夜中にこどもが泣いた時、ミルクをあげるべきか迷うことはありませんか。
飲ませれば落ち着くけれど、習慣になってしまうのではないかと心配になります。
逆に空腹で泣いているのに我慢させてしまうのも、かわいそうに感じるでしょう。
実は月齢や状況によって、適切な対応は異なります。
この記事では夜泣きとミルクの関係から、あげるべきかの判断基準、卒業する方法とタイミング、ミルクが原因のケース、他の対応方法まで詳しく解説します。
夜泣きの時にミルクをあげると解決するのか
空腹が原因の場合や吸うことで安心を得られる場合はミルクが効果的ですが、分離不安や体調不良など他の原因による夜泣きには効果がありません。
夜泣きの原因は様々であり、ミルクで解決できるケースとできないケースがあります。
空腹が原因の場合は効果的
生後6ヶ月未満の赤ちゃんは、胃が小さく一度に多くのミルクを飲めません。そのため夜中にお腹が空いて目が覚めることがあります。この場合、ミルクをあげることで空腹が満たされ、すぐに寝付きます。
空腹による夜泣きは、泣き方に特徴があります。徐々に泣き声が大きくなり、口を動かしたり手を口に持っていったりする仕草が見られます。前回の授乳から3〜4時間以上経っている場合は、空腹の可能性が高いです。
日中のミルク量が足りていない場合も、夜中に空腹で起きることがあります。成長期で急に飲む量が増える時期や、離乳食を始めたばかりで栄養バランスが整っていない時期などは、夜間のミルクが必要なこともあります。
空腹が原因であれば、ミルクをあげることは正しい対応です。無理に我慢させる必要はなく、こどもの成長に必要な栄養を与えることを優先しましょう。
ただし月齢が上がるにつれて、夜間の授乳は不要になっていきます。生後6ヶ月を過ぎると、日中の食事で十分な栄養を取れるようになるため、夜中の空腹は減っていきます。
ミルクで落ち着く心理的な理由
空腹でなくても、ミルクを飲むことで落ち着くこどももいます。これは吸うという行為自体が、安心感を与えるためです。
吸啜反射は赤ちゃんの本能的な行動で、吸うことで心が落ち着きます。おしゃぶりが効果的なのも同じ理由です。ミルクを吸っている間は、リズミカルな動きと温かい液体が、安心感を与えます。
授乳は親とのスキンシップの時間でもあります。抱っこされながらミルクを飲むことで、安心感が増します。夜中に不安を感じて起きた時、親に抱かれてミルクを飲むことで、心が落ち着くのです。
ミルクを飲むことが入眠のきっかけになっている場合もあります。「ミルクを飲んだら寝る」というパターンができていると、目が覚めた時に再び眠りにつくために、ミルクを求めます。
満腹感も眠りを誘います。お腹がいっぱいになると、眠気を感じやすくなります。この生理的な反応を利用して、ミルクで寝かしつけることができます。
ただしこれらは習慣化しやすく、いつまでも続けるべきではありません。適切な時期に卒業する必要があります。
ミルクでは解決しない夜泣き
全ての夜泣きがミルクで解決するわけではありません。原因が空腹以外にある場合は、ミルクをあげても泣き止まないか、一時的に落ち着いてもまたすぐに泣き出します。
分離不安による夜泣きは、ミルクでは根本的に解決しません。親の姿が見えないことへの不安から泣いているため、必要なのは抱っこや声かけです。ミルクを飲ませても、不安は解消されないのです。
体調不良が原因の場合も、ミルクは効果がありません。鼻が詰まっている、耳が痛い、歯茎が痛いといった身体的な不快感は、ミルクでは解消できません。むしろ鼻が詰まっている時にミルクを飲ませると、さらに苦しくなることもあります。
環境による不快感も、ミルクでは解決しません。暑すぎる、寒すぎる、おむつが濡れているといった不快要因は、それぞれに対応する必要があります。
睡眠サイクルの変化による目覚めも、ミルクとは無関係です。浅い眠りの時に目が覚めただけなら、トントンと背中をたたくなど、再入眠を促す対応が適切です。
空腹や安心感を得るためにはミルクが効果的ですが、他の原因による夜泣きには効果がないため、原因を見極めることが重要です。
では具体的にどのような時にミルクをあげるべきか、判断基準を次に見ていきましょう。
夜中のミルクをあげるべきかの判断基準
生後6ヶ月未満は必要なことが多く、それ以降は空腹のサインや授乳間隔から判断し、習慣化している場合は徐々に減らす必要があります。
月齢やこどもの様子から、総合的に判断することが大切です。
月齢による必要性の違い
