人見知りはいつまで続く?終わる時期と長引く理由について

人見知り

生後半年頃から始まった人見知りが、なかなか落ち着かずに悩んでいる保護者は多いでしょう。

祖父母に会っても泣く、外出するたびに緊張する、そんな様子を見て、いつまで続くのかと不安になることもあります。

いつまで続くのか、終わる時期には個人差があり、多くの場合は2歳から3歳頃までに落ち着きます。

長引く理由を理解し、適切に対応することで、こどもは徐々に社交性を身につけていきます。

この記事では、人見知りがいつまで続くのか、終わる時期の目安と長引く理由について詳しく解説します。

人見知りはいつまで続くの?

人見知りは多くの場合、1歳から1歳半頃にピークを迎え、2歳から3歳頃までに徐々に落ち着いていきます。

人見知りは生後6か月頃から始まる発達現象であり、永遠に続くものではありません。こどもの脳が成熟し、経験を重ねることで、見知らぬ人への警戒心は徐々に和らいでいきます。ただし、人見知りが終わる時期には大きな個人差があり、早い子もいれば遅い子もいます。一概に「この時期に終わるべき」と決まっているわけではないのです。

一般的な経過としては、生後6か月頃から人見知りが始まり、生後7か月から1歳頃が最も激しくなります。この時期は愛着形成が深まる時期であり、保護者以外の人への警戒心が最も強くなるのです。1歳を過ぎると、徐々に経験を積み、様々な人の顔を見る機会が増えることで、人見知りは少しずつ軽減していきます。

2歳頃になると、言葉の理解が進み、保護者から「大丈夫だよ」と説明されると安心できるようになります。また、保育園や幼稚園に通い始めることで、多くの人と接する機会が増え、人見知りは大幅に改善されることが多いでしょう。3歳頃には、ほとんどのこどもで人見知りは日常生活に支障がない程度まで落ち着きます。

ただし、3歳を過ぎても人見知りが続くこともあります。これは性格や気質によるもので、慎重で内向的な性格のこどもは、成長しても初対面の人には緊張する傾向があります。しかし、これは乳幼児期の人見知りとは少し性質が異なり、「恥ずかしがり屋」や「慎重な性格」といった個性として捉えることができます。

人見知りが終わる時期は個人差が大きく、焦らず見守ることが大切であり、多くの場合2歳から3歳頃までに自然と落ち着いていきます。

では、具体的にどの時期にどのような変化が見られるのか、詳しく見ていきましょう。

人見知りが落ち着く時期の目安

人見知りが落ち着く過程は段階的であり、年齢によって変化の様子が異なります。

人見知りは突然終わるものではなく、徐々に軽減していくものです。最初は激しく泣いていたのが、顔をそむける程度になり、やがて時間をかければ慣れるようになり、最終的には初対面でも緊張しなくなるという段階を経ます。この過程を理解することで、こどもの成長を適切に見守ることができます。

1歳から1歳半頃

1歳から1歳半頃は、人見知りがピークを過ぎ、徐々に落ち着き始める時期です。

この時期になると、経験の蓄積により、こどもは「知らない人でも危険ではない」と少しずつ学習していきます。何度も同じ人に会ううちに、その人に慣れることができるようになります。最初は泣いていても、10分、20分と時間をかければ、徐々に緊張が解けていく様子が見られるようになるでしょう。

歩けるようになり、行動範囲が広がる時期でもあります。公園や支援センターなど、様々な場所に出かける機会が増え、多くの人と接するようになります。こうした経験が、人見知りの軽減につながります。ただし、行動範囲が広がることで、逆に新しい環境への不安が増し、一時的に人見知りが強くなることもあります。

言葉の理解も進む時期です。「大丈夫だよ」「優しい人だよ」といった保護者の言葉を理解し始め、少し安心できるようになります。また、「バイバイ」などの簡単な言葉を使えるようになることで、人との関わりにも変化が生まれます。

人見知りの頻度は減っていきますが、まだ完全にはなくなりません。初めて会う人にはまだ警戒心を示しますし、特に医療機関での診察時や、大勢の人がいる場所では、泣いてしまうこともあるでしょう。しかし、生後7か月から1歳頃の激しさと比べると、明らかに落ち着いてきたことが実感できる時期です。

この時期の人見知りは、まだ存在するものの、徐々に軽減していく過渡期であり、経験を積むことで着実に改善していきます。

2歳から3歳頃

2歳から3歳頃になると、人見知りは大幅に改善され、多くのこどもで日常生活に支障がない程度まで落ち着きます。

この時期は、社会性が大きく発達する時期です。他のこどもへの興味が高まり、一緒に遊びたいという欲求が生まれます。公園で他のこどもと遊ぶ、保育園や幼稚園で友達ができるなど、人との関わりが楽しいものだと学んでいきます。こうした経験が、人見知りの克服につながるのです。

