指しゃぶりはいつから始まる?原因と月齢別の特徴について!

指しゃぶり

赤ちゃんの指しゃぶりを見て、いつから始まったのか疑問に思う親御さんは多いのではないでしょうか。

生まれたばかりの赤ちゃんが指を口に入れる姿は愛らしいものですが、これが習慣になるのか心配になることもあります。

実は赤ちゃんの指しゃぶりは、お腹の中にいる時から始まっており、成長の自然な過程の一部です。

この記事では、いつから始まるのかという疑問から、始まる理由、月齢別の特徴、そして親の適切な心構えまで詳しく解説します。

指しゃぶりはいつから始まるの?一般的な時期

指しゃぶりは胎児期から始まっており、生後2〜3ヶ月頃に最も顕著になりますが、個人差が大きいのが特徴です。

胎児期からの指しゃぶりとして、実は指しゃぶりはお腹の中にいる時から始まっています。超音波検査で、妊娠15週頃から胎児が指を口に入れている様子が観察されることがあります。この時期の指しゃぶりは、吸啜反射の練習であり、生まれた後に母乳やミルクを飲むための準備となっています。お腹の中で既に指しゃぶりを経験している赤ちゃんは、生まれてすぐに指を吸うことができます。

新生児期の吸啜反射について、生まれたばかりの赤ちゃんには、口に触れたものを吸う「吸啜反射」という原始反射が備わっています。これは生存のための本能であり、母乳やミルクを飲むために不可欠な反射です。指が口に触れると自然に吸い始めるのは、この反射によるものです。新生児期は、まだ手の動きをコントロールできないため、偶然指が口に触れた時に吸うという形ですが、これも指しゃぶりの始まりです。

月齢別の始まる時期として、生後1〜2ヶ月頃から、少しずつ手の動きが発達し、偶然ではなく意識的に手を口に持っていくようになります。この時期はまだ握った拳全体を口に入れることが多く、特定の指だけを吸うことは少ないです。生後2〜3ヶ月頃になると、手の動きがより洗練され、親指や人差し指など特定の指を口に入れるようになります。多くの赤ちゃんで指しゃぶりが顕著に見られるようになるのがこの時期です。

生後4〜6ヶ月頃は、手を自由に動かせるようになり、意図的に指を吸うようになります。この時期は口で物を探索する「口唇期」でもあり、手に取ったものを何でも口に入れて確かめようとします。指しゃぶりもこの探索行動の一部です。また、この時期から歯が生え始めるため、歯茎のムズムズ感を和らげるために指を吸うこともあります。

生後6ヶ月以降は、指しゃぶりが習慣として定着する時期です。安心するため、眠る時、退屈な時など、特定の状況で指を吸うパターンができてきます。この時期の指しゃぶりは、単なる反射ではなく、自分で自分を落ち着かせる「自己鎮静」の方法として確立されていきます。

個人差の理解も重要です。指しゃぶりを始める時期には大きな個人差があります。生まれてすぐから頻繁に吸う赤ちゃんもいれば、ほとんど吸わない赤ちゃんもいます。また、ある時期だけ吸って自然にやめる赤ちゃんもいれば、長期間続ける赤ちゃんもいます。これらの違いは、赤ちゃんの気質、感覚の敏感さ、環境などによって生じるものであり、早く始めたから問題、遅いから問題ということはありません。

母乳やミルクとの関係も影響することがあります。母乳やミルクで十分に吸啜欲求が満たされている赤ちゃんは、指しゃぶりが少ない傾向があります。逆に、授乳時間が短かったり、哺乳瓶の乳首の穴が大きくてすぐに飲み終わってしまったりする場合、吸いたい欲求が残って指しゃぶりが増えることがあります。

