寝かしつけがうまくいかない原因は?年齢別の対処法について

寝かしつけ

毎晩の寝かしつけがうまくいかないと悩んでいませんか。

1時間以上かかったり、やっと寝たと思ったらすぐに起きてしまったりといった状況は親の疲労を大きくします。

実はうまくいかない原因は、生活リズムの乱れや入眠環境や習慣など、いくつかの要因が重なっていることが多いのです。

原因を理解して適切に対処することで、うまくいかない状況は必ず改善できます。

この記事では、寝かしつけがうまくいかない主な原因と、年齢別の具体的な対処法をご紹介します。

寝かしつけがうまくいかない主な原因は?

寝かしつけがうまくいかない原因は、生活リズムの乱れ、入眠環境の問題、寝かしつけ方法の習慣化の3つに大きく分けられ、これらが複合的に影響していることが多いのです。

それぞれの原因について詳しく見ていきましょう。

生活リズムの乱れ

寝かしつけがうまくいかない最も多い原因は、生活リズムの乱れです。毎日の起床時刻や就寝時刻がバラバラだと、こどもの体内時計が整わず、決まった時間に眠気が訪れません。

特に起床時刻が不規則だと、夜の就寝時刻も定まりません。休日に遅くまで寝かせてしまったり、昼寝の時間が日によって大きく違ったりすると、体内時計が混乱してしまいます。大人でも時差ボケがつらいように、こどもにとっても不規則な生活は体に負担をかけます。

昼寝のタイミングや長さも重要です。昼寝が遅すぎたり長すぎたりすると、夜の寝つきが悪くなります。特に15時以降の昼寝や夕方の居眠りは、夜の睡眠を妨げる大きな原因です。

日中の活動量が足りないことも、生活リズムの乱れにつながります。室内でばかり過ごしていると、体が疲れず、夜になっても眠気を感じにくくなります。朝日を浴びる時間が少ないと、メラトニンの分泌リズムも乱れてしまいます。

食事の時間も睡眠に影響します。夕食が遅すぎると消化が間に合わず、寝つきが悪くなります。逆に早すぎてお腹が空いてしまっても眠れません。

入眠環境の問題

寝室の環境が整っていないと、どんなに眠くてもうまく眠れません。明るすぎる、暑すぎる、騒音があるなど、環境の問題は見落とされがちですが、睡眠の質に大きく影響します。

照明の明るさは特に重要です。明るい部屋ではメラトニンが分泌されず、脳が「まだ活動する時間」と判断してしまいます。寝る直前までテレビやスマートフォンの画面を見ていると、ブルーライトの影響で眠気が遠のきます。

室温も見落とせないポイントです。暑すぎると寝汗をかいて不快になり、寒すぎると体が緊張して眠れません。適温は夏場で26~28度、冬場で18~20度ですが、こどもによって快適な温度は異なるため、様子を見ながら調整しましょう。

音の環境も重要です。完全な無音が良いとは限らず、逆に小さな物音に敏感になることもあります。家族の生活音や外の騒音が気になる場合は、ホワイトノイズを使うのも一案です。

寝具が体に合っていないことも原因になります。マットレスが柔らかすぎたり固すぎたり、掛け布団が重すぎたりすると、快適に眠れません。肌触りの悪いシーツや、洗濯していない寝具も睡眠の妨げになります。

寝かしつけ方法の習慣化

抱っこや授乳、添い寝など、特定の方法でしか眠れない習慣がついてしまうと、その方法なしでは寝られなくなります。これを「睡眠の連想」と呼びます。

例えば、いつも抱っこで寝かしつけていると、こどもは「抱っこされないと眠れない」と学習してしまいます。夜中に目が覚めたときも、再び眠るために抱っこが必要になり、親の負担が大きくなります。

授乳で寝かしつけている場合も同様です。授乳と睡眠が強く結びついてしまうと、授乳なしでは眠れなくなります。夜間授乳の回数が増え、親子ともに睡眠の質が下がることもあります。

車でのドライブや、ベビーカーでの散歩でしか寝ない習慣も、長期的には負担が大きくなります。毎晩同じ方法を続けることが難しくなったとき、寝かしつけがうまくいかない状況に陥ります。

入眠ルーティンがない、または一貫性がないことも問題です。日によって寝かしつけの方法が違うと、こどもは次に何が起こるか予測できず、不安になって眠れなくなります。

寝かしつけがうまくいかない原因の多くは、これら3つの要素が複合的に絡み合っており、一つずつ丁寧に見直すことで改善への道が開けます。

次に、年齢別の具体的な対処法について見ていきましょう。

年齢別・寝かしつけがうまくいかないときの対処法

年齢によってこどもの発達段階は異なるため、寝かしつけがうまくいかない原因も対処法も変わってきます。

0歳児の寝かしつけの悩みと対策

0歳児の寝かしつけがうまくいかない最も多い原因は、昼夜の区別がついていないことや、睡眠リズムが未発達なことです。特に生後3ヶ月頃までは、2~3時間おきに起きるのが普通で、まとまって眠ることは期待できません。