言葉の発達も、人見知りの軽減に大きく寄与します。2歳頃には二語文が話せるようになり、3歳頃には簡単な会話ができるようになります。自分の気持ちを言葉で表現できるようになることで、不安が軽減されます。また、相手の言葉を理解できるようになることで、コミュニケーションが取りやすくなり、人への警戒心が薄れていきます。

保育園や幼稚園に通い始めることも、大きな転機です。最初は登園をしぶったり、先生に慣れるまで時間がかかったりしますが、毎日通ううちに環境に慣れ、先生や友達との関係が築けるようになります。集団生活を通じて、様々な人と関わる経験を積むことで、人見知りは自然と軽減されていきます。

ただし、イヤイヤ期と重なる時期でもあり、人見知りとは別の理由で人を嫌がることもあります。「この人嫌」「あっち行って」といった拒否は、人見知りではなく、自己主張の一環である場合もあります。人見知りによる警戒心と、イヤイヤ期の自己主張を区別することが大切です。

3歳頃には、初対面の人とも、時間をかければ普通に接することができるようになります。完全に警戒心がなくなるわけではありませんが、保護者がそばにいれば、新しい人とも関わることができるようになります。祖父母や親戚にも、以前ほど警戒せずに接することができるでしょう。

2歳から3歳頃は社会性と言葉の発達により、人見知りが大幅に改善される時期であり、多くのこどもがこの時期に人見知りを克服します。

3歳以降

3歳を過ぎても人見知りが続く場合は、それは性格や気質として捉えることができます。

3歳以降も人見知りが見られる場合、それは乳幼児期の発達的な人見知りとは異なり、慎重で内向的な性格の表れであることが多いでしょう。初対面の人には緊張する、大勢の中では控えめになる、新しい環境では時間がかかるといった特徴は、性格の一部として受け入れることができます。

ただし、日常生活に大きな支障がある場合は注意が必要です。保育園や幼稚園に全く慣れない、先生とも関われない、友達が全くできない、極度に人を怖がるといった様子が見られる場合は、一度専門家に相談することをおすすめします。場面緘黙症や社交不安症など、支援が必要な状態である可能性もあります。

多くの場合、3歳以降の人見知りは、時間をかければ関係を築けるという程度のものです。最初は緊張していても、徐々に打ち解けることができます。慎重な性格ではありますが、一度信頼関係ができれば、深い関わりを持つこともできます。こうした性格は、決して悪いものではありません。

就学前後には、さらに社会性が発達し、人見知りは大幅に軽減されます。小学校に入学し、毎日同じクラスメートと過ごすことで、徐々に慣れていきます。授業や行事を通じて、多様な人と関わる経験を積むことで、人との関わり方を学んでいくのです。

3歳以降も続く人見知りは性格の一部として捉えられ、日常生活に支障がなければ、その子の個性として受け入れることが大切です。

人見知りが落ち着く時期の目安を理解すると、我が子の人見知りが長引いているのではないかと感じることもあるでしょう。

人見知りが長引く理由

人見知りが長引く理由には、気質的要因と環境的要因があります。

人見知りが平均的な時期よりも長く続く場合、それには必ず理由があります。こどもの生まれ持った性質や、育った環境、経験の積み重ねなど、様々な要因が複雑に絡み合っています。人見知りが長引くことは、決して保護者の育て方が悪いわけでも、こどもに問題があるわけでもありません。個性や環境の違いによるものなのです。

最も大きな要因は、こどもの気質です。慎重で警戒心の強い気質のこどもは、人見知りが長く続く傾向があります。新しい環境や刺激に対して敏感で、変化を好まない性格のこどもは、見慣れない人に対しても長期間警戒心を持ち続けます。これは生まれ持った性質であり、無理に変える必要はありません。

愛着が非常に深い場合も、人見知りが長引くことがあります。特定の保護者への依存度が高いほど、その人以外への拒否反応も長く続きます。これは愛着形成が順調に進んでいる証でもあり、必ずしも悪いことではありません。ただし、保護者自身が不安を抱えている場合、その不安がこどもに伝わり、人見知りが強化されることもあります。

経験不足も人見知りを長引かせる要因です。日常的に家族だけで過ごすことが多く、外出も少ない環境では、様々な人と接する機会が限られます。人との関わりの経験が少ないため、慣れるまでに時間がかかるのです。特にコロナ禍以降、外出や人との交流が減ったことで、人見知りが長引くケースが増えています。

過去のネガティブな経験も影響します。以前、知らない人に急に抱かれて怖い思いをした、病院で痛い思いをした、大勢の場所で迷子になったなど、トラウマとなる経験があると、人見知りが強化され、長引くことがあります。こどもは経験から学習するため、一度強い恐怖を感じると、似た状況で警戒心を強めるのです。

