トイレに行くだけで泣かれる、料理をしていても足元にまとわりつかれる、そんな毎日にイライラしてしまうことはありませんか。
後追いが激しいこどもに対して、優しくしたいのにストレスを感じてしまう自分に罪悪感を感じる保護者は多いでしょう。
これは、自由がなくなるストレスや睡眠不足など、誰にでも起こる自然な感情です。
ストレスを感じる理由を理解し、具体的な対処法を知ることで、気持ちを楽にしながら後追いの時期を乗り越えることができます。
この記事では、後追いでイライラする理由と、気持ちを楽にする対処法について詳しく解説します。
後追いでイライラする理由とは?
後追いでイライラするのは、自由を奪われるストレスと、休む時間がない疲労が主な原因です。
後追いが激しい時期は、保護者にとって非常にストレスフルな時期です。愛しいはずの我が子に対してイライラしてしまうことに、罪悪感を感じる保護者も多いでしょう。しかし、イライラは決して保護者の性格が悪いからではなく、人間として自然な感情反応です。後追いがイライラを引き起こす理由を理解することで、自分を責める気持ちを軽減できます。
自由がなくなるストレス
後追いでイライラする最も大きな理由は、自分の自由な時間や行動が制限されることです。
トイレに行くだけで泣かれる、お風呂に入るときも一緒でなければならない、料理をしていても足元にまとわりつかれるなど、後追いが激しい時期は、保護者の行動が常に制限されます。一人になれる時間がほとんどなく、すべての行動がこどもの存在に左右されることは、大きなストレスです。
基本的な生理現象すら自由にできないことが、イライラを引き起こします。トイレに行きたいのに行けない、喉が渇いても飲み物を取りに行けない、暑くても着替えられないなど、自分のニーズを満たせない状況が続くと、人は強いストレスを感じます。これは本能的な欲求が阻害されることへの frustration です。
家事が進まないことへの焦りもストレスになります。料理をしようとすると泣かれる、洗濯物を干そうとすると追いかけてくる、掃除をしようとすると邪魔されるなど、やるべきことができないもどかしさがあります。家事が溜まっていく焦りと、こどもに対応しなければならない現実の板挟みが、イライラを増幅させます。
自分の時間が全くないことも大きな要因です。趣味の時間、リラックスする時間、友人と話す時間、何もせずぼーっとする時間など、精神的な充電に必要な時間が一切取れません。常にこどもに気を配り、こどもの欲求に応え続けることは、心を消耗させます。
行動の自由が奪われることで、自己決定権がなくなったと感じることもストレスです。「今これをしたい」と思っても、こどもの都合で思い通りにならない日々が続きます。大人として自分の行動を自分で決められないという無力感が、イライラにつながるのです。
自由を奪われることは人間にとって大きなストレスであり、後追いでイライラする根本的な理由です。
睡眠不足と疲労の蓄積
睡眠不足と疲労の蓄積も、イライラを引き起こす大きな要因です。
後追いが激しい時期は、夜泣きも同時に起こることが多いでしょう。日中は後追いで自由がなく、夜は夜泣きで起こされる生活が続くと、慢性的な睡眠不足に陥ります。睡眠不足は、判断力を低下させ、感情のコントロールを困難にします。些細なことでイライラするのは、脳が十分に休めていないためです。
体力的な疲労も蓄積します。後追いに対応するために、一日中こどもを抱っこしたり、追いかけられて移動したり、泣かせないように気を遣ったりすることは、想像以上に体力を消耗します。休む間もなく動き続けることで、体はどんどん疲れていきます。
精神的な疲労も深刻です。泣き声を聞き続けること、常に緊張状態にあること、自分の時間がないことなど、心の疲れは体の疲れ以上に回復が難しいものです。心が休まる時間がないと、些細なことでも感情が爆発しやすくなります。
食事をゆっくり取れないことも、疲労を増幅させます。後追いが激しいと、座って食事をする時間すらありません。立ったまま食べる、冷めたものを食べる、食事を抜くこともあるでしょう。栄養が十分に取れないと、体力も気力も低下し、イライラしやすくなります。
回復する時間がないことが、疲労を慢性化させます。通常、人は疲れたら休んで回復しますが、後追いの時期は休む時間がありません。疲労が蓄積し続ける一方で、回復する機会がないため、イライラの閾値がどんどん下がっていくのです。
睡眠不足と疲労の蓄積は、感情のコントロールを困難にし、イライラを引き起こす大きな要因です。
