「毎晩の夜泣き対応がしんどい」と、心身ともに限界を感じていませんか。
睡眠不足で思考も感情もコントロールできず、涙が出てくることもあるでしょう。
「こんなにしんどいと感じる自分はダメな親なのか」と自分を責めてしまう方もいるかもしれません。
しかしこのように感じるのは、あなたが弱いからではなく人間として当然の反応です。
この記事では夜泣きがしんどい理由を整理し、自分を責めずに心身を楽にする方法、周囲への頼り方、限界を超える前の対処法まで詳しく解説します。
夜泣き対応がしんどいと感じるのはなぜ?
慢性的な睡眠不足による体力の限界、誰にも理解されない孤独感、いつまで続くのか分からない不安が重なり合うことで、夜泣き対応が耐え難いほどしんどい状態になります。
夜泣きのしんどさは、単なる疲労だけではありません。身体的、精神的、社会的な複数の要因が絡み合って、心を追い詰めていくのです。
体力的な限界と慢性的な疲労
夜泣きで一晩に何度も起こされると、深い睡眠をとる時間が極端に減ります。人間の脳と身体は深い眠りの間に回復するため、浅い眠りと覚醒を繰り返す状態では、どれだけ長く横になっていても疲れが取れません。
この状態が数日、数週間、数ヶ月と続くと、睡眠負債が蓄積していきます。日中も常に眠気と倦怠感に襲われ、頭がぼーっとして何も考えられなくなります。簡単な家事にも時間がかかり、それがさらにストレスを生むという悪循環に陥ります。
慢性的な睡眠不足は免疫力も低下させるため、風邪を引きやすくなったり、体調不良が長引いたりします。体が重く、何をするにも億劫で、ただ横になっていたいという気持ちが強くなります。
授乳中の場合はさらに大変です。夜中に何度も授乳することで身体的な負担が増し、ホルモンバランスも乱れがちです。産後の回復が十分でないうちから睡眠不足が続くと、体力の回復が追いつきません。
精神的な孤独感と理解されない辛さ
夜泣きの辛さは、経験した人にしか分かりません。パートナーや家族に「大変だね」と言われても、本当の辛さは理解されていないと感じることがあります。
特に夜中は孤独です。世界中で自分だけが起きて苦しんでいるような感覚に陥ります。周りは静かに眠っているのに、自分だけが泣いているこどもに向き合い続ける孤立感は、想像以上に心を消耗させます。
SNSで他の親が楽しそうに子育てしている様子を見ると、「みんなは上手くやっているのに、なぜ自分だけこんなにしんどいのか」と比較して落ち込むこともあります。実際は多くの親が同じように苦しんでいるのですが、それが見えないため、自分だけが取り残されているように感じてしまうのです。
「こどもはかわいいはずなのに、泣き声を聞くとイライラしてしまう」という自分の感情に罪悪感を持つこともあります。こどもを愛しているのに、夜泣きの瞬間には「もう無理」と思ってしまう自分を責め、さらに精神的に追い詰められます。
終わりが見えない不安
夜泣きがいつまで続くのか分からない不安も、しんどさを増幅させます。「あと1週間で終わる」と分かっていれば耐えられても、終わりが見えないトンネルの中にいるような感覚は、心を折ります。
「もしかしたらずっとこのままなのでは」「自分の対応が悪いから夜泣きが続いているのでは」と考え始めると、不安はさらに大きくなります。育児書やネットの情報を見ても、「個人差があります」としか書いてなく、具体的な見通しが立たないことも不安を煽ります。
毎晩「今夜こそは寝てくれるかもしれない」と期待しては裏切られることの繰り返しも辛いものです。希望を持つことすら怖くなり、「どうせまた泣くだろう」と諦めた気持ちで布団に入るようになります。
体力の限界、精神的な孤独、終わりの見えない不安が重なり合い、夜泣きがしんどいという感情を作り出しています。
このしんどさを感じることは、決してあなたが悪い親だからではないということを、次にしっかり理解しましょう。
夜泣きがしんどいと感じる自分を責めないで
夜泣きがしんどいと感じるのは人間として当然の反応であり、完璧でなくても弱音を吐いても、それはあなたが悪い親だという証拠では全くありません。
多くの親が「しんどいと感じてはいけない」「こどものためなら我慢すべき」と自分にプレッシャーをかけていますが、それは自分を追い詰めるだけです。
しんどいと感じることは当然の反応
人間は睡眠を妨げられ続けると、誰でもしんどくなります。これは拷問として使われるほど過酷なことです。夜泣きがしんどいと感じるのは、あなたの忍耐力が足りないからではなく、生物として当然の反応なのです。