0歳前半(生後0~6ヶ月)でうまくいかない場合の対策は、まず昼夜の区別をつけることです。日中は明るい部屋で過ごし、夜は暗く静かな環境で寝かせます。日中の授乳は明るい場所で、夜間の授乳は暗い部屋で行うことで、徐々に昼と夜の違いを学んでいきます。

背中スイッチ(ベッドに置くと目が覚めてしまう)に悩まされることも多い時期です。完全に深い眠りに入るまで抱っこし、背中全体を支えるようにそっと置きましょう。すぐに手を離さず、少しの間お腹に手を当てたままにすると成功しやすくなります。

0歳後半(生後7~11ヶ月)になると、分離不安が強くなります。親の姿が見えないと泣いてしまうため、寝かしつけに時間がかかるようになります。この時期は、安心アイテム(お気に入りのぬいぐるみやタオルケット)を持たせることで、親の代わりに安心感を得られるようになります。

夜泣きが増える時期でもあります。夜泣きが起きたら、まずは5分ほど様子を見ましょう。寝言泣きの場合は、そのまままた眠りに落ちることもあります。対応が必要な場合も、部屋を明るくしすぎず、優しく声をかけて落ち着かせましょう。

1歳児の寝かしつけの悩みと対策

1歳児は体力がついて昼寝の回数が減る時期です。寝かしつけがうまくいかない原因として、昼寝のタイミングが合っていないことが多く見られます。

昼寝が遅すぎたり長すぎたりすると、夜の寝つきが悪くなります。1歳前半は昼寝2回、1歳後半は昼寝1回が目安です。遅くとも15時までには起こし、夕寝は避けましょう。

日中の運動量が足りないことも原因の一つです。歩けるようになると、体を動かしたい欲求が強くなります。午前中に外で遊ぶ時間を作り、しっかり体を動かすことで、夜の寝つきが良くなります。

後追いが激しく、親が離れると泣いてしまうこともあります。無理に離れようとせず、最初は添い寝をして、こどもが眠りに落ちる寸前に少しずつ離れる練習をしましょう。泣いたら戻って安心させ、また少し離れるという練習を繰り返します。

授乳や抱っこでしか寝ない習慣がついている場合は、徐々に方法を変えていきます。授乳は寝室に入る前に済ませ、抱っこの時間を少しずつ短くして、背中トントンに切り替えていきましょう。

夜間授乳が続いている場合、1歳であれば栄養面では必須ではありません。徐々に回数を減らしていくことを検討しましょう。夜中に起きても、すぐに授乳するのではなく、水やお茶を少し飲ませる程度にとどめます。

2歳以上の寝かしつけの悩みと対策

2歳以上になると、自我が芽生えて「寝たくない」と主張するようになります。イヤイヤ期も重なり、寝室に行くこと自体を嫌がることも増えてきます。

寝かしつけがうまくいかない大きな原因は、こどもの意思を無視して無理やり寝かせようとすることです。「もう寝る時間よ」と命令するのではなく、「お人形さんと一緒に寝ようか」「どのパジャマを着る?」と選択肢を与えることで、こどもは自分で決めた気持ちになり、スムーズに動いてくれます。

遊びの要素を取り入れるのも効果的です。「かけっこで寝室まで行こう」「うさぎさんみたいにぴょんぴょん跳んで行こう」と楽しい雰囲気を作ることで、抵抗が減ります。

寝る前の儀式を徹底することも重要です。毎晩同じ流れで就寝準備を行うことで、こどもは「次は寝る時間」と予測できるようになります。「お風呂→歯磨き→パジャマ→絵本→寝る」といったルーティンを守りましょう。

絵本の読み聞かせが特に効果的な時期です。言葉の理解が進むため、おやすみをテーマにした絵本を読むことで、自然と眠りの世界に入っていけます。「あと1冊読んだらおしまいね」と事前に約束しておくと、切り上げもスムーズです。

日中の刺激が多すぎることも原因になります。保育園や幼稚園での活動、新しい経験などで脳が興奮していると、夜になっても落ち着きません。夕食後は穏やかな活動にシフトし、テレビも刺激的な番組は避けましょう。