後追いでイライラする理由を理解すると、それは異常なことではないことが分かります。
後追いでイライラするのは当たり前
後追いでイライラするのは、決して保護者の愛情不足や性格の問題ではなく、人間として自然な反応です。
多くの保護者が「イライラしてはいけない」「こどもを愛しているのにイライラするなんて」と自分を責めます。しかし、イライラは感情であり、感情は自分でコントロールできるものではありません。後追いという状況が、イライラという感情を引き起こすのは、ごく自然なことなのです。
世界中のどの保護者も、後追いの時期にはイライラします。文化や国が違っても、四六時中追いかけられ、自分の時間がなくなれば、誰でもストレスを感じます。あなただけが特別にイライラしているわけではなく、後追いを経験するほとんどの保護者が同じ気持ちを抱えています。
イライラすることと、こどもを愛していることは矛盾しません。こどもを深く愛しているからこそ、後追いに応えようとし、その結果として疲れてイライラするのです。イライラは、頑張りすぎている証拠でもあります。何も感じずに放置できる方が、むしろ問題かもしれません。
イライラを感じること自体は悪いことではありません。問題なのは、イライラをこどもにぶつけてしまうことです。イライラという感情を持つことと、その感情をどう表現するかは別の話です。イライラを感じても、それを適切に処理できれば、何も問題はないのです。
保護者も人間であり、感情があります。聖人君子のように常に穏やかでいることは不可能です。イライラしたり、疲れたり、逃げ出したくなったりするのは、人間として当然の反応です。完璧な保護者になろうとするのではなく、感情を持つ一人の人間として、自分を受け入れることが大切です。
後追いでイライラするのは異常なことではなく、誰にでも起こる自然な感情反応であると理解することが第一歩です。
イライラが自然な感情だと分かったところで、具体的な対処法を知ることが重要です。
イライラしたときの対処法
イライラを感じたときは、その場でできる対処と、日常的な工夫の両方が有効です。
イライラは溜め込むと爆発してしまいます。こどもに怒鳴ってしまう、物に当たってしまう、自己嫌悪に陥るといった悪循環を防ぐには、イライラを感じた時点で適切に対処することが大切です。完全にイライラをなくすことは難しいですが、軽減することは可能です。
その場でできる対処
イライラのピークを感じたときに、その場でできる対処法があります。
最も効果的なのは、一旦その場を離れることです。こどもの安全を確認した上で、別の部屋に行く、ベランダに出る、トイレに逃げ込むなど、物理的に距離を取ります。数分間でも、こどもから離れることで気持ちをリセットできます。泣き声が聞こえない場所に移動するだけでも、心が落ち着きます。
深呼吸をすることも即効性があります。イライラしているときは呼吸が浅くなっています。ゆっくりと深く息を吸い、ゆっくりと吐くことを数回繰り返すだけで、自律神経が整い、気持ちが落ち着きます。4秒吸って、7秒止めて、8秒かけて吐くという呼吸法も効果的です。
冷たい水で顔を洗うことも有効です。物理的な刺激が、感情をリセットするきっかけになります。冷たい水を飲む、氷を触る、冷たいタオルを首に当てるなど、冷感刺激を使うことで、頭がクリアになります。
声に出して気持ちを言葉にすることも効果的です。「今、すごくイライラしている」「疲れた」「一人になりたい」と、自分の感情を言葉にすることで、感情を客観視できます。誰かに聞いてもらう必要はなく、独り言でも構いません。感情に名前をつけることで、コントロール感が生まれます。
音楽を聴くこともおすすめです。イヤホンで好きな音楽を流すだけで、気分が変わります。心が落ち着く音楽、元気が出る音楽、何でも構いません。音楽は感情に直接働きかけるため、即効性があります。
体を動かすことも有効です。その場で軽くストレッチをする、ジャンプする、壁を押すなど、体に力を入れて動かすことで、ストレスホルモンが発散されます。イライラのエネルギーを、身体活動に変換するのです。
その場でできる対処法を知っておくことで、イライラのピーク時に適切に対応できます。
日常的な工夫
イライラを予防するための、日常的な工夫も重要です。
睡眠時間を確保することが最優先です。夜まとまって眠れない場合は、こどもが昼寝をしているときに一緒に寝る、家事よりも睡眠を優先するなど、工夫が必要です。睡眠が取れるだけで、イライラの程度は大幅に軽減されます。パートナーや家族に協力してもらい、数時間でもまとまった睡眠を取れる時間を作りましょう。