発達の個人差も関係しています。社会性の発達がゆっくりなこども、言葉の発達がゆっくりなこどもは、人との関わり方を学ぶのにも時間がかかります。これは発達のペースの違いであり、時間をかければ必ず成長していきます。

環境の変化が多い場合も、人見知りが長引くことがあります。引っ越し、保護者の仕事復帰、弟や妹の誕生など、生活環境の大きな変化はこどもにとってストレスです。こうしたストレスが続くと、不安が高まり、人見知りが長引いたり、一度落ち着いていた人見知りがぶり返したりすることもあります。

人見知りが長引く理由は複合的であり、気質や環境など様々な要因が影響しているため、個々の状況に応じた理解と対応が必要です。

人見知りが長引く理由が分かったところで、どのように対応すればよいのでしょうか。

人見知りが終わらないときの対応

人見知りが長引いても、焦らず温かく見守りながら、段階的に経験を積ませることが大切です。

人見知りが長引くと、保護者としては「いつになったら終わるのか」と焦りを感じることもあるでしょう。しかし、焦って無理に克服させようとすることは逆効果です。こどものペースを尊重し、少しずつ経験を積ませていくことが、結果的に人見知りの克服につながります。

まず大切なのは、こどもの気持ちを否定しないことです。「恥ずかしいからやめなさい」「泣かないの」といった叱責は、こどもの不安を増幅させます。「怖かったね」「ドキドキするね」と、こどもの感情を受け止めることから始めましょう。自分の気持ちを理解してもらえることで、こどもは安心します。

無理強いせず、段階的に慣らしていくことが重要です。いきなり知らない人に抱かせるのではなく、まず保護者が抱いたまま、少し距離を置いて話をします。こどもが落ち着いてきたら、徐々に距離を縮めます。時間をかけて、ゆっくりと慣らしていくことが大切です。

日常的に外出する機会を増やすことも効果的です。公園、支援センター、図書館、買い物など、様々な場所に出かけ、多様な人を見る経験を積ませます。直接関わらなくても、様々な人がいる場所にいるだけで、こどもは少しずつ慣れていきます。無理に話しかけさせる必要はありません。

保護者自身がリラックスすることも大切です。保護者が不安そうにしていると、こどももその不安を感じ取ります。「人見知りは個性」と捉え、焦らず穏やかに接することで、こどもも安心できます。保護者が他の人と楽しそうに話している姿を見せることも、こどもに安心感を与えます。

少しでも進歩があったら、たくさん褒めてあげましょう。「今日は○○さんを見られたね」「手を振れたね」「バイバイできたね」など、小さな一歩を認めることで、こどもは自信を持てるようになります。褒められることで、「人と関わることは楽しい」と感じるようになります。

絵本やごっこ遊びを活用することもおすすめです。人と関わる場面が出てくる絵本を読む、お人形で「こんにちは」「バイバイ」のやり取りをするなど、遊びの中で人との関わり方を学ぶことができます。実際の場面よりも、遊びの中の方がリラックスして学べることもあります。

保育園や幼稚園の先生と連携することも大切です。集団生活の中で、先生が適切にサポートしてくれることで、少しずつ慣れていくことができます。家庭だけで抱え込まず、周囲の協力を得ることも重要です。

専門家への相談も選択肢のひとつです。3歳を過ぎても極度に人を怖がる、集団生活に全く適応できないといった場合は、一度相談してみるとよいでしょう。適切なアドバイスや支援を受けることで、状況が改善することもあります。

人見知りが終わらなくても、焦らずこどものペースを尊重し、少しずつ経験を積ませることで、徐々に改善していきます。

ただし、年齢が上がっても続く人見知りは、少し性質が異なります。

年齢が上がっても続く人見知り

幼児期を過ぎても続く人見知りは、性格的な慎重さや内向性として捉えることが適切です。

小学校に入学しても人見知りが続く場合、それは乳幼児期の発達的な人見知りとは異なり、その子の性格の一部になっています。初対面の人には緊張する、大勢の前では控えめになる、新しい環境に慣れるまで時間がかかるといった特徴は、慎重で内向的な性格の表れです。こうした性格は、決して悪いものではありません。

慎重な性格には、多くの利点があります。リスクを慎重に判断できる、深く考えてから行動する、一度築いた関係を大切にするなど、将来的に大きな強みとなる特性です。人見知りが続くことを「直すべき欠点」として捉えるのではなく、「慎重さという個性」として受け入れることが大切です。

ただし、社会生活に大きな支障が出ている場合は、支援が必要なこともあります。学校に行けない、友達が全くできない、極度の不安で日常生活が送れないといった状態は、単なる性格の範囲を超えている可能性があります。場面緘黙症、社交不安症、分離不安症など、専門的な支援が必要な状態かもしれません。