このように、指しゃぶりは胎児期から始まり、生後数ヶ月で顕著になる自然な行動です。

では、なぜ赤ちゃんは指しゃぶりを始めるのでしょうか。

指しゃぶりが始まる理由と発達的意味

指しゃぶりが始まるのは、吸啜反射という本能に加え、安心感を得たり、世界を探索したりする発達上重要な行動だからです。

吸啜反射という本能が基盤にあります。赤ちゃんは生まれつき「吸う」という行動のプログラムを持っています。これは生存のための最も基本的な本能であり、母乳やミルクを飲むために不可欠です。口に何かが触れると反射的に吸い始めるこの反射は、生後4〜6ヶ月頃まで強く残ります。指しゃぶりは、この吸啜反射が指に向けられた結果として始まります。

安心感を得るための行動としても重要です。お腹の中にいた時から慣れ親しんだ行動である指しゃぶりは、赤ちゃんに大きな安心感を与えます。不安な時、眠い時、疲れた時に指を吸うことで、心が落ち着き、リラックスできます。これは、大人がため息をついたり、深呼吸をしたりして落ち着くのと同じような、赤ちゃんなりのストレス対処法なのです。

口で世界を探索する段階であることも理由の一つです。生後数ヶ月の赤ちゃんにとって、口は最も敏感で、情報を得やすい器官です。手で触るよりも先に、口に入れることで物の形、大きさ、質感を理解しようとします。指しゃぶりも、自分の体を認識する過程の一部であり、「これは自分の指だ」「吸うとこういう感じがする」という学習をしているのです。

自己鎮静の学習という側面も重要です。赤ちゃんは最初、泣くことでしか不快を表現できませんが、成長とともに自分で自分を落ち着かせる方法を学んでいきます。指しゃぶりは、その最初の自己鎮静方法です。親に頼らずとも、自分で心を落ち着かせられるという経験は、自立への第一歩でもあります。この能力は、将来のストレス対処能力の基礎となります。

発達における重要性として、指しゃぶりは単なる癖ではなく、発達の重要なマイルストーンです。手を口に持っていくという動作は、手と口の協調運動であり、運動発達の一部です。また、「指を吸うと落ち着く」という因果関係を学ぶことは、認知発達の一部でもあります。さらに、自己鎮静ができるようになることは、情緒発達においても重要なステップです。

感覚統合の観点からも、指しゃぶりは意味があります。口の中の感覚刺激は、脳の発達を促します。指を吸うことで得られる触覚、圧力感覚、リズム感などが、感覚統合を助け、脳の発達を促進します。特に、感覚を求めやすい気質の赤ちゃんにとって、指しゃぶりは必要な感覚刺激を自分で得る方法なのです。

空腹や歯の生え始めへの対処としても機能します。授乳間隔が空いて少しお腹が空いた時、指を吸うことで空腹感を一時的に紛らわせることができます。また、歯が生え始める時期の歯茎のムズムズ感や痛みを、指を吸うことで和らげようとすることもあります。

このように、指しゃぶりは本能に基づきながらも、発達上多くの重要な意味を持つ行動なのです。

月齢によって指しゃぶりの意味や特徴が変わるため、それぞれの時期に応じた理解が必要です。

月齢別の指しゃぶりの特徴と対応

月齢別に指しゃぶりの特徴を理解し、それぞれの時期に適した対応をすることが、健やかな成長を支えます。

0〜3ヶ月:吸啜反射の時期の特徴として、この時期の指しゃぶりは完全に本能によるものです。偶然口に触れた指や拳を吸う、授乳の前後に特に増える、眠い時に吸うことが多いといった特徴があります。まだ手の動きを完全にコントロールできないため、吸いたくても指がうまく口に入らずに泣くこともあります。

この時期の対応として、指しゃぶりを無理にやめさせる必要は全くありません。むしろ、赤ちゃんが自分で落ち着く方法を学んでいる大切な時期です。清潔には気をつけ、定期的に手を拭いてあげる程度で十分です。授乳後に指しゃぶりが増える場合は、吸啜欲求が満たされていない可能性があるため、授乳時間を少し長めにする、おしゃぶりを検討するといった対応も選択肢です。

