後追いはいつから始まる?いつ終わる?時期や原因と対処法について!

後追い

トイレに行こうとすると泣き出す、キッチンに立つだけで追いかけてくる、そんなこどもの後追いに困っている保護者は多いでしょう。

姿が見えなくなるだけで不安になり、常にそばにいないと泣いてしまう様子に、どう対応すればよいのか悩むこともあります。

始まる時期や原因を理解し、適切に対応することで、こどもの不安を和らげながら成長を見守ることができます。

この記事では、後追いはいつから始まるのか、その原因と対処法について詳しく解説します。

後追いはいつから始まるの?

後追いは生後7か月から9か月頃に始まることが多く、ハイハイができるようになる時期と重なります。

後追いとは、保護者の姿が見えなくなると不安になり、泣いたり追いかけたりする行動のことです。保護者がトイレに行く、別の部屋に移動する、キッチンに立つなど、少し離れただけでもこどもが追いかけてくる様子は、多くの保護者が経験する現象です。この後追いは、こどもの心と体の発達が進んだ証であり、決して異常な行動ではありません。

後追いが始まる時期は、生後7か月から9か月頃が最も一般的です。この時期は、ハイハイやずりばいなどの移動能力が発達し、自分の意志で保護者のそばに行けるようになる時期と重なります。それまでは保護者が離れても、自分からは追いかけられませんでしたが、移動できるようになることで、物理的に追いかける行動が可能になるのです。

ただし、後追いが始まる時期には個人差があります。早い子では生後6か月頃から兆候が見られることもあれば、遅い子では生後10か月や11か月頃から始まることもあります。また、後追いの強さにも差があり、少し離れただけで激しく泣く子もいれば、視界に入っていれば平気な子もいます。

移動能力の発達と後追いの開始時期は密接に関係しています。ハイハイが早い子は後追いも早く始まる傾向があり、移動が遅い子は後追いの開始も遅くなることがあります。つかまり立ちや伝い歩きができるようになると、後追いはさらに激しくなることもあります。より機敏に移動できるため、保護者を追いかけるスピードも速くなるのです。

後追いは人見知りと同時期に始まることが多いでしょう。人見知りも後追いも、愛着形成の過程で現れる行動であり、どちらも生後6か月から9か月頃に顕著になります。人見知りで知らない人を警戒し、後追いで保護者を求めるという、両方の行動が同時に見られることは珍しくありません。

後追いは生後7か月から9か月頃に始まり、ハイハイなどの移動能力の発達と深く関係しています。

では、なぜこの時期に後追いが始まるのでしょうか。

後追いが始まる理由は?

後追いが始まる理由は、特定の保護者への愛着が深まり、離れることへの不安が強くなるためです。

後追いは、こどもの心理的発達と認知的発達が組み合わさって起こる現象です。保護者への愛情が深まると同時に、保護者がいなくなることの意味を理解し始めることで、後追いという行動が現れます。この行動は、こどもが健全に成長している証であり、保護者との絆が深まっている証拠でもあります。

愛着形成の深まり

後追いの最も大きな理由は、特定の保護者への愛着が深まることです。

生後数か月の間、一貫したケアを受けることで、こどもは特定の保護者を「安全基地」として認識するようになります。この人がいれば安心、この人がいなければ不安という感覚が育つのです。愛着が深まるほど、その人への依存度は高まり、離れることへの不安も強くなります。

生後7か月から9か月頃は、愛着形成の重要な時期です。この時期までに、こどもは保護者の顔、声、匂い、抱き心地などを深く記憶し、その人を特別な存在として認識します。「この人は自分を守ってくれる」「この人がいれば大丈夫」という信頼感が確立されるのです。

愛着の深まりとともに、保護者への独占欲も生まれます。自分だけを見ていてほしい、常にそばにいてほしいという欲求が強くなります。保護者が他のことをしている、他の人と話している、自分から離れていくといった状況に、強い不安を感じるようになるのです。

後追いは、実は愛着が順調に形成されている証拠です。逆に、後追いが全くない場合、愛着形成に課題がある可能性も考えられます。もちろん、後追いの強さには個人差があるため、後追いが弱いからといって必ずしも問題があるわけではありませんが、適度な後追いは健全な発達のサインなのです。

愛着形成が深まることで、保護者への依存度が高まり、離れることへの不安が強くなることが後追いの根本的な理由です。

分離不安の表れ

後追いは、分離不安という心理現象の表れでもあります。

分離不安とは、愛着対象から離れることに対して感じる不安のことです。生後7か月頃から顕著になり、1歳から2歳頃がピークです。この分離不安が、後追いという行動を引き起こします。保護者が視界から消えると、「どこに行ったの」「もう戻ってこないのでは」という不安に襲われ、泣いたり追いかけたりするのです。