年齢に応じた対処法を取り入れることで、寝かしつけがうまくいかない状況を改善し、親子ともに快適な睡眠時間を確保できるようになります。

次に、寝かしつけに時間がかかりすぎるときの具体的な工夫について見ていきましょう。

寝かしつけに時間がかかりすぎるときの工夫

毎晩1時間以上かかってしまう場合、寝かしつけの方法や環境を見直すことで、時間を短縮できる可能性があります。

まず、就寝時刻の1時間前から「入眠モード」に入ることを意識しましょう。この時間帯は、激しい遊びやテレビを避け、穏やかな活動に切り替えます。照明を落とし、静かな音楽を流したり、絵本を読んだりして、徐々に体と心を休息モードにしていきます。

入眠ルーティンの所要時間を計ってみることも有効です。お風呂から就寝までの流れを記録し、どこに時間がかかっているかを把握しましょう。例えば、絵本を何冊も読んでいる、お風呂で遊びすぎているなど、時間がかかる原因が見えてきます。

ルーティンの内容を見直すことも大切です。あまりに長いルーティンは、かえってこどもを疲れさせてしまいます。「お風呂→歯磨き→着替え→絵本1冊→寝る」というシンプルな流れにして、30分程度で完結するようにしましょう。

寝室に入るタイミングも重要です。こどもが眠そうなサインを見せたら、すぐに寝室に連れて行きます。眠気のピークを逃してしまうと、逆に目が冴えてしまい、寝つきが悪くなります。あくびをする、目をこする、動きが鈍くなるなどのサインを見逃さないようにしましょう。

寝室を「楽しい場所」にするのも一案です。寝室におもちゃを置くのは基本的に避けるべきですが、お気に入りのぬいぐるみや、寝室専用の絵本を用意することで、寝室に行くことへの抵抗が減ります。

親自身がリラックスすることも忘れてはいけません。親が焦っていたりイライラしていたりすると、その感情はこどもに伝わってしまいます。「今日も寝かしつけに時間がかかるかも」と構えるのではなく、「今日はどんな一日だったかな」とゆったりした気持ちで向き合いましょう。

時間がかかっても良いと割り切ることも時には必要です。寝かしつけの時間を「親子のコミュニケーションタイム」と捉えることで、気持ちに余裕が生まれます。こどもとの触れ合いを楽しむ時間だと思えば、ストレスも軽減されます。

環境を見直し、ルーティンを整え、親自身の心構えを変えることで、寝かしつけにかかる時間は徐々に短縮されていきます。

次に、抱っこや授乳なしで寝かせる具体的な方法について解説します。

抱っこや授乳なしで寝かせる方法

抱っこや授乳に頼らずに寝かせることができれば、親の負担は大きく軽減され、こども自身も一人で眠る力が育ちます。

段階的に親の介入を減らす

いきなり抱っこや授乳をやめるのではなく、段階的に親の助けを減らしていくことが成功の鍵です。急激な変化はこどもを不安にさせ、かえって寝つきが悪くなります。

抱っこで寝かしつけている場合、まず抱っこの時間を少しずつ短くします。完全に眠るまで抱っこするのではなく、うとうとしてきたらベッドに置き、背中をトントンしながら寝かせる方法に切り替えます。最初は泣くかもしれませんが、優しく声をかけながら根気よく続けましょう。

背中トントンに慣れてきたら、次はトントンの時間を減らします。トントンしながら寝かせるのではなく、横に寝転がっているだけで眠れるように導いていきます。最終的には、部屋を出ても一人で眠れることを目指します。

授乳で寝かしつけている場合は、授乳と睡眠を切り離すことから始めます。授乳は寝室に入る前に済ませ、授乳後に絵本を読んだり少し遊んだりしてから寝室に入ります。「授乳→起きている状態でベッドへ」という流れを作ることで、授乳なしでも眠れるようになっていきます。

夜間授乳も徐々に減らしていきましょう。夜中に起きたら、まずは水やお茶を少し飲ませてみます。それで落ち着くようであれば、授乳は必要ありません。泣き続ける場合も、抱っこで落ち着かせるだけにとどめ、授乳せずに再入眠を促します。

各段階には数日から1週間程度かけ、焦らずに進めることが大切です。こどもが新しい方法に慣れるまで時間がかかるのは当然です。一歩進んで二歩下がることもありますが、長い目で見れば着実に前進しています。

安心アイテムを活用する

親の代わりに安心感を与えてくれる「安心アイテム」を活用することで、抱っこや授乳なしでも眠れるようになります。

お気に入りのぬいぐるみやタオルケットは、移行対象と呼ばれる重要なアイテムです。こどもはこれらに愛着を持ち、親がいなくても安心感を得られるようになります。寝るときは必ずそのアイテムを持たせ、「これがあれば大丈夫」という気持ちを育てましょう。

