夜泣きをしているこどもを見て、完全に起こすべきか迷ったことはありませんか。
半分寝ている状態で泣いている時、起こした方がいいのか、それとも見守る方がいいのか判断に悩むものです。
中途半端に声をかけてかえって泣きがひどくなった経験がある方もいるでしょう。
夜泣きの際に起こすかどうかは、状況によって判断が分かれます。
本記事では、正しい判断基準と対処法について、詳しく解説します。
夜泣きで起こすべき?起こさない方がいい?
夜泣きで起こすべきかどうかは、こどもの状態や月齢によって判断が異なり、完全に起こすか見守るかの中途半端が最も良くありません。
まず、基本的な考え方を理解することが重要です。夜泣きには様々な原因があり、それぞれに適切な対応が異なります。空腹やおむつの不快感など、明確なニーズがある場合は、完全に起こして対応する必要があります。一方、睡眠サイクルの移行期の軽いぐずりや、夜驚症のように意識がない状態での泣きは、起こさない方が良い場合もあります。
中途半端な対応が最も良くない理由は、こどもを混乱させるためです。半分寝ている状態で声をかけたり触ったりすると、完全に目が覚めてしまい、再び眠るのが難しくなります。また、こども自身も、自分が泣いていたことすら認識していない場合もあります。中途半端に刺激すると、逆に覚醒してしまい、夜泣きが長引くことがあります。
起こした方がいい場合の基本的な考え方は、こどもに明確なニーズがあり、保護者の対応が必要な時です。空腹、不快感、痛み、恐怖など、何らかの問題があって泣いている場合は、しっかりと起こして対応します。完全に覚醒させて、問題を解決してから、再び寝かしつける方が、結果的に早く落ち着きます。
起こさない方がいい場合の基本的な考え方は、こども自身が自力で再び眠りにつける状況の時です。睡眠サイクルの移行期に一時的に覚醒して軽くぐずっている場合や、夜驚症のように意識がない状態で泣いている場合は、刺激せずに見守る方が良いです。また、こどもがセルフコンフォーティング(自己慰撫)を学習している時期は、少し見守ることで、自分で落ち着く力が育ちます。
つまり、一律に「起こすべき」「起こさないべき」と決めるのではなく、その時の状況を見極めて判断することが大切だということです。
では、具体的にどのような場合に起こした方がいいのでしょうか。
夜泣きで起こした方がいい場合とその理由
明確なニーズがある場合や、放置すると問題が悪化する場合は、しっかり起こして対応することが必要です。
身体的な不調のサインがある場合は、必ず起こして確認します。発熱、嘔吐、激しい咳、呼吸が苦しそう、顔色が悪いなどの症状がある場合は、単なる夜泣きではなく、体調不良の可能性があります。いつもと違う泣き方をしている、痛そうに泣いている、特定の部位を気にしているなどの様子があれば、しっかり起こして状態を確認しましょう。中耳炎で耳が痛い、お腹が痛い、歯が痛いなど、身体の不調がある場合、放置すると症状が悪化することもあります。
空腹やおむつの不快感も、起こして対応すべき理由です。特に低月齢の赤ちゃんは、空腹で泣いていることが多いです。授乳間隔を確認し、明らかに空腹の時間であれば、起こして授乳します。また、おむつが濡れている、うんちをしているなどの不快感も、眠りを妨げます。おむつかぶれの原因にもなるため、起こして交換する方が良いです。これらのニーズを満たさないまま寝かせようとしても、こどもは落ち着かず、結果的に夜泣きが長引きます。
悪夢で怖がっている時も、起こして安心させることが重要です。2歳以降になると、想像力が発達し、悪夢を見ることが増えます。「怖い」「ママ」などと言いながら泣いている場合、悪夢を見ている可能性が高いです。この場合、優しく名前を呼んで起こし、「大丈夫だよ」「夢だったんだよ」と安心させます。悪夢の恐怖が残ったまま半分寝ている状態だと、不安が続きます。完全に起こして、保護者がそばにいることを認識させることで、安心して再び眠りにつけます。