家事の手抜きを許可することも大切です。完璧を目指さず、最低限のことだけをやるという割り切りが必要です。掃除は毎日しない、料理は簡単なもので済ませる、洗濯物は畳まないなど、自分なりの手抜きポイントを見つけましょう。こどもの後追いに対応することで精一杯なのに、完璧な家事まで求めるのは無理があります。
おんぶ紐を活用することも一つの方法です。後追いが激しいときは、おんぶして家事をすることで、こどもは安心し、保護者は両手が使えます。ずっとおんぶし続ける必要はありませんが、特に大変なときの対処法として有効です。こどもも保護者の背中で満足し、泣かなくなることがあります。
一人の時間を確保することも重要です。週に一度でも、数時間でも、こどもから離れる時間を作りましょう。パートナーや祖父母に預ける、一時保育を利用するなど、方法は様々です。完全に育児から離れて、自分のために時間を使うことで、心がリフレッシュされます。
ストレス発散の方法を持つことも効果的です。友人に愚痴を聞いてもらう、日記に書く、SNSで同じ境遇の人と交流する、好きな飲み物を飲むなど、自分なりのストレス発散方法を見つけましょう。小さなことでも、定期的にストレスを発散することで、イライラの蓄積を防げます。
栄養のある食事を取ることも忘れずに。後追いの時期は食事がおろそかになりがちですが、栄養不足は疲労とイライラを悪化させます。簡単でもいいので、バランスの取れた食事を意識しましょう。サプリメントを活用することも一つの方法です。
日常的な工夫を取り入れることで、イライラの予防と軽減につながります。
対処法を知ることに加えて、心構えを変えることも効果的です。
イライラを溜めないための心構え
イライラを溜めないためには、完璧を目指さず、今は特別な時期だと割り切る心構えが大切です。
後追いの時期は、通常の生活とは異なる特別な時期です。この時期に通常通りの生活を維持しようとすることが、イライラを生む原因になります。今は特別な時期であり、いつもと同じようにはできないと認識することで、気持ちが楽になります。
完璧主義を手放すことが重要です。きれいな部屋、栄養バランスの取れた手作りの食事、規則正しい生活など、理想を追い求めると、現実とのギャップにイライラします。今はできる範囲でやる、最低限でいいと割り切ることで、自分へのプレッシャーが減ります。
他人と比較しないことも大切です。SNSで見る他の保護者は、上手に育児をしているように見えるかもしれません。しかし、それは一部を切り取った姿です。誰もがイライラし、悩み、疲れています。自分だけができていないと思う必要はありません。
今だけと思うことも有効です。後追いは永遠に続くものではありません。多くの場合、1歳半から2歳頃には落ち着きます。「今だけ」「あと少し」と思えることで、耐える力が湧いてきます。辛い時期には終わりがあると知ることが、希望になります。
こどもの成長と捉えることもできます。後追いは、愛着が深まっている証拠であり、健全な発達のサインです。イライラするほど追いかけてくるのは、それだけ保護者を愛しているからです。この視点を持つことで、少しポジティブに捉えられるかもしれません。
「ま、いいか」の精神を持つことも重要です。家事が進まなくても「ま、いいか」、予定通りに行かなくても「ま、いいか」と、細かいことは気にしない姿勢が、イライラを軽減します。完璧でなくても、こどもは育ちます。自分に厳しくし過ぎないことが大切です。
完璧を目指さず、今は特別な時期だと割り切る心構えが、イライラを溜めない鍵となります。
心構えとともに、周囲の助けを借りることも重要です。
周囲に助けを求める方法
イライラを一人で抱え込まず、周囲に助けを求めることは恥ずかしいことではありません。
育児は一人でするものではありません。昔は大家族や地域で子育てをしていましたが、現代は核家族化が進み、保護者が孤立しがちです。しかし、だからこそ意識的に助けを求めることが必要です。助けを求めることは、弱さではなく、こどものためにできる最善の選択です。
パートナーに具体的に頼むことが第一歩です。「疲れた」と漠然と言うのではなく、「今日の夕食後、30分だけこどもを見ていてほしい」「週末の午前中、2時間こどもと遊んでいてほしい」と具体的に伝えます。男性は具体的な指示がないと動けないことが多いため、明確に依頼することが効果的です。
