毎晩の寝かしつけに時間がかかり、いつまで続けるべきなのか悩んでいる保護者は多いでしょう。
周りのこどもが一人で寝られるようになっているのに、我が子は一人で寝られないと不安を感じることもあります。
こどもの発達段階や個性によって一人で寝られるようになるまでに必要な期間は異なり、適切なタイミングで卒業を目指すことが大切です。
この記事では、寝かしつけは何歳まで必要なのか、やめる時期と自然な卒業方法について詳しく解説します。
寝かしつけは何歳まで必要なの?
寝かしつけは多くの場合3歳から5歳頃まで必要で、小学校入学前後には一人で寝られるようになることが多いです。
寝かしつけとは、こどもが眠りにつくまで保護者がそばにいて、抱っこする、トントンする、添い寝するなどのサポートをすることです。新生児期から始まる寝かしつけは、こどもの成長とともに方法が変化し、やがて必要なくなっていきます。しかし、いつまで必要かは、こどもの個性や家庭環境によって大きく異なります。
一般的には、3歳から5歳頃に寝かしつけから卒業するこどもが多いでしょう。この時期になると、睡眠のリズムが安定し、自分で眠りにつく力が育ってきます。また、保護者がいなくても安心して眠れるという心理的な成熟も進みます。幼稚園や保育園での生活を通じて、自立心が育つことも卒業を後押しします。
ただし、個人差は非常に大きいです。2歳で一人で寝られるようになるこどももいれば、小学校に入学しても寝かしつけが必要なこどももいます。兄弟がいる場合は早く卒業することもあれば、一人っ子の場合は長く必要とすることもあります。家庭の方針によっても異なり、一人寝を推奨する家庭もあれば、添い寝を大切にする家庭もあります。
海外と日本では、寝かしつけに対する考え方も異なります。欧米では早期から一人で寝る習慣をつけることが一般的ですが、日本では添い寝の文化があり、寝かしつけが長く続く傾向があります。どちらが正しいということはなく、それぞれの文化や家庭の価値観によるものです。
小学校入学が一つの目安になることが多いでしょう。学校生活が始まると、生活リズムが整い、自立心も育つため、寝かしつけから卒業しやすくなります。ただし、小学校に入学しても寝かしつけが必要なこどももおり、それ自体は問題ではありません。
寝かしつけが何歳まで必要かは個人差が大きく、一般的には3歳から5歳頃までに卒業することが多いですが、焦る必要はありません。
では、なぜこどもには寝かしつけが必要なのでしょうか。
寝かしつけが必要な理由
寝かしつけが必要な理由は、こどもの睡眠リズムの未熟さと、安心して眠るための心理的サポートの必要性です。
寝かしつけは、単なる習慣ではなく、こどもの発達段階において必要なサポートです。大人のように自分で眠りにつく力がまだ十分に育っていないこどもにとって、保護者のサポートは不可欠です。寝かしつけが必要な理由を理解することで、焦らず適切に対応できるようになります。
生理的な理由
寝かしつけが必要な生理的な理由は、こどもの睡眠リズムがまだ未熟なことです。
乳幼児期のこどもは、睡眠と覚醒のリズムが不安定です。大人は体内時計が整っており、夜になると自然と眠くなりますが、こどもはこの体内時計がまだ発達途中です。特に新生児期は、昼夜の区別がなく、2〜3時間おきに眠ったり起きたりを繰り返します。成長とともに徐々に夜にまとまって眠れるようになりますが、完全に安定するまでには時間がかかります。
入眠のメカニズムも未熟です。大人は眠気を感じると自然と眠りにつけますが、こどもは眠いのに眠れないという状態になることがあります。脳が覚醒から睡眠への切り替えをうまくできないのです。この切り替えをスムーズにするために、保護者のサポートが必要になります。
睡眠中の覚醒も頻繁に起こります。こどもは睡眠が浅く、レム睡眠とノンレム睡眠の切り替わりのタイミングで目を覚ましやすい傾向があります。大人は目を覚ましても自分で再び眠りにつけますが、こどもはその方法が分からず、保護者のサポートを必要とします。
体温調節機能も未熟です。こどもは大人よりも体温調節が難しく、暑すぎたり寒すぎたりすると眠れません。また、寝る前に体温が下がることで眠気が誘発されますが、この体温変化のリズムもまだ安定していません。保護者が適切な環境を整えることが、スムーズな入眠につながります。
生理的な睡眠リズムの未熟さが、寝かしつけを必要とする根本的な理由です。
心理的な理由
寝かしつけが必要な心理的な理由は、安心して眠るためのサポートが必要なことです。
眠りにつくことは、意識を手放すことを意味します。大人にとっては自然なことですが、こどもにとっては不安を伴う体験です。「このまま目を閉じたらどうなるのか」「保護者がいなくなってしまうのではないか」といった不安を感じることがあります。保護者がそばにいることで、安心して意識を手放し、眠りにつけるのです。
分離不安も大きく関係しています。特に1歳から3歳頃は、保護者と離れることへの不安が強い時期です。眠ることは保護者と離れることを意味するため、抵抗を示すこどもも多いでしょう。保護者がそばにいて、安心感を与えることで、眠りにつきやすくなります。
