1歳のこどもの寝かしつけ方法に苦労していませんか。
このころは、成長が著しく、寝かしつけ方法も月齢によって大きく変化する時期です。
夜泣きが増えたり、これまでの方法が通用しなくなったりと、悩みも多様化します。
しかし年齢特有の発達段階を理解し、適切な方法を取り入れることで、親子ともに快適な睡眠時間を確保できるようになります。
この記事では、1歳児の月齢別の寝かしつけ方法と、夜泣きへの対処法を詳しくご紹介します。
1歳児の寝かしつけ方法|基本の4つのステップ
1歳児の寝かしつけは、月齢による個人差はあるものの、生活リズムを整えて安心できる環境を作り、徐々にセルフねんねへ移行していくことが基本の流れです。
1歳児に効果的な寝かしつけ方法として、以下の4つのステップを押さえておきましょう。
①生活リズムを整える
1歳になると、昼夜の区別がはっきりしてきて、生活リズムが確立しやすい時期です。毎日同じ時刻に起床し、食事や昼寝、就寝の時間を一定にすることで、体内時計が整い、自然と眠気が訪れるようになります。
理想的な就寝時刻は19時半から20時半の間です。1歳児の推奨睡眠時間は、一日トータルで11〜14時間とされており、夜間に10〜12時間、昼寝で1〜3時間が目安となります。朝は6時半から7時半頃に起こし、朝日を浴びさせることで体内時計がリセットされます。
食事の時間も睡眠に影響します。夕食は就寝の2時間前までに済ませ、寝る直前の授乳やおやつは控えめにしましょう。お腹が満たされすぎていても、空腹でも眠りにくくなります。
休日も平日と同じリズムを保つことが重要です。週末に遅く起きると、月曜日からリズムを取り戻すのに数日かかってしまいます。
②入眠の合図を作る
1歳児には「これをしたら寝る時間」という入眠の合図が効果的です。毎晩同じルーティンを繰り返すことで、こどもは予測ができるようになり、心の準備が整います。
おすすめの入眠ルーティンは「お風呂→着替え→絵本→電気を消す→寝る」といった流れです。お風呂は就寝の1時間から1時間半前に入り、体温が下がるタイミングで眠気が訪れるようにします。お風呂の温度は38〜40度のぬるめに設定し、リラックス効果を高めましょう。
絵本の読み聞かせは1歳児に特に効果的です。この時期は言葉の理解が進み、絵本に興味を示すようになります。短くて優しい内容の絵本を1〜2冊読み、静かな声でゆっくりと読むことで、眠りを誘います。
部屋を暗くするのも大切な合図です。明るいとメラトニンの分泌が抑えられてしまうため、就寝30分前からは照明を落とし、テレビやスマートフォンの画面も避けましょう。
③安心できる環境を用意する
1歳児は分離不安が強くなる時期でもあります。親が近くにいないと不安になり、泣いてしまうことも多いでしょう。寝室を安心できる空間にすることが大切です。
室温は夏場で26〜28度、冬場で18〜20度が適温です。湿度は50〜60%程度に保ち、乾燥しすぎないよう加湿器を使うのもよいでしょう。寝具はこどもの体に合った固さのマットレスと、季節に応じた掛け布団を選びます。
お気に入りのぬいぐるみやタオルケットを「安心アイテム」として持たせるのも効果的です。これらは移行対象と呼ばれ、親の代わりに安心感を与えてくれます。ただし窒息の危険があるため、大きすぎるものや顔を覆うようなものは避けましょう。
適度な暗さも重要です。真っ暗が怖い場合は、小さな常夜灯をつけても構いません。音に敏感なこどもの場合は、ホワイトノイズや静かな音楽を小さく流すのも一案です。
④セルフねんねへの移行
1歳は抱っこや授乳なしで眠る「セルフねんね」への移行を始める時期でもあります。急に変えるのではなく、徐々に親の助けを減らしていくことがポイントです。
まずは抱っこで寝かしつけている場合、抱っこの時間を少しずつ短くします。眠くなってきたらベッドに置き、背中をトントンしながら寝かせる方法に切り替えていきましょう。トントンも徐々に減らし、最終的には横に寝転がっているだけで眠れるようにします。