「母親なら耐えられるはず」「親なら我慢すべき」という社会の期待は、現実を無視した幻想です。親も一人の人間であり、睡眠も休息も必要です。限界を超えれば壊れてしまいます。
しんどいと感じることは、心身が発しているSOSのサインです。このサインを無視して頑張り続けると、うつ状態になったり、身体を壊したりする危険があります。「しんどい」という感覚を大切にし、自分の限界を認めることが重要です。
完璧な親である必要はない
完璧に夜泣きに対応できなくても、こどもは育ちます。一晩や二晩、十分に対応できなかったとしても、それでこどもの成長に深刻な影響が出ることはありません。
夜泣きに即座に反応できない夜があっても大丈夫です。少し泣かせてしまっても、日中にたっぷり愛情を注いでいれば、親子の絆は損なわれません。「すぐに抱っこしないと愛着形成に悪影響」といった情報に振り回される必要はないのです。
また夜泣き対応の方法に正解はありません。抱っこで寝かしつける、添い乳をする、放置気味にするなど、様々な方法があり、それぞれの家庭で合う方法を選べばよいのです。他人の方法と比較して自分を責める必要はありません。
育児は長期戦です。完璧を目指して短期間で燃え尽きるよりも、60点でも長く続けられる方がはるかに価値があります。
弱音を吐くことは恥ずかしくない
「しんどい」「もう無理」「誰か助けて」と弱音を吐くことは、恥ずかしいことでも情けないことでもありません。むしろ自分の状態を正しく認識し、助けを求められる賢明さの表れです。
弱音を吐かずに我慢し続ける方が危険です。限界を超えてから助けを求めても、回復に時間がかかります。早めに弱音を吐き、早めに助けを得ることで、深刻な事態を防げます。
パートナーや家族に「つらい」と伝えることも大切です。黙っていては誰も状況の深刻さに気づきません。「もう限界」と正直に話すことで、協力を得られる可能性が高まります。
SNSやブログで愚痴を書くことも、ストレス発散になります。同じように苦しんでいる人からの共感コメントが、孤独感を和らげてくれることもあります。
しんどいと感じる自分を責めるのではなく、認めて受け入れることが、次の一歩につながります。
その上で、心身を少しでも楽にする具体的な方法を試していきましょう。
心身を楽にするための具体的な方法
数時間でもまとまった睡眠をとる機会を作り、感情を吐き出せる相手や場所を見つけ、小さな楽しみを持つことで心身の負担を軽減できます。
完全に楽になることは難しくても、少しでも負担を減らす工夫は可能です。できることから始めてみましょう。
まとまった睡眠を確保する工夫
最も効果的なのは、週に1〜2日でもまとまった睡眠をとる機会を作ることです。パートナーや家族に夜泣き対応を完全に任せ、自分は別室で耳栓をして眠る日を設けましょう。
数時間でも中断されずに眠ることで、脳と身体が回復します。4時間×2回よりも、8時間×1回の方が、睡眠の質は格段に高くなります。
日中の仮眠も有効です。こどもが昼寝している間は、家事をせずに一緒に寝ることを優先しましょう。「昼寝すると夜眠れない」と心配するかもしれませんが、慢性的な睡眠不足の状態では、昼寝は必要です。
一時預かりやファミリーサポートを利用して、こどもを預けている間に眠るのも一つの方法です。罪悪感を持つ必要はありません。親が休息をとることは、こどものためでもあるのです。
気持ちを吐き出す場所を持つ
感情を溜め込まず、吐き出すことも重要です。信頼できる友人に電話やメッセージで愚痴を聞いてもらうだけでも、心が軽くなります。
地域の子育て支援センターや児童館に行けば、同じような悩みを持つ親と出会えます。「うちも同じ」という共感の言葉が、どれほど救いになるか分かりません。
オンラインのコミュニティも活用できます。匿名で参加できる育児相談の掲示板やSNSのグループでは、率直に辛さを吐露できます。顔を合わせない分、本音を言いやすいこともあります。
日記をつけるのも効果的です。感情を文字にすることで、頭の中が整理されます。ポジティブなことを書く必要はなく、ネガティブな感情をそのまま書き出すだけで、心が落ち着くことがあります。
自分へのご褒美と小さな楽しみ
どんなに忙しくても、自分へのご褒美を設定しましょう。好きなスイーツを買う、お気に入りのカフェに30分だけ立ち寄る、好きな音楽を聴くなど、小さなことで構いません。
