判断できないこともあるため、他の症状にも注意を払う必要があります。
夜泣きから風邪のサインに気づくポイント
夜泣きから風邪を疑うサインは、いつもと違う苦しそうな泣き方や鼻声、鼻水や発熱、機嫌の悪さといった他の症状が伴っているかどうかです。
すべての夜泣きが風邪によるものではありません。こどもは様々な理由で夜泣きをするため、風邪のサインを見逃さないためには泣き方の特徴と付随する症状を総合的に判断することが大切です。
いつもと違う泣き方の特徴
風邪の時の夜泣きは、普段の夜泣きとは明らかに異なる特徴があります。まず泣き声が鼻にかかったような音になることが多く、「フガフガ」という鼻詰まりの音が混じります。
また泣き方が切羽詰まった感じになります。空腹や寂しさによる夜泣きは、比較的リズムがあって徐々に激しくなっていきますが、風邪で苦しい時の泣き方は突然激しく泣き出し、息苦しそうに途切れ途切れになるのが特徴です。
呼吸の音にも注目しましょう。ゼーゼー、ヒューヒューという喘鳴が聞こえたり、呼吸のたびに胸やお腹が大きく動いたりする場合は、呼吸が苦しくなっている可能性があります。
さらに風邪の時は、抱っこしてもなかなか泣き止まないことが多いです。普段なら抱っこで落ち着くのに、何をしても泣き続ける場合は体調不良を疑いましょう。
泣き声以外の症状をチェック
夜泣き以外の症状を確認することで、風邪かどうかの判断がより正確になります。まず鼻水が出ていないかチェックしましょう。透明でサラサラした鼻水は風邪の初期症状、黄色や緑色の粘り気のある鼻水は風邪が進行しているサインです。
熱を測ることも重要です。平熱より1度以上高い場合は発熱と考えます。ただし乳幼児は体温調節が未熟なため、厚着や部屋の温度でも簡単に体温が上がります。一度の測定だけでなく、少し時間をおいて再度測ってみましょう。
咳が出ているかどうかも確認します。寝ている間にコンコンと乾いた咳をしている、ゴホゴホと痰が絡んだ咳をしているなど、咳の種類にも注目してください。
日中の機嫌や食欲も重要なサインです。いつもより機嫌が悪い、遊びに興味を示さない、食欲がないなどの様子が見られたら、体調不良の可能性が高いです。
目やにが増えたり、くしゃみを頻繁にしたりするのも風邪の症状です。また普段より寝る時間が長い、あるいはぐったりして元気がない場合も注意が必要です。
いつもとは違う苦しそうな泣き方に加えて、鼻水・咳・発熱・機嫌の悪さなどの症状が見られる場合、風邪による夜泣きの可能性が高いと判断できます。
風邪の症状が確認できたら、次に考えなければならないのは病院を受診すべきかどうかの判断です。
風邪の夜泣きで病院を受診すべきタイミング
風邪による夜泣きで病院を受診すべきなのは、呼吸困難や高熱、ぐったりした様子など緊急性の高い症状がある時は夜間でもすぐに、軽度の症状なら翌朝かかりつけ医を受診するのが基本的な判断です。
風邪の多くはウイルス性で自然治癒しますが、中には重症化するケースや別の病気が隠れているケースもあります。適切なタイミングで受診することで、こどもの負担を最小限にできます。
緊急性が高い症状
以下の症状が見られる場合は、夜間であっても救急外来を受診するか、救急車を呼ぶ必要があります。
呼吸の異常は最も注意すべきサインです。息が荒く肩で息をしている、呼吸のたびに胸がペコペコと極端にへこむ、顔色や唇が青白くなっている、呼吸が止まりそうになるなどの症状は緊急事態です。
意識レベルの低下も危険なサインです。呼びかけても反応が鈍い、ぐったりして動かない、けいれんを起こしているなどの場合はすぐに救急車を呼びましょう。
生後3ヶ月未満の赤ちゃんで38度以上の発熱がある場合も、すぐに受診が必要です。この月齢では免疫力が弱く、細菌感染症のリスクが高いためです。
また水分を全く受け付けず、半日以上おしっこが出ていない場合は脱水の危険があります。脱水が進むと唇が乾いてひび割れる、泣いても涙が出ない、皮膚のハリがなくなるなどの症状が現れます。
激しい嘔吐や下痢を繰り返している、極端に機嫌が悪く何時間も泣き続けているなども、重症化のサインかもしれません。
様子を見てもよい場合と受診すべき場合の見極め
一方、以下のような場合は自宅で様子を見ながら、翌朝または診療時間内にかかりつけ医を受診すればよいでしょう。