4〜6ヶ月:探索の時期の特徴として、手の動きが発達し、意図的に指を口に持っていけるようになります。特定の指(親指や人差し指)を好んで吸うようになる、手に取ったものを何でも口に入れる、よだれが増える、歯が生え始める時期と重なるため指しゃぶりが増えることがあるといった特徴が見られます。

この時期の対応として、指しゃぶりは正常な発達過程であり、口で物を探索することは重要な学習です。無理にやめさせる必要はありませんが、衛生面での配慮が必要になります。手を清潔に保つ、爪を短く切る、おもちゃは定期的に洗うといった基本的なケアを心がけます。歯が生え始めて指しゃぶりが増えている場合は、歯固めなど代替できるものを提供することも効果的です。

7〜12ヶ月:習慣化の時期の特徴として、指しゃぶりが習慣として定着する時期です。特定の状況(眠い時、不安な時、退屈な時)で吸うパターンができる、ずり這いやハイハイで動き回るようになり、指しゃぶりが一時的に減ることもある、人見知りや分離不安が始まる時期で、その不安から指しゃぶりが増えることもあるといった特徴があります。

この時期の対応として、まだ無理にやめさせる時期ではありませんが、日中起きている時の指しゃぶりを少しずつ減らす工夫を始めることができます。手を使う遊び(積み木、ボール遊びなど)を増やす、興味を引く活動を提供して指しゃぶり以外に集中できる時間を作る、不安な時は抱っこしたり声をかけたりして安心させるといった対応が効果的です。

1歳以降の指しゃぶりの特徴として、この時期になると、指しゃぶりは完全に習慣となっています。眠る時、疲れた時、ストレスを感じる時など、特定の状況で吸うパターンが確立している、日中起きている時は比較的吸わないが、眠りに入る時は必ず吸う子も多い、言葉が発達してきても、まだ指しゃぶりで安心を得ることが必要な時期といった特徴があります。

この時期の対応として、1〜2歳はまだ無理にやめさせる必要はありませんが、3歳に近づいてきたら、徐々に減らす働きかけを考え始める時期です。日中の指しゃぶりを減らす工夫を続ける、「大きくなったね」という声かけで自覚を促す、代わりの安心方法(ぬいぐるみ、ブランケットなど)を提案するといった対応が有効です。ただし、強制的にやめさせようとするとかえってストレスが増えるため、おおらかに見守る姿勢が大切です。

各時期の適切な対応のまとめとして、どの時期においても共通して重要なのは、指しゃぶりを「悪い癖」として否定しないことです。発達段階における自然な行動として受け入れ、衛生面に気をつけながら見守ることが基本です。3歳頃までは、無理にやめさせようとせず、自然に減っていくのを待つことが推奨されます。

このように、月齢によって指しゃぶりの意味や特徴は変化し、それぞれの時期に適した対応が必要です。

では、指しゃぶりが始まった時、親としてどのような心構えを持てば良いのでしょうか。

指しゃぶりが始まった時の親の心構え

指しゃぶりが始まった時は、無理にやめさせず、発達の自然な過程として見守り、長期的な視点を持つことが大切です。

無理にやめさせない理由として、まず、乳児期の指しゃぶりは発達上必要な行動であることを理解する必要があります。無理にやめさせようとすると、赤ちゃんは自己鎮静の方法を奪われ、かえって不安が増します。また、指しゃぶりを阻止されることで、親への信頼感が損なわれる可能性もあります。多くの場合、3〜4歳頃には自然にやめていくため、焦って介入する必要はありません。

見守るべき時期として、0〜3歳頃までは基本的に見守る時期です。この時期の指しゃぶりは問題ではなく、むしろ健全な発達の証です。「やめなさい」と言ったり、手を引っ張って口から出したりする必要はありません。ただし、衛生面での配慮(手を清潔に保つ、爪を短く切るなど)は必要です。

気をつけるべきポイントとして、衛生管理が最も重要です。指しゃぶりをする赤ちゃんの手は常に清潔に保ち、定期的に拭いてあげます。外出先では特に注意が必要で、こまめに手を拭いたり、手洗いをしたりします。また、爪を短く切っておくことで、口の中を傷つけるリスクを減らせます。