低月齢の赤ちゃんの場合は、基本的に起こして対応することが推奨されます。生後6ヶ月未満の赤ちゃんは、セルフコンフォーティング能力がまだ未発達です。泣いているということは、何らかのニーズがあるサインです。放置せず、起こして原因を確認し、対応することが大切です。この時期は、泣いたらすぐに対応することで、基本的な信頼感が形成されます。
また、激しく泣き続けている場合も、起こして対応すべきです。数分経っても泣き止まない、泣き声がどんどん激しくなる場合は、自力では落ち着けない状態です。見守りを続けても改善しないため、起こして抱っこするなどの対応が必要です。
このように、こどもに明確なニーズがある場合は、しっかり起こして対応することが正解です。
一方、起こさない方がいい場合もあります。
夜泣きで起こさない方がいい場合とその理由
意識がない状態や、自力で落ち着ける状況では、刺激せずに見守る方が良い場合があります。
夜驚症の場合は、起こそうとしてはいけません。夜驚症は、深い睡眠中に突然起こる現象で、目は開いていても意識がありません。急に起き上がって叫んだり、激しく泣いたりしますが、保護者の顔を認識できません。声をかけても反応せず、むしろ触れられることを嫌がります。この状態の時に無理に起こそうとすると、こどもが混乱し、暴れたり、パニックが悪化したりすることがあります。夜驚症は数分から十数分で自然に落ち着き、再び眠りにつきます。翌朝は全く覚えていないことがほとんどです。この場合は、安全を確保して見守ることが最善の対応です。
セルフコンフォーティングを学習中の時期も、少し見守ることが有効です。生後6ヶ月から1歳頃は、自分で落ち着く力を学ぶ時期です。夜中に目が覚めても、数分待てば自分で再び眠りにつけることがあります。すぐに起こして抱っこすると、「泣けば抱っこしてもらえる」と学習し、セルフコンフォーティング能力が育ちません。軽いぐずり程度であれば、1〜3分様子を見て、自分で落ち着けるか確認します。ただし、泣き声が激しくなる場合は、すぐに対応が必要です。
軽いぐずり程度の場合も、見守りが適切です。半分寝ている状態で、小さな声で泣いている、すぐに泣き止みそうな様子であれば、刺激しない方が良いです。この状態の時に声をかけたり触ったりすると、完全に目が覚めてしまい、再入眠が難しくなります。暗い部屋で静かに見守り、自然に落ち着くのを待ちます。
睡眠サイクルの移行期も、見守りが効果的です。人間の睡眠は、レム睡眠(浅い眠り)とノンレム睡眠(深い眠り)を繰り返します。この切り替わりの時に、一時的に覚醒して泣くことがあります。この時の泣きは、通常短時間で、自然に次の睡眠サイクルに入っていきます。刺激せずに見守ることで、スムーズに次の睡眠に移行できます。
また、寝言泣きの場合も起こす必要はありません。完全に眠っている状態で、寝言のように泣くことがあります。目は閉じたまま、または半目の状態で、短時間だけ泣き声を出します。これは夢を見ている証拠で、意識はありません。刺激すると目が覚めてしまうため、そっと見守ります。
このように、こども自身が自力で対処できる状況では、不用意に刺激しない方が良いことも多いです。
では、起こすべきか起こさないべきかを、どう判断すればよいのでしょうか。
夜泣きで起こすか起こさないかの判断基準
いくつかのポイントを観察することで、適切な判断ができます。
泣き方の強さと継続時間は、最も重要な判断基準です。激しく泣いている、声が裏返るほど泣いている、息が詰まるような泣き方をしている場合は、起こして対応が必要です。一方、小さな声でぐずっている程度であれば、まず見守ります。また、継続時間も重要です。1〜2分で泣き止みそうな様子であれば見守り、3分以上泣き続ける、または泣き声がどんどん大きくなる場合は、対応が必要です。
