パパ見知りは?いつから始まる?原因と乗り越えるための対処法!

人見知り

抱っこしようとすると泣かれる、パパが近づくだけで嫌がられる、そんな経験をしている方も少なくありません。

ママには笑顔を見せるのに、自分には泣いてしまう我が子の姿に、傷ついたり落ち込んだりすることもあるでしょう。

このようなことは、愛着形成の過程で起こる自然な現象であり、原因を正確理解し適切に対処することで、こどもとの関係は必ず深まっていきます。

この記事では、パパ見知りはいつから始まるのか、その原因と乗り越えるための対処法について詳しく解説します。

パパ見知りとは?

パパ見知りとは、こどもがママには懐くのに、パパに対してだけ警戒心や拒否反応を示す現象のことです。

パパ見知りは、人見知りの一種ですが、特定の家族であるパパに対して起こる点が特徴的です。ママが抱っこすれば落ち着くのに、パパが抱っこしようとすると泣く、ママがいるときはパパを受け入れるが、ママがいないとパパも拒否する、パパの顔を見ただけで泣き出すなど、様々な形で現れます。パパにとっては非常につらい経験ですが、これは発達の正常な過程で起こる現象です。

パパ見知りは「パパイヤ期」とも呼ばれることがあります。パパが嫌という意味の「パパいや」と、果物のパパイヤをかけた言葉です。こうしたユーモラスな呼び方が生まれるほど、多くの家庭で経験される一般的な現象なのです。

パパ見知りは、こどもがパパを嫌っているわけでも、パパに問題があるわけでもありません。こどもの脳の発達により、「いつも世話をしてくれる人」と「それ以外の人」を区別できるようになった結果です。多くの家庭では、授乳や日中の世話を主にママが担っているため、こどもにとって最も慣れ親しんだ存在がママになります。その結果、ママ以外の人、たとえパパであっても、警戒心を示すようになるのです。

パパ見知りを経験すると、パパは自信を失ったり、育児への意欲が低下したりすることもあります。しかし、パパ見知りは一時的なものであり、必ず終わりが来ます。適切に対応することで、こどもとパパの関係は着実に深まっていくのです。

パパ見知りは愛着形成の過程で起こる自然な現象であり、パパ自身に問題があるわけではないことを理解することが第一歩です。

では、パパ見知りはいつから始まるのでしょうか。

パパ見知りはいつから始まるの?

パパ見知りは生後6か月頃から始まることが多く、人見知りが始まる時期と重なります。

パパ見知りが始まる時期は、一般的な人見知りと同じく、生後6か月から7か月頃が最も多いでしょう。この時期になると、こどもの視覚や認知能力が発達し、人の顔を詳細に識別できるようになります。そして「いつも見る顔」と「それ以外の顔」を区別できるようになるのです。

ただし、パパ見知りが始まる時期には個人差があります。早い子では生後4か月頃から兆候が見られることもあれば、生後8か月や9か月頃から始まることもあります。また、新生児期からママしか受け入れないという場合もあり、これは厳密には人見知りではなく、ママへの強い愛着の表れです。

パパの関わり方によっても、パパ見知りの始まる時期や強さは変わります。生まれた時から積極的に育児に関わっているパパの場合、パパ見知りが軽い、またはほとんど起こらないこともあります。逆に、仕事で忙しく、こどもと接する時間が限られているパパの場合、パパ見知りが強く現れることがあります。

里帰り出産の場合、パパと離れている期間が長いため、パパ見知りが起こりやすくなります。生後1か月や2か月の間、ほとんどパパと会っていないと、自宅に戻ってから急にパパ見知りが始まることがあります。こどもにとって、パパは「たまに会う人」になってしまっているのです。

パパの育児休暇の取得状況も影響します。パパが育休を取って積極的に育児に関わった家庭では、パパ見知りが起こりにくい傾向があります。逆に、パパがほとんど育児に関われなかった場合、パパ見知りが強く現れることがあります。

パパ見知りは生後6か月頃から始まることが多く、パパの関わり方や環境によってその時期や強さは変わります。

パパ見知りが始まる時期が分かったところで、なぜパパ見知りが起こるのか、その原因を見ていきましょう。

パパ見知りが起こる原因

パパ見知りが起こる主な原因は、こどもと関わる時間の違いと、身体的特徴の違いです。

パパ見知りは、こどもの発達段階と環境要因が組み合わさって起こります。人見知りの基本的なメカニズムに加えて、パパ特有の要因が関係しているのです。パパ見知りの原因を理解することで、適切な対処法が見えてきます。