熱が37.5〜38度程度で、水分は取れており機嫌もそこまで悪くない場合は、夜間に慌てて受診する必要はありません。ただし発熱が3日以上続く、熱が一度下がってまた上がるなどの場合は受診しましょう。
鼻水や咳が出ていても、食欲があり普段と変わらず遊べているなら、数日様子を見てもかまいません。ただし咳がだんだんひどくなる、夜眠れないほどの咳が続く場合は受診が必要です。
夜泣きがひどくても、日中は元気で食欲もあり、発熱もない場合は、必ずしも風邪ではなく他の理由(歯が生える不快感など)の可能性もあります。数日様子を見て改善しないなら相談しましょう。
判断に迷う時は、小児救急電話相談(#8000)に電話して相談することもできます。看護師や医師が受診の必要性をアドバイスしてくれます。
呼吸困難や意識レベルの低下、生後3ヶ月未満の高熱など危険なサインがある時は夜間でもすぐに受診し、軽度の症状で全身状態が安定していれば翌朝の受診で問題ありません。
病院での治療も大切ですが、そもそも風邪を引かないための予防習慣を身につけることが最も重要です。
風邪予防で夜泣きを防ぐ日常的な工夫
風邪を予防して夜泣きを防ぐには、規則正しい生活リズムとバランスの良い食事で免疫力を高め、手洗いや適度な湿度管理といった基本的な感染対策を習慣化することが効果的です。
風邪を完全に防ぐことは難しいですが、日常的な工夫でかかりにくい体を作ることは可能です。特に保育園や幼稚園に通い始めると風邪をもらいやすくなるため、家庭での予防習慣が重要になります。
免疫力を高める生活習慣
こどもの免疫力を高める基本は、規則正しい生活リズムです。毎日同じ時間に起き、同じ時間に寝ることで、体内時計が整い免疫機能も正常に働きます。十分な睡眠時間を確保することも大切で、1〜3歳なら11〜14時間、3〜5歳なら10〜13時間の睡眠が目安です。
栄養バランスの取れた食事も免疫力向上に欠かせません。特にビタミンCを多く含む果物や野菜、タンパク質、発酵食品などを積極的に取り入れましょう。偏食があっても、少しずつ様々な食材に触れる機会を作ることが大切です。
適度な運動も免疫力を高めます。外遊びで体を動かすことで、体力がつき風邪に負けない体になります。また日光を浴びることでビタミンDが生成され、これも免疫機能をサポートします。
ただし疲れすぎは逆効果です。遊びすぎて疲労が溜まると、免疫力が低下して風邪を引きやすくなります。こどもの様子を見ながら、適度な活動量を心がけましょう。
感染予防の基本対策
感染予防の基本は手洗いです。外から帰った時、食事の前、トイレの後など、こまめに石鹸で手を洗う習慣をつけましょう。まだ一人で洗えない年齢なら、親が一緒に洗ってあげます。手洗いの歌を作って楽しく洗う習慣をつけると、こどもも嫌がりません。
室内の湿度管理も重要です。特に冬場は暖房で乾燥しやすいため、加湿器を使って50〜60%の湿度を保ちましょう。乾燥するとウイルスが空気中に浮遊しやすくなり、鼻や喉の粘膜も乾いて感染しやすくなります。
人混みを避けることも効果的です。特に風邪が流行している時期は、不要不急の外出を控え、必要な場合もできるだけ短時間で済ませましょう。保育園や幼稚園など集団生活の場では完全に防ぐことは難しいですが、週末の人混みへの外出は控えめにするなど、できる範囲で工夫します。
家族が風邪を引いたら、こどもへの感染を防ぐ配慮も必要です。マスクをする、タオルを別にする、食器を共用しないなどの対策をとりましょう。
予防接種も有効な手段です。インフルエンザワクチンは毎年接種することで重症化を防げます。かかりつけ医と相談しながら、適切な時期に予防接種を受けましょう。
規則正しい生活と栄養バランスの良い食事で免疫力を高め、手洗いや湿度管理といった基本的な感染対策を続けることで、風邪を予防し夜泣きのリスクも減らせます。それでも風邪を引いてしまった時は、焦らず適切なケアをしながら、必要に応じて医師に相談しましょう。こどもの体調の変化に寄り添いながら、無理なく見守っていくことが大切です。
監修

略歴
| 2017年 | 本田右志理事長より右脳記憶教育講座を指南、「JUNKK認定マスター講師」取得 |
|---|---|
| 2018年 | 幼児教室アップルキッズをリビングサロンとして開講 |
| 2020年 | 佐々木進学教室Tokiwaみらい内へ移転、「佐々木進学教室幼児部」として再スタート |
| 2025年 | 一般社団法人 日本右脳記憶教育協会(JUNKK)代表理事に就任 |