ぬいぐるみを選ぶときは、窒息の危険がない小さめのサイズで、洗濯できる素材のものがおすすめです。タオルケットも、顔を覆わないよう小さめのものを選びましょう。安全面には十分注意が必要です。

安心アイテムに親の匂いをつけることも効果的です。タオルケットを親が1日身につけてから渡すと、親の匂いがして安心します。ぬいぐるみも、親が抱いてから渡すとよいでしょう。

音楽やホワイトノイズも安心アイテムになります。毎晩同じ音楽を流すことで、「この音楽が聞こえたら寝る時間」という条件づけができます。音量は小さめにし、こどもが眠りについたら消すようにしましょう。

常夜灯も安心の源になります。真っ暗が怖いこどもには、小さな常夜灯をつけることで、安心して眠れるようになります。暗すぎず明るすぎない、適度な明るさを見つけましょう。

おしゃぶりを使っている場合は、徐々に卒業のタイミングを見計らいます。1歳を過ぎたら、昼間は使わず、寝るときだけにするなど、段階的に減らしていきましょう。

安心アイテムを上手に活用することで、親の助けなしでも一人で眠れる力が育ち、寝かしつけがうまくいかない状況から脱却できます。

最後に、寝かしつけのストレスを減らすための心構えについて見ていきましょう。

寝かしつけのストレスを減らすために

寝かしつけがうまくいかないことで、親自身が強いストレスを感じてしまうと、そのストレスはこどもに伝わり、さらに寝つきが悪くなるという悪循環に陥ります。

まず、完璧を求めすぎないことが大切です。毎晩スムーズに寝かせられる親はいません。うまくいかない日があっても当然だと受け入れましょう。「今日はこういう日もある」と割り切ることで、気持ちが楽になります。

寝かしつけの時間を「負担」ではなく「親子の時間」と捉え直すことも有効です。一日の終わりに、こどもとゆっくり向き合える貴重な時間だと思えば、焦る気持ちも和らぎます。今日あったことを話したり、絵本を読んだりする時間を楽しみましょう。

家族で協力することも忘れてはいけません。毎晩同じ親が寝かしつけをしていると、疲労が蓄積します。パートナーと交代で担当したり、週末だけは祖父母に手伝ってもらったりするなど、一人で抱え込まないようにしましょう。

寝かしつけの方法を家族で統一することも重要です。ママとパパで方法が違うと、こどもは混乱してしまいます。家族で話し合い、同じ方針で一貫した対応をすることで、こどもは安心して眠れるようになります。

親自身の睡眠時間を確保することも大切です。寝かしつけに時間がかかり、親の睡眠時間が削られると、日中のイライラが増えてしまいます。こどもと一緒に早く寝る、昼間に少し休むなど、自分の体も労わりましょう。

他の家庭と比較しないことも重要です。SNSで「うちの子は20時に寝ます」といった投稿を見て焦る必要はありません。こどもの睡眠には個人差があり、成長のペースも様々です。我が子のペースを尊重しましょう。

専門家に相談することも選択肢の一つです。何をしても改善しない、こどもが極度に不安そう、親がうつ状態になっているなどの場合は、小児科や睡眠外来、地域の子育て支援センターなどに相談してみましょう。客観的なアドバイスをもらえることで、解決策が見えてくることもあります。

寝かしつけは永遠に続くものではありません。今は大変でも、数年後には「あの頃は大変だったな」と笑える日が必ず来ます。今この瞬間を大切にしながら、焦らずゆっくりと、こどもの成長を見守っていきましょう。親が笑顔でいられることが、こどもにとって最高の安心材料です。

監修

代表理事
佐々木知香

略歴

2017年 本田右志理事長より右脳記憶教育講座を指南、「JUNKK認定マスター講師」取得
2018年 幼児教室アップルキッズをリビングサロンとして開講
2020年 佐々木進学教室Tokiwaみらい内へ移転、「佐々木進学教室幼児部」として再スタート
2025年 一般社団法人 日本右脳記憶教育協会(JUNKK)代表理事に就任
塾講師として中高生の学習指導に長年携わる中で、幼児期・小学校期の「学びの土台づくり」の重要性を痛感。
結婚を機に地方へ移住後、教育情報や環境の地域間格差を実感し、「地域に根差した実践の場をつくりたい」との想いから、幼児教室アップルキッズを開校。
発達障害や不登校の支援、放課後等デイサービスでの指導、子ども食堂での学習支援など、多様な子どもたちに寄り添う教育活動を展開中。