関わる時間の違い

パパ見知りの最も大きな原因は、ママとパパがこどもと関わる時間の違いです。

多くの家庭では、授乳、おむつ替え、寝かしつけなど、日中の世話の大部分をママが担っています。特に母乳育児の場合、授乳という密接な関わりはママにしかできません。生後6か月までに、こどもはママと過ごす時間が圧倒的に長く、ママの顔、声、匂い、抱き心地などを深く記憶します。

一方、パパは仕事で日中家にいないことが多く、こどもと関わる時間は夜や休日に限られます。こどもが起きている時間にパパが家にいる時間は、ママと比べると少なくなりがちです。その結果、こどもにとってパパは「たまに会う人」という認識になってしまうのです。

こどもが不快なときや不安なときに、いつもそばにいるのはママです。お腹が空いた、おむつが濡れた、眠い、怖いといった場面で、一貫してケアをしてくれるのがママであれば、こどもはママを「安全基地」として認識します。パパはその場にいないことが多いため、安全基地として認識されにくいのです。

週末だけ関わるというパターンも、パパ見知りを強化します。平日はほとんど会わず、週末だけ久しぶりに会うという状況では、こどもにとってパパは「知らない人」に近い存在になります。週末にたっぷり関わっても、また平日に会えない日が続けば、振り出しに戻ってしまうのです。

育児における役割分担の偏りも影響します。ママが世話全般を担い、パパは遊び相手だけという関係では、こどもはパパを「安心できる存在」として認識しにくくなります。楽しいときだけ現れる人ではなく、つらいときや不安なときにもそばにいてくれる人として認識されることが、信頼関係の構築には必要です。

関わる時間の絶対量と、関わりの質の両方が、パパ見知りに影響しているのです。

声や体格の違い

ママとパパの身体的な違いも、パパ見知りの原因となります。

声の違いは、こどもにとって大きな要因です。ママの声は高めで柔らかく、パパの声は低くて大きいことが多いでしょう。こどもは胎児期からママの声を聞いており、生まれた後もママの声に最も慣れています。パパの低い声は、こどもにとって予測できない、時には怖い刺激として感じられることがあります。

体格の違いも影響します。パパの方が体が大きく、抱っこしたときの感触がママと異なります。手も大きく、力も強いため、こどもは抱かれたときに違和感を覚えることがあります。ママの柔らかな抱き心地に慣れているこどもにとって、パパの抱っこは不安定に感じられることもあるのです。

匂いの違いも見逃せません。こどもは嗅覚が非常に敏感で、ママの匂いを深く記憶しています。母乳の匂い、ママの体臭、使っている洗剤や柔軟剤の匂いなど、すべてが安心感につながります。パパの匂いは、整髪料や汗、仕事場の匂いなど、ママとは異なります。この匂いの違いが、こどもに不安を与えることもあります。

髭や体毛の違いも、こどもには驚きの要素です。パパの顔に髭があると、その感触が怖いと感じるこどももいます。腕の体毛もママとは異なるため、触れたときに違和感を覚えることがあります。こどもにとって、ママと違う要素は、すべて警戒の対象になり得るのです。

動作の違いも関係します。ママは優しくゆっくりと動く傾向がありますが、パパは動作が大きく、速いこともあります。高い高いなど、ダイナミックな遊びはパパの得意分野ですが、こどもにとっては刺激が強すぎることもあります。特に人見知りの時期は、こうした刺激が恐怖につながることがあるのです。

身体的な違いは変えられないものですが、声のトーンを柔らかくする、優しく抱く、刺激の強い遊びは控えるなど、工夫することで影響を軽減できます。

パパ見知りはこどもと関わる時間の違いと身体的特徴の違いが主な原因であり、これらを理解することが対処の第一歩です。

原因が分かったところで、具体的な対処法を見ていきましょう。

パパ見知りへの対処法

パパ見知りを乗り越えるには、パパ自身の努力とママのサポートの両方が必要です。

パパ見知りは、時間をかけて少しずつ関係を築いていくことで、必ず乗り越えられます。焦らず、諦めず、こどものペースに合わせて関わり続けることが大切です。パパだけでなく、ママの協力も不可欠です。家族全体で取り組むことで、パパ見知りは早く改善されます。

パパができること

パパ自身ができることは、こどもと関わる時間を増やし、優しく丁寧に接することです。

最も重要なのは、こどもと過ごす時間を増やすことです。朝起きたときに声をかける、夜帰宅したらこどもの顔を見に行く、休日はできるだけ一緒に過ごすなど、こどもと接する機会を意識的に増やしましょう。短い時間でも、毎日顔を合わせることが大切です。

日常的なケアに参加することも効果的です。おむつ替え、お風呂、着替え、食事の補助など、世話をする経験を積むことで、こどもはパパを「世話をしてくれる人」として認識するようになります。楽しいときだけでなく、日常のケアでも関わることが、信頼関係の構築につながります。