この時期のこどもは、「対象の永続性」という概念を理解し始めています。対象の永続性とは、目の前から見えなくなっても、物や人は存在し続けるという理解のことです。しかし、この理解はまだ不完全です。保護者が見えなくなると、頭では「どこかにいる」と分かっていても、感情的には「もういなくなった」と感じてしまうのです。

また、この時期のこどもは時間の概念もまだ理解できません。保護者が「すぐ戻ってくるよ」と言っても、「すぐ」がどのくらいなのか分かりません。数分の別れも、こどもにとっては永遠のように感じられることもあります。この時間感覚の未熟さが、分離不安を強めています。

記憶力の発達も関係しています。以前、保護者が出かけて長時間一人になった経験、保護者の姿が見えなくなって不安だった経験などを記憶しています。その記憶が、保護者が離れるたびに呼び起こされ、不安を引き起こすのです。ネガティブな経験が多いほど、分離不安は強くなります。

分離不安は正常な発達段階であり、むしろ健全な愛着形成の証です。この不安を経験することで、こどもは徐々に「保護者は離れても必ず戻ってくる」ということを学んでいきます。後追いを通じて、安心感と信頼感を育てているのです。

後追いは愛着形成の深まりと分離不安の表れであり、こどもの心理的発達が順調に進んでいる証拠です。

後追いが始まる理由が分かると、いつ頃が最も激しくなるのかが気になります。

後追いのピークはいつ頃か

後追いのピークは生後10か月から1歳頃で、この時期は移動能力と分離不安の両方が高まります。

後追いは突然始まるわけではなく、徐々に強くなっていきます。生後7か月から9か月頃に始まり、生後10か月から1歳頃に最も激しくなることが多いでしょう。この時期は、こどもの体力も増し、移動速度も速くなるため、より積極的に保護者を追いかけるようになります。

ハイハイからつかまり立ち、伝い歩きへと移動能力が発達することで、後追いの仕方も変化します。最初はハイハイで追いかけていたのが、立って歩けるようになると、より速く、より遠くまで追いかけられるようになります。階段を上ったり、ドアを開けようとしたりするなど、行動範囲も広がります。

この時期の後追いは、保護者にとって最も大変な時期でもあります。トイレにも一人で行けない、お風呂にも一緒に入らなければならない、料理をしているときも足元にまとわりつくなど、日常生活のあらゆる場面で後追いが起こります。保護者の自由な時間がほとんどなくなり、疲労やストレスが溜まることもあるでしょう。

夜泣きとの関連も見られる時期です。日中の分離不安が、夜間の睡眠にも影響することがあります。夜中に目を覚まして保護者の姿が見えないと不安になり、泣いて呼ぶことが増えます。後追いと夜泣きが同時に起こることで、保護者の睡眠不足が深刻になることもあります。

保育園や幼稚園への入園時期と重なる場合、後追いはさらに強くなることがあります。新しい環境への不安と、保護者と離れる不安が重なり、登園時に激しく泣くことがあります。この時期は、こどもにとっても保護者にとっても、非常にストレスフルな時期です。

後追いのピークは生後10か月から1歳頃であり、移動能力の発達と分離不安の高まりにより、最も激しくなる時期です。

この大変な時期を乗り越えるために、適切な対処法を知ることが重要です。

後追いへの対処法

後追いへの対処は、こどもの不安を受け止めながら、少しずつ一人でいる経験を積ませることが大切です。

後追いは発達の正常な過程であり、無理に止めさせようとする必要はありません。しかし、四六時中べったりでは、保護者の心身が持ちません。こどもの気持ちに寄り添いながらも、保護者自身の時間も確保できるよう、バランスの取れた対応が求められます。

やってはいけない対応

後追いへの対応で、避けるべき方法があります。

最もやってはいけないのは、こどもに黙って姿を消すことです。トイレに行くとき、ゴミを出しに行くとき、こどもが気づかないうちにこっそり行けば楽だと思うかもしれませんが、これは逆効果です。気づいたときに保護者がいないという状況は、こどもに大きな不安を与えます。「いつの間にかいなくなる」という経験が、分離不安をさらに強めてしまうのです。

泣いているこどもを放置することも避けるべきです。「泣いても無視すれば諦める」という考え方は、後追いには適切ではありません。こどもが求めているときに応答しないことは、愛着形成に悪影響を与える可能性があります。適度に応えることで、こどもは安心感を得られます。