意識状態の確認も大切です。こどもの顔を見て、目が開いているか、焦点が合っているか確認します。目が開いていて、周囲を見ている様子であれば、起こして対応します。目が閉じたまま、または目は開いていても焦点が合わず、ぼんやりしている場合は、まだ完全には覚醒していません。この状態では、刺激せずに様子を見ます。また、名前を呼んでみて、反応があるかどうかも確認できます。反応がなければ、意識がない状態なので、見守ります。
月齢による判断も重要です。生後6ヶ月未満の赤ちゃんは、泣いたら基本的に起こして対応します。この時期は、セルフコンフォーティング能力がまだないため、保護者の対応が必要です。生後7ヶ月から1歳頃は、軽いぐずりであれば1〜3分様子を見ますが、激しく泣く場合はすぐに対応します。1歳以降は、5分程度様子を見ることもできますが、こどもの様子を見ながら柔軟に判断します。
時間帯の考慮も役立ちます。入眠後1〜3時間頃に起こる泣きは、夜驚症の可能性があります。この時間帯に突然激しく泣き出した場合は、まず夜驚症を疑い、刺激せずに見守ります。一方、明け方の泣きは、悪夢やレム睡眠中の泣きが多く、意識がある可能性が高いため、起こして対応します。また、授乳間隔を考慮し、明らかに空腹の時間であれば、起こして授乳します。
日中の様子との関連も参考になります。日中、大きな変化があった、疲れている、体調が優れないなどの場合は、何か問題がある可能性が高いため、起こして確認します。一方、日中は特に問題なく、元気に過ごしていた場合は、睡眠サイクルの問題である可能性が高いため、少し見守ります。
身体のサインも確認しましょう。汗をかいている、顔が赤い、呼吸が荒いなどの症状があれば、体調不良や暑すぎるなどの問題がある可能性があります。起こして確認し、対処します。
これらの基準を総合的に判断することで、適切な対応ができます。
では、起こすと判断した場合、どのように起こせばよいのでしょうか。
夜泣きで起こす時の適切な方法
段階的に優しく起こし、完全に覚醒させてから対応することが重要です。
優しく起こす手順
まず、部屋の照明を調整します。いきなり明るい電気をつけるのではなく、薄暗い照明から始めます。常夜灯や間接照明を使い、こどもの目に優しい明るさにします。急激な明るさの変化は、こどもを驚かせ、機嫌を悪くする原因になります。
次に、優しく声をかけます。「○○ちゃん、起きて」「ママだよ」などと、穏やかな声で名前を呼びます。大きな声で叫ぶのではなく、優しくゆっくりと話しかけます。声をかけながら、肩や背中を優しくトントンします。
反応がなければ、少しずつ刺激を強めます。肩を軽く揺する、頬を優しく撫でる、手を握るなど、徐々に身体的な刺激を加えていきます。それでも起きない場合は、縦抱きにして起こすことも効果的です。姿勢を変えることで、覚醒しやすくなります。
完全に覚醒させるポイント
中途半端に目を開けた状態で対応しても、こどもは何が起こっているか理解できません。完全に覚醒させることが大切です。
目が開いたら、顔を見て話しかけます。「起きた?」「ママの顔、見える?」と確認します。こどもの視線が合い、周囲を認識している様子が見えたら、完全に起きているサインです。
水を飲ませることも、覚醒を促します。少量の水を飲ませることで、完全に目が覚めます。また、身体を起こして座らせることも効果的です。横になったままより、座った姿勢の方が覚醒しやすくなります。
完全に起きたら、なぜ泣いていたのか確認します。「お腹空いた?」「おむつ替える?」「怖い夢見た?」と聞きながら、原因を探ります。言葉で説明できない月齢でも、おむつを確認する、授乳を試すなど、考えられる原因に対処していきます。