生後0〜3ヶ月は、夜間のミルクは必要です。この時期は胃が小さく、2〜3時間おきの授乳が必要なため、夜中に何度も起きてミルクを求めます。泣いたらミルクをあげることが基本です。
生後4〜6ヶ月になると、少しずつまとめて眠れるようになります。夜間の授乳回数は減り、1〜2回程度になることが多いです。この時期はまだ夜間のミルクが必要なこどもが多いですが、個人差があります。
生後6〜8ヶ月を過ぎると、日中の離乳食とミルクで十分な栄養を取れるようになります。夜間のミルクは栄養的には不要になり、習慣で飲んでいるケースが増えます。この時期から徐々に夜間のミルクを減らすことを検討します。
生後9ヶ月以降は、ほとんどのこどもが夜間のミルクなしで眠れるようになります。まだ夜中にミルクを求める場合は、習慣化している可能性が高いため、卒業に向けた対応が必要です。
ただし成長や発達には個人差があります。月齢だけで判断せず、こどもの体重増加や日中の食事量なども考慮しましょう。
空腹のサインの見分け方
本当に空腹で泣いているのか、他の理由で泣いているのかを見分けることが重要です。空腹のサインには特徴があります。
前回の授乳からの時間を確認しましょう。3〜4時間以上経っている場合は、空腹の可能性が高いです。逆に1〜2時間しか経っていない場合は、空腹以外の理由かもしれません。
泣き方にも注目します。空腹の泣き方は、徐々に激しくなり、リズムがあります。口を動かす、手を口に持っていく、乳首を探すような動きをするなどの仕草も見られます。
ミルクをあげてすぐに落ち着き、ゴクゴクと勢いよく飲むなら、空腹だった証拠です。逆にあまり飲まない、飲んでもすぐに泣き出すなら、空腹以外の理由の可能性が高いです。
日中の食事量も判断材料になります。その日の離乳食やミルクの量が少なかった場合、夜中に空腹になる可能性があります。
体重の増え方も確認しましょう。順調に増えていれば栄養は足りています。体重増加が鈍い場合は、夜間のミルクも必要かもしれません。
習慣化しているかの判断
空腹ではなく習慣で飲んでいる場合、徐々に減らしていく必要があります。習慣化しているサインを見極めましょう。
毎日同じ時間に起きてミルクを求める場合は、習慣化している可能性があります。体内時計が「この時間にミルク」と記憶しているのです。
少量しか飲まない、飲みながら寝てしまう場合も、栄養ではなく安心感のために飲んでいる証拠です。本当に空腹なら、しっかりと量を飲みます。
ミルクをあげないで抱っこや声かけだけで落ち着く場合も、習慣化のサインです。試しにミルクなしで対応してみて、落ち着くようなら、ミルクは不要だったということです。
日中の食事量が十分で、体重も順調に増えているのに夜間のミルクを求める場合は、習慣である可能性が高いです。
習慣化している場合は、少しずつ卒業に向けて進めていくことが望ましいです。
月齢、空腹のサイン、習慣化の有無から総合的に判断し、夜中のミルクをあげるべきかを決めます。
習慣化していると判断した場合は、適切な方法で卒業を進めていきましょう。
夜中のミルクをやめる方法とタイミング
生後6〜8ヶ月頃から徐々に減らし始め、量を少しずつ減らす、時間を延ばす、白湯に切り替えるなど段階的に進めることで卒業できます。
急にやめるのではなく、段階的に減らすことで、こどもも親もストレスが少なくなります。
卒業できる月齢の目安
一般的に生後6〜8ヶ月頃から、夜間のミルクを減らし始めることができます。この時期には離乳食が進み、日中の栄養摂取が安定してくるためです。
ただし個人差が大きいため、焦る必要はありません。生後9〜10ヶ月で卒業するこどももいれば、1歳を過ぎても夜間のミルクが必要なこどももいます。
卒業のタイミングを見極めるポイントは、日中の食事がしっかりとれていることです。離乳食を3回食べ、ミルクも日中に十分な量を飲んでいれば、夜間のミルクは栄養的には不要です。
体重の増加が順調であることも重要です。成長曲線に沿って増えていれば、栄養は足りています。
夜間のミルクなしでも、朝まで機嫌よく過ごせる日が増えてきたら、卒業のサインです。試しにミルクをあげずに対応してみて、落ち着くようなら卒業できる時期です。
段階的に減らす具体的な方法
いきなり夜間のミルクをゼロにするのではなく、段階的に減らすことが成功の鍵です。
まず量を減らす方法があります。いつも200ml飲んでいるなら、180mlに減らし、次は160ml、140mlと徐々に減らしていきます。数日から1週間ごとに20〜30ml減らすペースが目安です。