声のトーンを柔らかくすることも大切です。赤ちゃん言葉を使う必要はありませんが、優しく穏やかな声で話しかけましょう。大きな声や急な動作は避け、ゆっくりと動くことを意識します。こどもを驚かせないよう、予測可能な行動を心がけることが重要です。

抱っこの練習をすることもおすすめです。最初は短時間から始め、徐々に時間を延ばしていきます。無理に抱き続けるのではなく、泣いたら一度ママに返し、落ち着いたらまた抱くというように、段階的に慣らしていきます。抱っこの仕方も、ママの抱き方を観察して学ぶとよいでしょう。

こどもの好きな遊びを覚えることも有効です。好きな歌、好きな絵本、好きなおもちゃなど、こどもが喜ぶことを把握し、それを使って関わります。楽しい経験を積むことで、「パパと一緒は楽しい」という記憶が形成されていきます。

拒否されても諦めないことが何より大切です。泣かれると傷つきますが、それでも関わり続けることが重要です。こどもは経験を通じて学んでいくため、パパが諦めずに関わり続けることで、徐々に慣れていきます。一進一退を繰り返しながらも、長期的には必ず改善します。

自分を責めないことも大切です。パパ見知りはパパのせいではありません。発達の自然な過程であり、多くの家庭で起こることです。落ち込みすぎず、前向きに取り組むことが、こどもにも良い影響を与えます。

パパができることは、時間を増やし、優しく接し、諦めずに関わり続けることです。

ママができること

ママのサポートは、パパ見知りを乗り越える上で非常に重要です。

ママができる最も大切なことは、パパとこどもの関わりを積極的に後押しすることです。「パパにおむつ替えてもらおうね」「パパとお風呂入ろうね」と声をかけ、パパがこどもと関わる機会を作ります。ママが間に入ることで、こどもは安心してパパと関われるようになります。

パパがこどもの世話をしているときは、できるだけ見守る姿勢を取りましょう。口出しや手出しをしたくなる気持ちを抑え、パパに任せます。ママがすぐに代わってしまうと、こどもは「やっぱりママじゃないとダメなんだ」と学習してしまいます。少し時間がかかっても、パパがやり遂げることが大切です。

パパのやり方を尊重することも重要です。ママとパパでは、抱き方や遊び方が違うことがあります。それを「やり方が違う」と指摘するのではなく、「パパはこういうやり方なんだね」と受け入れます。パパが自信を持って育児できる環境を作ることが、パパ見知りの改善につながります。

こどもの前でパパを褒めることも効果的です。「パパすごいね」「パパ優しいね」「パパと遊ぶの楽しいね」と、こどもに聞こえるように言います。ママがパパを信頼している姿を見せることで、こどももパパを信頼しやすくなります。

パパがこどもと二人きりになる時間を作ることも大切です。ママが外出する、別の部屋にいるなど、パパとこどもだけで過ごす時間を設けます。最初は短時間から始め、徐々に延ばしていきます。ママがいないとパパしか頼れないため、こどもは必然的にパパに慣れていきます。

パパの努力を認めることも忘れずに。泣かれて落ち込んでいるパパに、「頑張ってくれてありがとう」「少しずつ慣れてきてるよ」と声をかけます。パパのモチベーションを維持することが、パパ見知り克服の鍵となります。

パパとこどもの時間を作り、パパを信頼している姿勢を示すことが、ママにできる重要なサポートです。

パパとママが協力して取り組むことで、パパ見知りは着実に改善していきます。

では、パパ見知りはいつまで続くのでしょうか。

パパ見知りはいつまで続くのか

パパ見知りは多くの場合、1歳から1歳半頃までに落ち着き始め、2歳頃にはほとんど気にならなくなります。

パパ見知りの期間は、パパの関わり方によって大きく変わります。積極的に育児に参加し、毎日こどもと接しているパパの場合、数か月で改善することもあります。逆に、関わる時間が限られているパパの場合、1歳を過ぎても続くことがあります。個人差が大きいため、一概に「この時期に終わる」とは言えません。

1歳頃になると、こどもの認知能力がさらに発達し、パパも「家族の一員」として認識されるようになります。ママだけでなく、パパも信頼できる存在だと理解し始めるのです。また、歩けるようになり、自分で動ける範囲が広がることで、ママへの依存度も若干下がり、パパとも関われるようになります。

1歳半頃には、言葉の理解が進み、「パパ」という存在を概念として理解できるようになります。絵本やテレビで見る「パパ」と、自分のパパが同じ存在だと分かるようになり、パパへの親しみが増します。また、ママから「パパだよ」と説明されると、その意味を理解できるようになります。