場面緘黙症は、特定の場面で話すことができなくなる症状です。家では普通に話せるのに、学校では全く話せないといった状態が1か月以上続く場合は、専門家への相談を検討しましょう。早期の支援により、改善する可能性が高まります。

社交不安症は、人前で強い不安を感じる症状です。発表や発言の場面で極度に緊張する、人の視線が怖い、人と関わることを極端に避けるといった様子が見られる場合は、心理的なサポートが必要かもしれません。

多くの場合、年齢が上がっても続く人見知りは、性格の範囲内です。時間をかければ関係を築ける、信頼できる人とは深く関われる、自分のペースで社会参加できるのであれば、それは個性として尊重すべきものです。無理に外向的にさせる必要はありません。

保護者としては、こどもの性格を受け入れ、その子なりのペースで社会と関わっていけるようサポートすることが大切です。「もっと積極的に」「もっと社交的に」と求めるのではなく、「この子はこういう性格なんだ」と理解し、その上で必要な支援をすることが重要です。

年齢が上がっても続く人見知りは性格の一部であり、社会生活に支障がなければ個性として受け入れることが大切です。

人見知りが終わっていく過程で、こどもはどのように成長していくのでしょうか。

人見知りから社交性への成長

人見知りを経験することで、こどもは適切な人との距離感を学び、健全な社交性を身につけていきます。

人見知りは、決してネガティブな現象ではありません。むしろ、人見知りを経験することで、こどもは「信頼できる人」と「まだ分からない人」を区別する力を育てます。この区別ができることが、将来の人間関係において重要な基礎となるのです。人見知りをまったく経験しないよりも、適度に人見知りを経験する方が、健全な社交性の発達につながるともいえます。

人見知りの時期を経て、こどもは段階的に社交性を身につけていきます。最初は保護者だけを信頼し、次に家族、そして親しい人、友達、知り合い、初対面の人へと、徐々に信頼の輪を広げていきます。この段階的なプロセスが、適切な人との距離感を学ぶ機会となるのです。

経験を積むことで、こどもは「この人は安全だ」と判断する力を育てていきます。保護者が笑顔で接している人、優しく話しかけてくれる人、何度も会っている人など、様々なサインから判断できるようになります。この判断力は、社会生活において不可欠な能力です。

言葉の発達も、社交性の向上に大きく寄与します。自分の気持ちを言葉で表現できるようになることで、人とのコミュニケーションが取りやすくなります。「こんにちは」「ありがとう」「また遊ぼうね」といった言葉を使えるようになることで、人との関わりが豊かになっていきます。

集団生活の経験も重要です。保育園、幼稚園、小学校と、集団の中で過ごす時間が増えることで、こどもは様々な人との関わり方を学びます。友達との遊び、先生との関係、クラスメートとの協力など、多様な経験を通じて社交性を育てていくのです。

人見知りが終わっていく過程で、こどもは「人と関わることは楽しい」と感じるようになります。友達と遊ぶ楽しさ、一緒に何かを達成する喜び、誰かに認められる嬉しさなど、ポジティブな経験を積むことで、人への興味と信頼が育っていきます。

保護者の役割は、この成長を温かく見守り、サポートすることです。焦らせず、無理強いせず、こどものペースを尊重しながら、少しずつ経験を積ませていくことが大切です。人見知りは、社交性を身につけるための大切な通過点なのです。

人見知りはいつまで続くのかという問いに対する答えは、多くの場合2歳から3歳頃までに自然と落ち着くというものですが、個人差が大きく、長引くこともあります。人見知りが長引く理由は気質や環境など様々ですが、焦らず温かく見守り、段階的に経験を積ませることで、こどもは徐々に社交性を身につけていきます。

年齢が上がっても続く人見知りは性格の一部として受け入れ、その子なりのペースで成長できるようサポートすることが大切です。人見知りを経験することで、こどもは適切な人との距離感を学び、健全な社交性へと成長していくのです。

監修

代表理事
佐々木知香

略歴

2017年 本田右志理事長より右脳記憶教育講座を指南、「JUNKK認定マスター講師」取得
2018年 幼児教室アップルキッズをリビングサロンとして開講
2020年 佐々木進学教室Tokiwaみらい内へ移転、「佐々木進学教室幼児部」として再スタート
2025年 一般社団法人 日本右脳記憶教育協会(JUNKK)代表理事に就任
塾講師として中高生の学習指導に長年携わる中で、幼児期・小学校期の「学びの土台づくり」の重要性を痛感。
結婚を機に地方へ移住後、教育情報や環境の地域間格差を実感し、「地域に根差した実践の場をつくりたい」との想いから、幼児教室アップルキッズを開校。
発達障害や不登校の支援、放課後等デイサービスでの指導、子ども食堂での学習支援など、多様な子どもたちに寄り添う教育活動を展開中。