時間を延ばす方法も効果的です。夜中2時に起きる習慣があるなら、抱っこや声かけでなだめて2時半まで延ばします。次は3時、3時半と徐々に延ばし、最終的には朝までミルクなしで過ごせるようにします。
濃度を薄くする方法もあります。通常の濃さから、少しずつ水の割合を増やしていきます。最終的には白湯だけにし、「わざわざ起きて飲むほどのものではない」とこどもに理解させます。
回数を減らす方法もあります。夜間に2回ミルクをあげていたなら、1回に減らします。1回でも落ち着いて眠れることが分かれば、次はゼロにする自信がつきます。
代替方法を用意することも大切です。ミルクの代わりに、白湯や麦茶を少量あげる、おしゃぶりを使う、抱っこでなだめるなど、別の方法で対応します。
泣かれた時の対処法
夜間のミルクを減らし始めると、最初は激しく泣くこともあります。しかし一貫した対応を続けることが重要です。
抱っこと声かけで対応しましょう。「もう大きくなったから、朝までミルクなしで大丈夫だよ」と優しく話しかけながら、抱っこします。言葉の意味は分からなくても、トーンで安心感を与えられます。
背中をトントンとたたく、ゆっくり揺らすなど、入眠を促す動作を続けます。最初は時間がかかりますが、繰り返すうちに慣れていきます。
白湯や麦茶を少量あげることも試してみましょう。ミルクの代わりにはなりませんが、口寂しさを紛らわせることができます。
おしゃぶりも選択肢です。吸うことで落ち着くこどもには効果的です。ミルクよりも手軽で、習慣化のリスクも低いです。
どうしても泣き止まない夜もあるでしょう。そんな時は無理せず、その日はミルクをあげてもかまいません。翌日また挑戦すればよいのです。完璧を目指す必要はありません。
パートナーと協力することも大切です。ママの匂いでミルクを思い出す場合、パパが対応する方がスムーズなこともあります。
量を減らす、時間を延ばす、濃度を薄くするなど段階的な方法で、焦らず卒業を進めましょう。
ただし夜泣きの原因がミルク自体にある場合もあるため、その可能性も知っておく必要があります。
ミルクが原因で夜泣きが起こるケース
ミルクを飲みすぎてお腹が張る、逆に量が足りず空腹で起きる、ミルクなしで眠れない依存状態になるなど、ミルク自体が夜泣きの原因になることもあります。
適切な量とタイミングを守らないと、ミルクが逆効果になることがあります。
飲みすぎで不快になる
夜間に何度もミルクをあげていると、飲みすぎで不快になることがあります。お腹が張って苦しい、げっぷが出なくて気持ち悪いといった状態です。
一晩に200mlを3回も4回も飲ませていると、胃に負担がかかります。消化しきれないうちに次のミルクが入ってくると、不快感から目が覚めて泣くのです。
飲みすぎのサインには、お腹が張っている、げっぷやしゃっくりが多い、吐き戻しが増えるなどがあります。ミルクをあげた後に余計に泣くようなら、飲みすぎている可能性があります。
便秘や下痢も、飲みすぎの影響です。消化器系に負担がかかり、排便のリズムが乱れます。お腹の不快感が夜泣きにつながります。
適切な量を守ることが大切です。月齢に応じた1日の総量を超えないよう、夜間のミルクも計算に入れましょう。
お腹が空いて起きる
逆に日中のミルク量が足りていないと、夜中に空腹で起きます。これは適切にミルクをあげることで解決しますが、根本的には日中の量を見直す必要があります。
離乳食を始めた頃は、食事量とミルク量のバランスが難しいです。離乳食だけでは栄養が足りず、ミルクの量も減っていると、夜間の空腹につながります。
成長期で急に必要量が増える時期もあります。いつもと同じ量では足りなくなり、夜中に空腹で起きることがあります。こどもの様子を見ながら、量を調整しましょう。
日中のミルクを嫌がって飲まないこどももいます。遊びに夢中で飲む量が減ると、夜間に不足分を求めます。日中にしっかり飲ませる工夫が必要です。
体重の増加が鈍い場合は、全体的にミルクの量が足りていないサインです。小児科で相談し、適切な量を確認しましょう。
ミルクへの依存
ミルクがないと眠れない状態になると、夜中に目が覚めるたびにミルクを求めます。これは依存状態で、習慣を変える必要があります。
入眠時にミルクを飲む習慣があると、睡眠サイクルの浅い眠りで目が覚めた時に、再び眠るためにミルクが必要だと感じます。大人が枕なしでは眠れないのと同じです。
ミルク依存の状態では、一晩に何度もミルクを求めます。少量しか飲まず、飲みながら寝てしまうことが多いです。栄養ではなく、入眠の手段になっているのです。