2歳頃になると、パパと遊ぶことの楽しさを実感できるようになります。体を使った遊び、外遊び、ダイナミックな遊びなど、パパならではの関わり方が、こどもにとって魅力的になってくるのです。「パパと遊びたい」という気持ちが芽生え、パパ見知りは自然と解消されていきます。

ただし、パパの関わりが少ないままだと、2歳を過ぎてもパパ見知りが続くことがあります。仕事が忙しく、ほとんどこどもと接する時間がない状態が続けば、こどもにとってパパは「知らない人」のままです。パパ見知りを早く終わらせるには、パパ自身の継続的な努力が不可欠です。

第二子以降の場合、パパ見知りが軽いか、ほとんど起こらないこともあります。パパが第一子の育児を通じて経験を積んでおり、第二子の誕生時から積極的に関わることができるためです。また、上の子がパパと遊んでいる姿を見ることで、下の子も自然とパパに慣れていきます。

パパ見知りは1歳から2歳頃までに落ち着くことが多く、パパの継続的な関わりが早期改善の鍵となります。

パパ見知りを乗り越えた後、パパとこどもの関係はどうなるのでしょうか。

パパ見知りを乗り越えた後の関係

パパ見知りを乗り越えることで、パパとこどもの間には深い信頼関係が築かれます。

パパ見知りの時期は、パパにとっては辛い経験ですが、それを乗り越えた後の関係は非常に強固なものになります。泣かれても諦めずに関わり続けたパパの努力は、必ずこどもに伝わります。パパ見知りを経験したからこそ、その後の関係がより深まるのです。

パパ見知りが終わると、こどもは積極的にパパと関わろうとするようになります。パパが帰宅すると玄関まで迎えに行く、パパと遊びたがる、パパに絵本を読んでもらいたがるなど、パパへの愛情を明確に示すようになります。この変化は、パパにとって大きな喜びとなるでしょう。

パパ見知りを経験することで、パパは育児スキルも向上します。どうすれば泣き止むか、何をすれば喜ぶか、こどもの気持ちをどう読み取るかなど、試行錯誤を重ねることで、育児の技術と自信が身につきます。この経験は、今後の育児において大きな財産となります。

こどもにとっても、パパは特別な存在になります。ママとは違う遊び方、違う関わり方をするパパは、こどもの世界を広げてくれる存在です。ママには甘える、パパとは冒険するというように、役割が分かれていくこともあります。両方の存在が、こどもの成長を豊かにします。

父子の絆が深まることで、家族全体の関係も良くなります。ママの育児負担が軽減され、ママ自身に余裕が生まれます。パパが育児に積極的に参加することで、夫婦の絆も深まります。パパ見知りを乗り越えた経験が、家族の結束を強めるのです。

成長するにつれて、こどもはパパとの思い出を大切にするようになります。パパと遊んだこと、パパに教えてもらったこと、パパと過ごした時間などが、かけがえのない記憶として残ります。パパ見知りの時期を乗り越えて築いた関係は、生涯にわたる財産となるのです。

パパ見知りを乗り越えることで、パパとこどもの間には深い信頼と愛情に満ちた関係が築かれ、それは家族全体の幸せにつながります。

パパ見知りは生後6か月頃から始まることが多く、その主な原因はこどもと関わる時間の違いと身体的特徴の違いです。パパ見知りを乗り越えるには、パパ自身がこどもと過ごす時間を増やし、優しく丁寧に接することが重要であり、ママのサポートも不可欠です。

パパ見知りは多くの場合1歳から2歳頃までに落ち着き、それを乗り越えた後には、パパとこどもの間に深い信頼関係が築かれます。泣かれても諦めずに関わり続けることで、必ずこどもとの絆は深まっていくのです。

監修

代表理事
佐々木知香

略歴

2017年 本田右志理事長より右脳記憶教育講座を指南、「JUNKK認定マスター講師」取得
2018年 幼児教室アップルキッズをリビングサロンとして開講
2020年 佐々木進学教室Tokiwaみらい内へ移転、「佐々木進学教室幼児部」として再スタート
2025年 一般社団法人 日本右脳記憶教育協会(JUNKK)代表理事に就任
塾講師として中高生の学習指導に長年携わる中で、幼児期・小学校期の「学びの土台づくり」の重要性を痛感。
結婚を機に地方へ移住後、教育情報や環境の地域間格差を実感し、「地域に根差した実践の場をつくりたい」との想いから、幼児教室アップルキッズを開校。
発達障害や不登校の支援、放課後等デイサービスでの指導、子ども食堂での学習支援など、多様な子どもたちに寄り添う教育活動を展開中。