一人の時間を確保することも大切です。パートナーにこどもを任せて、1〜2時間だけ外出する時間を作りましょう。美容院、買い物、散歩など、何をするかよりも、一人でいられることが重要です。
オンラインショッピングで自分のためのものを買うのも、気分転換になります。育児用品ばかり買うのではなく、自分が欲しいものを買うことで、「自分も大切にされている」という感覚を取り戻せます。
好きなドラマや動画を見る、漫画を読む、趣味の時間を少しでも持つなど、育児以外の楽しみを持つことも心の支えになります。「育児中だから贅沢は我慢」ではなく、「育児中だからこそ自分を労わる」という発想に切り替えましょう。
まとまった睡眠、感情の吐き出し、自分へのご褒美という3つの柱で、心身の負担を少しずつ軽くしていけます。
ただし一人で頑張るには限界があるため、周囲に助けを求めることも必要です。
一人で抱え込まず周囲に助けを求める
パートナーや家族に「何をしてほしいか」を具体的に伝え、友人や地域のサービスにも積極的に頼りながら、一人で抱え込まない環境を作ることが重要です。
「人に頼るのは申し訳ない」という遠慮は、今は捨てましょう。助けを求めることは、賢明な選択です。
パートナーや家族への具体的な頼み方
パートナーがいる場合は、まず現状の辛さを具体的に伝えます。「しんどい」だけでなく、「睡眠時間が1日4時間しかとれていない」「日中も意識が朦朧としている」と数字や状況で説明しましょう。
そして具体的に何をしてほしいか伝えます。「察してほしい」では伝わりません。「週に2日は夜泣き対応を完全に任せたい」「土曜日の午前中は一人で外出させてほしい」と明確に依頼します。
実家や親戚に頼れる場合は、週末だけ泊まりに行く、月に1回来てもらうなど、定期的なサポートを依頼しましょう。一度きりではなく、継続的な協力を得られると心の余裕が生まれます。
頼む際は「申し訳ない」と過度に謝る必要はありません。「助けてほしい」とストレートに伝える方が、相手も動きやすくなります。
友人や地域のサポート
友人に頼ることも遠慮する必要はありません。「数時間だけこどもを見ていてくれないか」「一緒に公園に行って遊んでくれないか」と頼んでみましょう。断られても失うものはありません。
地域のファミリーサポートは、登録会員がこどもを預かってくれる制度です。比較的低料金で利用でき、数時間から対応してもらえます。事前登録が必要なので、余裕のある時に手続きを済ませておきましょう。
子育て支援センターでは、保育士や相談員に話を聞いてもらえます。専門家の視点からアドバイスをもらえることもあれば、ただ話を聞いてもらうだけでも気持ちが楽になります。
一時預かりサービスも活用しましょう。数時間から丸一日まで預かってもらえるため、その間に休息をとれます。「仕事でもないのに預けるのは」と躊躇する必要はありません。親の休息も立派な理由です。
行政サービスや相談窓口の活用
自治体には様々な子育て支援サービスがあります。保健センターに相談すれば、利用できる制度や窓口を教えてもらえます。
産後ケアサービスがある自治体では、宿泊型や訪問型の支援を受けられます。助産師や保育士のサポートを受けながら休息をとることができます。
育児相談の電話窓口も利用できます。匿名で相談でき、24時間対応のところもあります。「こんなことで電話してもいいのか」と躊躇せず、気軽に利用しましょう。
心の健康に不安がある場合は、心療内科や精神科を受診することも検討してください。カウンセリングや必要に応じた薬の処方を受けることで、症状が改善することがあります。
周囲のサポートを得ながら、夜泣きそのものを減らす取り組みも並行して行いましょう。
夜泣きそのものを減らす取り組み
規則正しい生活リズムと安定した入眠環境を整え、月齢に応じた適切な対応をすることで、夜泣きの頻度や激しさを軽減できる可能性があります。
すぐに効果が出るとは限りませんが、少しずつ改善していくことで、親の負担も軽くなります。
生活リズムと入眠環境の調整
毎日同じ時間に起き、同じ時間に寝る習慣をつけることが基本です。朝は7時前後に起こし、カーテンを開けて日光を浴びさせましょう。休日も同じリズムを保つことが重要です。
日中は月齢に応じた活動をさせ、適度な疲労を感じさせます。ただし夕方以降は徐々に活動レベルを落とし、静かな遊びに切り替えます。
寝る前のルーティンを確立しましょう。お風呂、パジャマへの着替え、絵本の読み聞かせなど、毎日同じ流れを作ることで、こどもが「寝る時間」を認識しやすくなります。