授乳で寝かしつけている場合は、授乳と睡眠を切り離すことから始めます。授乳後に少し遊んだり絵本を読んだりして、起きている状態でベッドに入る習慣をつけましょう。
泣いたらすぐに抱き上げるのではなく、まずは声をかけたり背中をさすったりして落ち着かせます。それでも泣き続ける場合は抱っこしますが、眠りに落ちる前にベッドに戻すことを心がけましょう。
1歳児の寝かしつけは、生活リズムの確立と安心できる環境づくり、そしてセルフねんねへの移行を組み合わせることで、徐々にスムーズになっていきます。
次に、1歳前半と後半で変わる寝かしつけのポイントについて見ていきましょう。
1歳前半と後半で変わる寝かしつけのポイント
1歳は前半と後半で発達段階が大きく異なり、寝かしつけのポイントも月齢に応じて調整する必要があります。
1歳0ヶ月~6ヶ月の寝かしつけ
1歳前半は、まだ赤ちゃんらしさが残り、睡眠も不安定な時期です。夜泣きが頻繁にあり、昼寝も2回必要なこどもが多いでしょう。
この時期の昼寝は、午前に1回(30分〜1時間)、午後に1回(1〜2時間)の計2回が標準的です。午前の昼寝は9時半から10時半頃、午後の昼寝は13時から14時頃に始めるのが理想的です。昼寝の時間が遅すぎたり長すぎたりすると、夜の寝つきに影響するため、15時までには起こすようにしましょう。
1歳前半は後追いが激しくなる時期でもあります。親の姿が見えないと泣いてしまうため、寝かしつけには時間がかかることを覚悟しましょう。添い寝や抱っこが必要な場合も多く、無理にセルフねんねを急ぐ必要はありません。
夜間の授乳がまだ必要なこともあります。夜中に起きて泣いたら、おむつを確認し、必要に応じて授乳や水分補給をしましょう。ただし、徐々に夜間授乳の回数を減らしていくことを意識します。
歯が生え始める時期でもあり、歯ぐずりで寝つきが悪くなることもあります。歯固めを与えたり、日中に歯茎をマッサージしたりして、不快感を和らげてあげましょう。
1歳7ヶ月~11ヶ月の寝かしつけ
1歳後半になると、体力がついて昼寝が1回で済むこどもが増えてきます。昼寝は13時から15時頃に1回、1〜2時間程度が目安です。午前の昼寝がなくなる分、お昼ご飯の後に自然と眠くなります。
この時期は運動能力が発達し、歩けるようになるこどもも多いでしょう。日中にしっかり体を動かすことで、夜の寝つきが良くなります。公園で遊んだり、室内でも体を使った遊びを取り入れたりして、エネルギーを発散させましょう。
言葉の理解も進み、「ねんねの時間だよ」「おやすみなさい」といった声かけが通じるようになります。絵本の内容も理解できるようになるため、寝る前の読み聞かせがより効果的になる時期です。
一方で、自我が芽生え始め、寝るのを嫌がることも出てきます。「まだ遊びたい」という気持ちが強くなり、寝室に行くのを拒否することもあるでしょう。このときは選択肢を与えたり、遊びの要素を取り入れたりして、楽しく寝室に向かえるよう工夫します。
セルフねんねへの移行もしやすくなる時期です。安心アイテムを持たせ、入眠ルーティンを徹底することで、一人で眠れるようになるこどもも増えてきます。
1歳前半と後半では発達段階が異なるため、月齢に応じた寝かしつけ方法を選ぶことで、無理なくスムーズに進められます。
次に、1歳児に多い夜泣きへの対処法について解説します。
1歳児の夜泣きへの対処法
1歳児の夜泣きは、脳の発達や生活の変化が原因で起こることが多く、適切に対応することで徐々に落ち着いていきます。
1歳の夜泣きは、生後6ヶ月頃から始まる「夜泣き」とは少し性質が異なります。この時期の夜泣きは、日中の刺激が多すぎたり、新しい経験をしたりすることで、脳が興奮して起こることが多いのです。
夜泣きが起きたら、まずは様子を見ましょう。すぐに抱き上げるのではなく、5分ほど待ってみます。寝言泣きの場合は、そのまままた眠りに落ちることもあります。泣き方が激しくなったり、5分経っても泣き止まなかったりする場合は、対応します。