皮膚のケアも大切です。長時間指を吸っていると、指の皮膚がふやけたり、荒れたりすることがあります。乾燥する前に保湿クリームを塗る、ひどく荒れている場合は小児科に相談するといった対応が必要です。ただし、指しゃぶりを防ぐために苦い液体を塗るなどの方法は、この時期には推奨されません。

将来への影響の考え方として、多くの親が心配するのが歯並びへの影響ですが、3歳頃までの指しゃぶりは、ほとんどの場合、永久歯の歯並びに影響しません。乳歯の時期であれば、指しゃぶりをやめれば歯並びは自然に戻ることが多いとされています。ただし、4歳を過ぎても頻繁に吸っている場合は、将来的な影響を考えて徐々に減らす働きかけを始めることが推奨されます。

おしゃぶりとの比較も親の関心事です。指しゃぶりとおしゃぶりのどちらが良いかは、意見が分かれるところです。指しゃぶりは、赤ちゃんが自分で落ち着く方法を学べる、夜中に外れて泣くことがないといったメリットがあります。一方、おしゃぶりは、親がコントロールしやすい(やめさせたい時に取り上げられる)、歯並びへの影響が比較的少ないといったメリットがあります。どちらが良いかは個々の状況によるため、それぞれの家庭で判断することが大切です。

親の不安を軽減することも重要です。指しゃぶりを見て「このままずっと続いたらどうしよう」「何か問題があるのでは」と不安になる親御さんは多いですが、ほとんどの場合、心配する必要はありません。統計的に、ほとんどのこどもが小学校入学までに自然にやめます。今、指しゃぶりをしているからといって、将来的に問題になることはまれです。

他の子と比較しないことも大切です。「あの子はもう指しゃぶりしていないのに」と比較すると、焦りが生まれます。しかし、発達のペースは一人ひとり違います。早くやめる子もいれば、長く続ける子もいます。自分の子のペースを尊重し、比較しないことが、親の心の安定にもつながります。

専門家への相談が必要な場合も知っておきましょう。ほとんどの場合は心配不要ですが、以下のような状況では専門家への相談を検討します:指しゃぶりが極端に激しい(一日中吸い続けている)、皮膚トラブルが改善しない、4歳を過ぎても日中頻繁に吸っている、明らかに歯並びに影響が出ている、親が精神的に辛いと感じている。

長期的な視点を持つことで、今の不安も軽減されます。指しゃぶりは一時的なものであり、必ず終わりが来ます。焦らず、おおらかに見守ることが、赤ちゃんにとっても親にとっても最善のアプローチです。「今は必要な時期なんだ」と受け入れることで、親子関係もより良好に保てます。

このように、指しゃぶりが始まった時は、それを自然な発達過程として受け入れ、無理にやめさせず、衛生面に気をつけながら見守ることが、親としての適切な心構えです。そして、将来的には自然にやめていくことを信じて、焦らず、比べず、おおらかに接することが何より大切なのです。

監修

代表理事
佐々木知香

略歴

2017年 本田右志理事長より右脳記憶教育講座を指南、「JUNKK認定マスター講師」取得
2018年 幼児教室アップルキッズをリビングサロンとして開講
2020年 佐々木進学教室Tokiwaみらい内へ移転、「佐々木進学教室幼児部」として再スタート
2025年 一般社団法人 日本右脳記憶教育協会(JUNKK)代表理事に就任
塾講師として中高生の学習指導に長年携わる中で、幼児期・小学校期の「学びの土台づくり」の重要性を痛感。
結婚を機に地方へ移住後、教育情報や環境の地域間格差を実感し、「地域に根差した実践の場をつくりたい」との想いから、幼児教室アップルキッズを開校。
発達障害や不登校の支援、放課後等デイサービスでの指導、子ども食堂での学習支援など、多様な子どもたちに寄り添う教育活動を展開中。