祖父母に頼ることも検討しましょう。近くに住んでいる場合は、週に一度預かってもらう、数時間だけ来てもらうなど、定期的なサポートを依頼します。遠方の場合でも、電話で話を聞いてもらうだけでも気持ちが楽になります。頼ることで、祖父母も孫との関係を深められます。
一時保育を利用することも有効です。「理由がないと預けてはいけない」と思う保護者もいますが、リフレッシュのために預けることは正当な理由です。数時間でも、こどもから離れることで、心の余裕が生まれます。罪悪感を感じる必要はありません。
ファミリーサポートや地域の子育て支援サービスを活用することもおすすめです。多くの自治体が、育児支援サービスを提供しています。情報を集め、利用できるものは積極的に利用しましょう。利用料がかかっても、自分の心の健康のためには必要な投資です。
友人に話を聞いてもらうことも大切です。直接会えなくても、電話やメッセージで愚痴を聞いてもらうだけで、気持ちが軽くなります。同じように後追いを経験した友人なら、共感してもらえるでしょう。孤独を感じないことが、心の支えになります。
専門家に相談することも選択肢です。保健センター、子育て支援センター、カウンセリングなど、話を聞いてくれる場所は様々あります。専門家は判断せず、ただ受け止めてくれます。話すことで、自分の気持ちが整理されることもあります。
助けを求めることは弱さではなく、こどもと自分の両方を守るための賢い選択です。
最後に、イライラする自分を責めないことが何より大切です。
イライラする自分を責めないために
イライラする自分を責めることは、状況を悪化させるだけであり、自分を許すことが回復への第一歩です。
多くの保護者が、イライラした後に強い罪悪感を感じます。「こどもに申し訳ない」「自分はダメな親だ」と自分を責めることで、さらに心が疲れてしまいます。しかし、自分を責めることは何の解決にもなりません。むしろ、自己肯定感を下げ、さらにイライラしやすくなる悪循環を生みます。
イライラは感情であり、感情に良い悪いはありません。感じることは自然なことで、コントロールできるものではないのです。イライラを感じた自分を責めるのではなく、「今、こういう感情を持っている」と認めることが大切です。感情を認めることで、適切に処理できるようになります。
完璧な保護者はいません。誰もが失敗し、イライラし、後悔します。SNSで見る完璧に見える保護者も、裏では同じように悩んでいます。自分だけが特別にダメなわけではありません。不完全であることが、人間として正常なのです。
こどもは保護者の完璧さを求めていません。完璧な保護者よりも、ありのままの保護者を愛しています。たまにイライラしても、基本的に愛情を持って接していれば、こどもは健全に育ちます。一回一回の失敗ではなく、日々の積み重ねが大切なのです。
自分を労うことを忘れないでください。毎日、後追いに対応し続けていることは、すごいことです。イライラしながらも、こどもの世話を続けていることは、立派な愛情表現です。自分の頑張りを認め、「よくやっている」と自分を褒めてあげましょう。
失敗したと感じたときは、謝ることも大切です。こどもに怒鳴ってしまったら、「さっきは怒鳴ってごめんね。ママ(パパ)も疲れていたの」と謝ります。謝ることで、自分の気持ちも整理できますし、こどもに謝罪のモデルを示すことにもなります。完璧でなくても、修復できることを示すことが大切です。
自分自身に優しくすることが、結果的にこどもにも優しくできることにつながります。自分の心が満たされていないと、他者に与えることはできません。まず自分を許し、労い、大切にすることが、より良い育児への道です。
後追いでイライラするのは、自由を奪われるストレスと睡眠不足や疲労の蓄積が原因であり、誰にでも起こる自然な感情です。イライラを感じたときは、その場を離れる、深呼吸をするなどの即効性のある対処と、睡眠確保や家事の手抜きなどの日常的な工夫が有効です。
完璧を目指さず、今は特別な時期だと割り切り、周囲に助けを求めることも大切です。そして何より、イライラする自分を責めず、不完全な自分を許すことが、後追いの時期を乗り越える鍵となります。
監修

略歴
| 2017年 | 本田右志理事長より右脳記憶教育講座を指南、「JUNKK認定マスター講師」取得 |
|---|---|
| 2018年 | 幼児教室アップルキッズをリビングサロンとして開講 |
| 2020年 | 佐々木進学教室Tokiwaみらい内へ移転、「佐々木進学教室幼児部」として再スタート |
| 2025年 | 一般社団法人 日本右脳記憶教育協会(JUNKK)代表理事に就任 |