対応するときは、部屋を明るくしすぎないことが大切です。暗い中で優しく声をかけ、背中をトントンしたり、体をさすったりして落ち着かせます。抱っこが必要な場合も、揺らしすぎず、静かに抱きしめる程度にとどめましょう。
おむつが濡れていないか、暑すぎたり寒すぎたりしていないかも確認します。喉が渇いている可能性もあるため、水やお茶を少し飲ませてあげるのもよいでしょう。
授乳で寝かしつけている場合、夜泣きのたびに授乳すると、かえって夜泣きが増えることがあります。1歳であれば夜間授乳は必須ではないため、徐々に減らしていくことを検討しましょう。どうしても授乳が必要な場合も、眠りに落ちる前に授乳を終えるよう心がけます。
日中の過ごし方も夜泣きに影響します。午前中に外で遊ぶ時間を作り、適度に疲れさせることで、夜の睡眠が深くなります。ただし、夕方以降に激しく遊ぶと脳が興奮してしまうため、夕食後は穏やかに過ごしましょう。
新しい環境や初めての体験も夜泣きの原因になります。保育園に通い始めた、旅行に行った、親戚の家に泊まったなど、いつもと違う日は夜泣きが増えることがあります。このような日は、いつも以上にスキンシップを多くし、安心感を与えてあげましょう。
夜泣きは一時的なものです。毎晩続くと親も疲れてしまいますが、「今だけ」と割り切ることも大切です。家族で協力して交代で対応したり、昼間にこどもと一緒に昼寝をしたりして、親自身の睡眠時間も確保しましょう。
1歳児の夜泣きは、適切に対応しながら日中の生活リズムを整えることで、徐々に落ち着いていき、親子ともに安定した睡眠が得られるようになります。
次に、昼寝と夜の睡眠バランスについて見ていきましょう。
1歳児の昼寝と夜の睡眠バランス
1歳児の睡眠リズムを整えるには、昼寝と夜の睡眠のバランスが重要で、月齢に応じた昼寝のパターンを見つけることがポイントです。
昼寝の回数と時間の目安
1歳前半(1歳0ヶ月〜6ヶ月)は、昼寝が2回必要なこどもが多いでしょう。午前に30分〜1時間、午後に1〜2時間の昼寝が一般的です。午前の昼寝は9時半から10時半頃、午後の昼寝は13時から14時頃に始めるのが理想的です。
1歳後半(1歳7ヶ月〜11ヶ月)になると、体力がついて昼寝が1回で済むこどもが増えてきます。この場合、昼寝は13時から15時頃に1回、1〜2時間程度が目安です。午前の昼寝をやめるタイミングは、午前中に眠そうにしなくなったり、午前の昼寝をすると夜の寝つきが悪くなったりしたときです。
昼寝の時間は長すぎても短すぎても良くありません。昼寝が3時間以上になると、夜の睡眠に影響するため、長くても2時間半で起こすようにしましょう。逆に昼寝が短すぎると、夕方にぐずったり、夕寝をしてしまったりします。
昼寝は遅くとも15時までには起こすのが鉄則です。15時以降に昼寝をしてしまうと、夜の就寝時刻が遅れてしまいます。どうしても眠そうにしている場合でも、15時には起こして、夜の睡眠を優先しましょう。
保育園に通っているこどもは、園での昼寝時間に合わせて、家庭でも同じリズムを作ることが大切です。休日も平日と同じ昼寝時間を守ることで、生活リズムが安定します。
昼寝から夜の睡眠への切り替え方
昼寝をしたこどもを起こすときは、急に起こさず優しく声をかけて徐々に目覚めさせましょう。カーテンを開けて明るくしたり、好きな音楽をかけたりするのも効果的です。
起きてすぐは機嫌が悪いこともあります。無理に遊ばせようとせず、抱っこしたり絵本を読んだりして、ゆっくり目覚めさせてあげましょう。水分補給をして、少しずつ活動モードに切り替えていきます。
昼寝から起きた後は、外で遊ぶ時間を作ると、夜の睡眠がより深くなります。公園で遊んだり、散歩をしたりして、日光を浴びることで体内時計が整います。
夕方に眠そうにしていても、夕寝はできるだけ避けましょう。17時以降に眠ってしまうと、夜の就寝時刻が大幅に遅れてしまいます。眠そうにしている場合は、外に出て気分転換をしたり、少し体を動かしたりして、夜まで起きていられるようサポートします。