怒ったり叱ったりすることも逆効果です。「いつもべったりで困る」「一人で遊んでて」と叱っても、こどもは不安を抑えられません。後追いは感情の自然な表れであり、叱責によってコントロールできるものではないのです。むしろ、叱られることで不安が増し、後追いが強化されることもあります。

保護者が不安そうな態度を見せることも避けましょう。「この子は後追いが激しくて困る」「いつまで続くのか」といった不安を、こどもの前で口にすると、その不安がこどもに伝わります。こどもは保護者の感情を敏感に感じ取るため、保護者が落ち着いて接することが大切です。

急に長時間離れることも慎重に行うべきです。少しずつ慣らしていくのではなく、いきなり保育園に預ける、長時間誰かに預けるといった急激な変化は、こどもに大きなストレスを与えます。段階的に慣らしていくことが重要です。

こどもの気持ちを否定したり無視したりせず、受け止めながら適切に対応することが後追いへの基本姿勢です。

おすすめの工夫

後追いを和らげるための効果的な工夫があります。

まず、声をかけてから離れることが基本です。「ママはトイレに行ってくるね」「すぐ戻ってくるよ」と声をかけてから移動します。こどもがまだ言葉を理解していなくても、声をかけることで「いなくならないよ」というメッセージが伝わります。また、戻ってきたときに「戻ってきたよ」と声をかけることで、「必ず戻ってくる」という経験を積ませることができます。

視界に入る範囲で活動することも有効です。完全に別の部屋に行くのではなく、ドアを開けておく、見える位置にいるなど、こどもから姿が見える状態を保ちます。姿が見えれば、こどもは安心して遊び続けられることもあります。キッチンで料理をするときは、リビングからキッチンが見える配置にする、ベビーゲートで仕切っても顔が見えるようにするなどの工夫が効果的です。

短時間から慣らしていくことも大切です。最初は30秒だけ別の部屋に行く、次は1分、2分と徐々に時間を延ばしていきます。「離れても必ず戻ってくる」という経験を繰り返すことで、こどもは少しずつ安心できるようになります。焦らず、こどものペースで進めることが重要です。

一人遊びを促すことも効果的です。こどもが夢中になれるおもちゃや活動を用意し、集中している間にさっと用事を済ませます。ただし、遊びに夢中なときにこっそり消えるのではなく、声をかけてから離れることが大切です。こどもが「これは楽しい」と思える時間を増やすことで、保護者への依存度が少し下がります。

家族で協力することも重要です。保護者が離れる間、パートナーや祖父母など、信頼できる人がそばにいることで、こどもの不安は軽減されます。完全に一人にするのではなく、他の大人がいる状態から始めることで、段階的に慣らしていけます。

抱っこ紐やおんぶ紐を活用することも一つの方法です。後追いが激しいときは、おんぶして家事をするという選択肢もあります。こどもは保護者の背中にいることで安心し、保護者は両手が使えるため、効率的に作業ができます。ずっとおんぶし続ける必要はありませんが、特に大変なときの対処法として有効です。

「いないいないばあ」遊びを取り入れることもおすすめです。顔を隠して「いないいないばあ」をすることで、「いなくなっても戻ってくる」という概念を遊びの中で学べます。この遊びは、分離不安を和らげる効果があるとされています。

後追いへの対処は、こどもの不安を受け止めつつ、段階的に一人でいる時間を作り、少しずつ慣らしていくことがポイントです。

後追いのピークを乗り越えた後、いつまで続くのかも気になるところです。

後追いはいつまで続くのか

後追いは1歳半から2歳頃にかけて徐々に落ち着き、多くの場合2歳から3歳頃にはほとんど気にならなくなります。

後追いが終わる時期には個人差がありますが、一般的には1歳半頃から減少し始めます。この時期になると、言葉の理解が進み、「すぐ戻ってくるよ」という説明が理解できるようになります。また、保護者が見えなくても存在し続けるという「対象の永続性」の理解が深まり、不安が軽減されていきます。

歩行が安定することも、後追いの減少につながります。自分で自由に動き回れるようになると、保護者を追いかけることもできますが、同時に自分の興味のあるものに向かって動くこともできます。「保護者のそばにいなければ」という強迫的な感覚が薄れ、自分の関心に従って行動できるようになるのです。

2歳頃になると、自我が芽生え、「自分でやりたい」という欲求が強くなります。イヤイヤ期とも重なるこの時期は、逆に保護者から離れて一人で行動したがることもあります。後追いしていた頃が懐かしく感じられるほど、独立心が育つこともあるでしょう。