この状態を放置すると、虫歯のリスクも高まります。夜間に何度もミルクを飲むと、口の中に糖分が残り、虫歯ができやすくなります。
依存状態から抜け出すには、入眠方法を変える必要があります。ミルクで寝かしつけるのをやめ、抱っこや添い寝など別の方法で寝る習慣をつけます。
飲みすぎ、飲み足りない、依存など、ミルク自体が夜泣きの原因になることもあるため、適切な量と与え方を守りましょう。
ミルク以外の方法でも夜泣きに対応できることを知っておくことも大切です。
ミルク以外で夜泣きに対応する方法
抱っこや優しい声かけ、室温や照明の調整、規則正しい生活リズムなど、ミルク以外の方法を組み合わせることで夜泣きに対応できます。
ミルクに頼りすぎず、様々な対応方法を知っておくことが重要です。
抱っこや声かけでの対応
夜泣きの時、まず試すべきは抱っこと声かけです。縦抱きで背中をトントンとたたきながら、「大丈夫だよ」「ここにいるよ」と優しく話しかけます。
揺らし方にもコツがあります。激しく揺さぶるのは危険なので、優しく小刻みに揺らします。歩き回りながら抱っこすると、リズムが加わって落ち着くこともあります。
添い寝をしながら背中をさすることも効果的です。肌と肌が触れ合うことで、安心感が生まれます。手を握る、頭を撫でるといったスキンシップも有効です。
子守唄を歌う、「シーッ、シーッ」と静かな音を出すのも落ち着きます。親の声のリズムが、こどもを安心させます。
おしゃぶりも選択肢の一つです。吸うことで自然と呼吸が整い、落ち着きを取り戻すことがあります。
いつものぬいぐるみやタオルなど、安心できるアイテムを持たせるのも効果的です。慣れ親しんだものの匂いや感触が、不安を和らげます。
環境調整での対応
部屋の環境を見直すことで、夜泣きが減ることもあります。室温は20〜22度、湿度は50〜60%が目安です。暑すぎたり寒すぎたりすると、不快で泣きます。
照明も重要です。真っ暗だと怖がるこどももいるので、小さな常夜灯をつけます。逆に明るすぎると眠れないので、適度な暗さを保ちます。
音の環境も調整しましょう。ホワイトノイズや小川のせせらぎなど、一定のリズムの音を小さく流すと落ち着くこどももいます。
おむつが濡れていないか、服がきつくないかなど、基本的な不快要因も確認します。小さな不快感が夜泣きの原因になることもあります。
場所を変えてみることも試す価値があります。一度リビングに移動する、窓を開けて外の空気を吸わせるなど、気分転換になることがあります。
生活リズムの見直し
根本的に夜泣きを減らすには、生活リズムを整えることが最も効果的です。毎日同じ時間に起き、同じ時間に寝る習慣をつけましょう。
朝は7時前後に起こし、カーテンを開けて日光を浴びさせます。体内時計がリセットされ、夜の自然な眠気を促します。
昼寝の時間と長さも管理します。15時以降は昼寝をさせない、昼寝は1〜2時間以内にするなど、夜の睡眠を優先します。
寝る前のルーティンを確立することも重要です。お風呂、パジャマへの着替え、歯磨き、絵本の読み聞かせなど、毎日同じ流れを作ります。
日中は適度に活動させます。外遊びや散歩で体を動かし、心地よい疲労感を感じさせます。ただし夕方以降は静かな遊びに切り替えます。
食事の時間も一定にしましょう。特に夕食は寝る2時間前までに済ませ、胃に負担がかからない状態で眠りにつけるようにします。
抱っこや声かけ、環境調整、生活リズムの見直しなど、ミルク以外の方法を組み合わせることで、夜泣きに対応できます。夜泣きとミルクの関係は複雑です。空腹が原因なら適切にあげるべきですが、習慣化している場合は徐々に卒業する必要があります。生後6〜8ヶ月頃から段階的に減らし始め、量を減らす、時間を延ばす、白湯に切り替えるなどの方法で進めましょう。
ミルク自体が夜泣きの原因になることもあるため、適切な量を守ることも大切です。そしてミルクに頼りすぎず、抱っこや環境調整、生活リズムの見直しなど、様々な対応方法を身につけることで、夜泣きを総合的に改善できます。焦らず、こどもの成長に合わせて対応していきましょう。
監修

略歴
| 2017年 | 本田右志理事長より右脳記憶教育講座を指南、「JUNKK認定マスター講師」取得 |
|---|---|
| 2018年 | 幼児教室アップルキッズをリビングサロンとして開講 |
| 2020年 | 佐々木進学教室Tokiwaみらい内へ移転、「佐々木進学教室幼児部」として再スタート |
| 2025年 | 一般社団法人 日本右脳記憶教育協会(JUNKK)代表理事に就任 |