どうしても夕寝が必要な場合は、17時までに寝かせ、30分以内に起こすようにしましょう。それ以上寝てしまうと、夜の睡眠に大きく影響します。
昼寝と夜の睡眠のバランスを整えることで、一日を通して規則正しい生活リズムが作れ、こどもの機嫌も良くなり、成長にも良い影響を与えます。
最後に、寝かしつけに時間がかかるときの工夫について見ていきましょう。
寝かしつけに時間がかかるときの工夫
毎晩の寝かしつけに1時間以上かかってしまう場合、抱っこや授乳に頼らない方法を取り入れることで、徐々に時間を短縮できます。
抱っこや授乳に頼らない方法
抱っこで寝かしつけている場合、まずは抱っこの時間を少しずつ減らしていきましょう。完全に眠るまで抱っこするのではなく、うとうとしてきたらベッドに置き、背中をトントンしながら寝かせる方法に切り替えます。
トントンのリズムは1秒に1回程度のゆっくりとしたペースで、強さは軽く触れる程度が理想です。トントンしながら「ねんね、ねんね」と小さな声で繰り返すと、入眠の合図になります。
授乳で寝かしつけている場合は、授乳と睡眠を切り離すことが重要です。授乳は寝室に入る前に済ませ、授乳後に絵本を読んだり、少し遊んだりしてから寝室に入ります。授乳後、まだ起きている状態でベッドに入る習慣をつけましょう。
断乳を考えている場合は、1歳を過ぎれば栄養面では問題ありません。ただし、授乳はこどもにとって安心感を得る大切な時間でもあるため、無理に急ぐ必要はありません。こどもの様子を見ながら、ゆっくり進めていきましょう。
添い寝から一人で寝る練習も、徐々に進めていきます。最初は添い寝をして、こどもが眠りに落ちる寸前に少しずつ離れます。泣いたら戻って安心させ、また少し離れるという練習を繰り返します。
ねんねトレーニングの進め方
ねんねトレーニング(ネントレ)は、こどもが一人で眠る力を育てる方法です。1歳になれば、緩やかなネントレを始めることができます。
基本的な方法は、こどもがまだ起きている状態でベッドに入れ、少し離れた場所から見守るというものです。泣いたら一定時間(最初は1〜2分)待ってから声をかけに行き、「大丈夫だよ」と安心させてまた離れます。徐々に待つ時間を延ばしていき、最終的に一人で眠れるようにします。
この方法は「泣かせっぱなしにする」というものではありません。こどもが泣いたら必ず対応しますが、抱き上げたり授乳したりするのではなく、声かけや背中をさするだけにとどめることがポイントです。
ネントレを始める前に、入眠ルーティンを徹底しておくことが大切です。毎日同じ流れで就寝準備をし、こどもが「次は寝る時間」と予測できるようにしておきましょう。
ネントレは数日から数週間かかることもあります。最初の数日は泣く時間が長くなることもありますが、徐々に短くなっていきます。家族で方針を統一し、一貫した対応を続けることが成功の鍵です。
ただし、ネントレが合わないこどももいます。何週間続けても改善が見られない場合や、こどもが極度に不安そうな場合は、無理に続ける必要はありません。それぞれの家庭に合った方法を見つけることが大切です。
寝かしつけに時間がかかることは、1歳という時期には珍しくありません。焦らず、こどものペースに合わせながら、少しずつ親の助けを減らしていくことで、徐々に一人で眠れるようになっていきます。完璧を求めすぎず、できることから少しずつ取り組んでいきましょう。親が笑顔でいられることが、こどもの安心した睡眠につながります。
監修

略歴
| 2017年 | 本田右志理事長より右脳記憶教育講座を指南、「JUNKK認定マスター講師」取得 |
|---|---|
| 2018年 | 幼児教室アップルキッズをリビングサロンとして開講 |
| 2020年 | 佐々木進学教室Tokiwaみらい内へ移転、「佐々木進学教室幼児部」として再スタート |
| 2025年 | 一般社団法人 日本右脳記憶教育協会(JUNKK)代表理事に就任 |