寝室の環境も整えます。室温は20〜22度、湿度は50〜60%が目安です。照明は暗めにし、テレビやスマートフォンの光は避けましょう。
月齢別の夜泣き軽減策
生後3〜4ヶ月の睡眠退行期は、一時的なものなので焦らず対応します。寝返りの練習をしている場合は、日中にたくさん練習させることで、夜の目覚めが減ることがあります。
生後6〜8ヶ月の分離不安の時期は、日中にたっぷりスキンシップをとり、安心感を与えることが大切です。寝る前も「ここにいるよ」と声をかけながら寝かしつけましょう。
1歳以降は、日中の言葉がけを増やし、コミュニケーションを豊かにすることで、情緒が安定します。寝る前の絵本の時間も、親子の絆を深める機会として大切にしましょう。
ただし夜泣きには個人差が大きく、何をしても減らない場合もあります。「自分の対応が悪いから」と自分を責めないでください。成長とともに必ず落ち着く時期が来ます。
夜泣き軽減の取り組みをしながらも、自分の心身の限界サインを見逃さないことが最も重要です。
限界のサインを見逃さず適切に対処する
不眠や食欲不振、感情のコントロールができないなどのサインが出たら限界を超えている証拠であり、専門家に相談したり休む決断をしたりすることが必要です。
我慢を美徳とせず、限界を認めて適切に対処することが、自分とこどもを守ることにつながります。
心身の危険なサイン
以下のような症状が現れたら、限界を超えているサインです。まず自分の状態を客観的に確認しましょう。
疲れているのに眠れない、横になっても目が冴えてしまうという不眠症状は、ストレスが限界を超えている証拠です。また食欲がない、何を食べても味がしない、食べると吐き気がするといった症状も要注意です。
感情のコントロールができなくなることもあります。些細なことで泣き出す、怒りが抑えられない、こどもに怒鳴ってしまうといった状態は、心が悲鳴を上げています。
こどもを可愛いと思えない、世話をすることが苦痛でしかないと感じる場合も、深刻な状態です。「いなくなってほしい」「消えてしまいたい」という考えが頭をよぎるなら、すぐに助けを求める必要があります。
身体症状として、頭痛、めまい、動悸、胃痛、肩こりなどが続く場合も、ストレスが身体に現れています。
専門家に相談すべき状況
上記のような症状がある場合は、心療内科や精神科の受診を検討しましょう。「そこまで大げさにしなくても」と躊躇する必要はありません。早めの対応が回復を早めます。
産後うつの可能性もあります。出産後数ヶ月から1年以内に発症することが多く、夜泣きによる睡眠不足がきっかけになることもあります。専門的な治療を受けることで改善します。
保健センターや子育て支援センターでも相談できます。心理士や保健師が話を聞いてくれ、必要に応じて医療機関を紹介してもらえます。
カウンセリングを受けることも有効です。専門家に話を聞いてもらうだけでも、心の整理ができ、気持ちが楽になることがあります。
休む決断をする勇気
どうしても限界の場合は、一時的にこどもを預けて休む決断も必要です。実家に数日間預ける、ショートステイサービスを利用するなど、物理的に離れて休息をとりましょう。
「母親がこどもを預けるなんて」という罪悪感を持つ必要はありません。倒れてしまってからでは遅いのです。数日離れることで、回復してまた向き合えるようになります。
育児休業を延長する、仕事を休職する、一時的に保育園の利用を増やすなど、生活を見直すことも検討してください。今は無理をせず、生き延びることを最優先にすべきです。
夜泣きは永遠には続きません。多くの場合、1歳半から2歳頃には落ち着いてきます。今がどんなにしんどくても、必ず終わりは来ます。完璧な親でなくても、こどもは育ちます。しんどいと感じる自分を責めず、使える手段はすべて使い、周囲に助けを求めながら、何とかこの時期を乗り越えてください。あなた自身が健康で笑顔でいることが、こどもにとって最も大切なことなのです。
監修

略歴
| 2017年 | 本田右志理事長より右脳記憶教育講座を指南、「JUNKK認定マスター講師」取得 |
|---|---|
| 2018年 | 幼児教室アップルキッズをリビングサロンとして開講 |
| 2020年 | 佐々木進学教室Tokiwaみらい内へ移転、「佐々木進学教室幼児部」として再スタート |
| 2025年 | 一般社団法人 日本右脳記憶教育協会(JUNKK)代表理事に就任 |