ただし、環境の変化があると、一度落ち着いていた後追いがぶり返すこともあります。引っ越し、弟や妹の誕生、保育園への入園など、大きな変化はこどもにとってストレスです。不安が高まると、再び保護者を強く求めるようになることがあります。これは一時的なものであり、新しい環境に慣れれば、再び落ち着いていきます。

3歳頃には、ほとんどのこどもで後追いは気にならなくなります。保護者と離れることに慣れ、幼稚園や保育園での集団生活も楽しめるようになります。友達と遊ぶ楽しさを知り、保護者以外の人との関わりも増えることで、保護者への依存度は自然と下がっていきます。

ただし、慎重な性格のこどもは、3歳を過ぎても新しい環境では保護者にべったりになることがあります。これは後追いとは少し異なり、性格的な慎重さの表れです。時間をかければ慣れることができ、信頼関係ができれば保護者から離れても大丈夫になります。

後追いは1歳半から2歳頃に減少し始め、2歳から3歳頃にはほとんど落ち着き、こどもの成長とともに自然と終わっていきます。

後追いが終わっていく過程で、こどもはどのように成長していくのでしょうか。

後追いから自立への成長

後追いを経験することで、こどもは保護者への信頼を深め、その信頼を土台に自立へと成長していきます。

後追いは、決してネガティブな行動ではありません。むしろ、健全な愛着形成と自立への重要なステップです。後追いを通じて、こどもは「保護者は離れても必ず戻ってくる」「離れていても自分は守られている」という安心感を学びます。この安心感が、将来の自立心の基盤となるのです。

後追いの時期に、保護者が適切に応答することが重要です。こどもが求めたときに応え、不安を受け止めることで、こどもは「自分は愛されている」「自分は大切にされている」と感じます。この感覚が、自己肯定感を育て、他者を信頼する力を育てます。後追いへの対応が、こどもの心の土台を作るのです。

後追いが落ち着いてくると、こどもは少しずつ保護者から離れて遊べるようになります。最初は保護者の姿が見える範囲で、次は別の部屋でも短時間なら、というように段階的に距離が広がっていきます。この過程は、自立への準備期間です。保護者という安全基地があるからこそ、こどもは外の世界を探索できるのです。

友達との関係も重要になってきます。保育園や幼稚園で友達ができると、保護者以外の人との関わりが楽しいと感じるようになります。友達と遊ぶことで、社会性が育ち、保護者への依存度が自然と下がります。後追いの時期を経て築かれた安定した愛着が、他者との健全な関係を築く力となるのです。

後追いが激しかったこどもほど、自立したときの成長が大きく感じられることもあります。ずっと保護者のそばにいたこどもが、ある日突然「一人で行く」「自分でやる」と言い出すことがあります。十分な愛着を得たからこそ、自信を持って一歩を踏み出せるのです。

保護者としては、後追いの時期は大変ですが、この時期にしっかりと向き合うことが、こどもの将来の自立につながります。「今は大変だけれど、この経験がこどもの成長の糧になる」と捉えることで、前向きに乗り越えられるでしょう。後追いを通じて、こどもは保護者への深い信頼を育て、やがてその信頼を土台に、自分の足で歩み始めるのです。

後追いは生後7か月から9か月頃に始まり、生後10か月から1歳頃にピークを迎え、その後徐々に落ち着いていく発達過程です。後追いは愛着形成が順調に進んでいる証であり、分離不安という正常な心理現象の表れです。

後追いへの対処は、こどもの気持ちを受け止めながら、段階的に一人でいる経験を積ませることが大切であり、多くの場合2歳から3歳頃にはほとんど気にならなくなります。後追いを経験することで、こどもは保護者への信頼を深め、その信頼を土台に自立へと成長していくのです。

監修

代表理事
佐々木知香

略歴

2017年 本田右志理事長より右脳記憶教育講座を指南、「JUNKK認定マスター講師」取得
2018年 幼児教室アップルキッズをリビングサロンとして開講
2020年 佐々木進学教室Tokiwaみらい内へ移転、「佐々木進学教室幼児部」として再スタート
2025年 一般社団法人 日本右脳記憶教育協会(JUNKK)代表理事に就任
塾講師として中高生の学習指導に長年携わる中で、幼児期・小学校期の「学びの土台づくり」の重要性を痛感。
結婚を機に地方へ移住後、教育情報や環境の地域間格差を実感し、「地域に根差した実践の場をつくりたい」との想いから、幼児教室アップルキッズを開校。
発達障害や不登校の支援、放課後等デイサービスでの指導、子ども食堂での学習支援など、多様な子どもたちに寄り添う教育活動を展開中。
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