再入眠への導き方
問題を解決したら、再び寝かしつけます。この時、興奮させないことが重要です。
部屋は暗いままにします。授乳やおむつ交換も、できるだけ薄暗い照明で行います。会話も必要最低限にし、静かに対応します。遊び始めないように注意します。
落ち着いたら、寝かしつけのルーティンを簡易的に行います。子守唄を歌う、背中をトントンする、抱っこして揺らすなど、普段の寝かしつけ方法を使います。
再入眠には時間がかかることもあります。焦らず、じっくりと付き合うことが大切です。イライラせず、穏やかな雰囲気を保つことで、こどもも安心して眠りにつけます。
このように、起こす場合は、段階的に優しく、完全に覚醒させることがポイントです。
一方、起こさずに見守る場合は、どう対応すればよいのでしょうか。
夜泣きで起こさずに見守る時の対応方法
見守る場合も、ただ放置するのではなく、適切な見守り方があります。
安全確保の方法は、最優先事項です。こどもがベッドから落ちないか、布団が顔にかかっていないか、危険な姿勢になっていないかを確認します。特に夜驚症で暴れている場合は、怪我のリスクがあります。ベッドの周りの危険物を遠ざける、柵を確認する、必要に応じて支えるなど、安全を確保しながら見守ります。
適切な見守り時間は、月齢や状況によって異なります。低月齢であれば1〜2分、1歳以降であれば3〜5分程度が目安です。ただし、これは絶対的なルールではなく、こどもの様子を見ながら判断します。泣き声が小さくなっている、落ち着きそうな様子であれば、もう少し見守ります。逆に、泣き声が激しくなる、長時間泣き続ける場合は、設定した時間前でも対応します。
介入すべきタイミングを見極めることも重要です。見守っていて、以下のような変化があれば、介入が必要です。泣き声がどんどん激しくなる、設定した時間を過ぎても泣き止まない、呼吸が乱れる、激しく動いて危険、完全に目が覚めて保護者を呼んでいるなどの場合です。これらのサインが見られたら、見守りをやめて対応に切り替えます。
見守り中の注意点として、完全に部屋を出てしまわないことが大切です。近くで見守り、いつでも対応できる体制を保ちます。ベビーモニターを使用している場合も、音だけでなく映像も確認します。また、兄弟姉妹が同じ部屋にいる場合は、その子たちが起きないように配慮します。
見守りながらも、こどもへの信頼を持つことが大切です。「自分で落ち着ける」と信じて見守ることで、セルフコンフォーティング能力が育ちます。ただし、過信は禁物です。明らかに苦しんでいる、助けを求めている様子があれば、すぐに対応します。
見守った結果、自分で落ち着いて再び眠りについた場合は、それを成功体験として捉えます。こどもは、「自分で落ち着けた」という経験を積み、徐々に夜泣きが減っていきます。
夜泣きで起こすか起こさないかの判断は、こどもの状態、月齢、泣き方などを総合的に見て決めることが大切です。完全に起こす場合は段階的に優しく、完全に覚醒させて対応します。見守る場合は、安全を確保しながら、適切な時間と距離で見守ります。中途半端な対応が最も良くないため、どちらかをはっきり決めて対応しましょう。そして、その判断は毎回同じである必要はありません。その日の状況、こどもの様子に応じて、柔軟に対応することが、最善の育児につながります。
監修

略歴
| 2017年 | 本田右志理事長より右脳記憶教育講座を指南、「JUNKK認定マスター講師」取得 |
|---|---|
| 2018年 | 幼児教室アップルキッズをリビングサロンとして開講 |
| 2020年 | 佐々木進学教室Tokiwaみらい内へ移転、「佐々木進学教室幼児部」として再スタート |
| 2025年 | 一般社団法人 日本右脳記憶教育協会(JUNKK)代表理事に就任 |