暗闇への恐怖も影響します。2歳から3歳頃になると想像力が発達し、暗闇に怖いものがいるのではないかと感じるようになります。一人で暗い部屋にいることが怖くて眠れないこどもも多く、保護者の存在が心の支えになります。
日中の刺激や出来事も、眠りを妨げることがあります。楽しいことがあった日、怖いことがあった日、新しい経験をした日など、脳が興奮していると眠りにつきにくくなります。保護者が優しく寄り添うことで、気持ちが落ち着き、眠りやすくなります。
安心感と信頼感が、良質な睡眠の基盤です。保護者がそばにいて見守ってくれるという安心感があることで、こどもは心身をリラックスさせ、深い眠りにつくことができます。寝かしつけは、この安心感を提供する重要な役割を果たしています。
寝かしつけは、こどもの睡眠リズムの未熟さと、安心して眠るための心理的サポートから必要です。
寝かしつけが必要な理由を理解すると、年齢によってどのように変化していくのかが見えてきます。
年齢別の寝かしつけの変化
寝かしつけの方法や必要性は、こどもの成長とともに段階的に変化していきます。
寝かしつけは一律に行うものではなく、こどもの発達段階に応じて変化させることが大切です。月齢や年齢によって、必要なサポートの内容も強さも異なります。年齢別の変化を理解することで、適切な寝かしつけができるようになります。
0歳から1歳頃
0歳から1歳頃は、寝かしつけが最も必要な時期です。
新生児期は、授乳やおむつ替えなどのケアをしながら寝かしつけます。この時期のこどもは、昼夜の区別がなく、2〜3時間おきに寝たり起きたりを繰り返します。抱っこして揺らす、おっぱいを吸わせる、子守唄を歌うなど、保護者の密接なサポートが必要です。
生後3か月頃からは、少しずつ昼夜のリズムができ始めます。夜にまとまって眠る時間が長くなり、昼間は起きている時間が増えます。ただし、まだ自分で眠りにつく力はなく、保護者の助けが不可欠です。抱っこやトントン、添い寝などで寝かしつけます。
生後6か月から1歳頃は、睡眠のリズムが安定してきますが、人見知りや後追いが始まる時期でもあります。保護者と離れることへの不安が強くなるため、寝かしつけに時間がかかることもあります。添い寝や背中をトントンするなど、安心感を与える方法が効果的です。
この時期は、寝かしつけのルーティンを確立することが大切です。お風呂に入る、絵本を読む、子守唄を歌う、部屋を暗くするなど、一連の流れを毎日同じように行うことで、こどもは「これから寝る時間だ」と理解できるようになります。
0歳から1歳頃は、保護者の密接なサポートが必要な時期であり、寝かしつけは欠かせません。
2歳から3歳頃
2歳から3歳頃になると、寝かしつけの方法が少しずつ変化し始めます。
この時期になると、言葉の理解が進み、「もう寝る時間だよ」という説明が理解できるようになります。生活リズムも安定してきて、夜は決まった時間に眠くなるようになります。ただし、まだ一人で眠りにつく力は十分ではなく、保護者のサポートが必要です。
イヤイヤ期と重なる時期でもあり、寝かしつけに抵抗することもあります。「まだ遊びたい」「寝たくない」と主張し、布団に入ることを拒否することもあるでしょう。こうしたときは、無理強いせず、寝る前の楽しいルーティンを作ることが効果的です。
添い寝は続けるものの、抱っこやトントンの時間は徐々に短くなっていきます。絵本を読んであげる、お話をする、手を握るなど、より穏やかな方法で寝かしつけられるようになります。こども自身も、眠りにつくまでの時間が短くなってきます。
一人で寝る練習を始める家庭もあります。最初は保護者が添い寝をして、眠りについたら別の部屋に移動する、徐々に添い寝の時間を短くするなど、段階的に一人寝に慣らしていきます。ただし、焦る必要はなく、こどものペースに合わせることが大切です。
2歳から3歳頃は、寝かしつけの方法が変化し、徐々に自立への準備が始まる時期です。
4歳以降
4歳以降になると、多くのこどもで寝かしつけの必要性が減少していきます。
4歳から5歳頃には、睡眠のリズムが安定し、夜になると自然と眠くなるようになります。自分で眠りにつく力も育ってきて、保護者のサポートが少なくても眠れるようになります。ただし、完全に一人で寝られるかどうかは、個人差が大きい時期です。
この時期になると、寝る前の儀式が確立されていることが多いでしょう。歯を磨く、パジャマに着替える、絵本を読む、電気を消すなど、一連の流れを自分で理解し、従えるようになります。保護者は見守るだけで、こども自身が準備を進められることもあります。
添い寝を続ける家庭もあれば、一人で寝る練習を本格的に始める家庭もあります。小学校入学を控えた時期であり、自立を促す意味でも、一人寝への移行を考える家庭が増えます。ただし、無理に急ぐ必要はなく、こどもの準備が整ってから始めることが大切です。
就学後も寝かしつけが必要なこどももいます。慎重な性格のこども、不安を感じやすいこども、きょうだいが生まれたばかりのこどもなどは、保護者のサポートを求めることがあります。これは甘えではなく、心理的なサポートが必要な時期であると理解しましょう。
このように、寝かしつけの方法や必要性は、こどもの成長とともに段階的に変化していきます。
年齢別の変化を理解したところで、寝かしつけをやめるタイミングはどう判断すればよいのでしょうか。
寝かしつけをやめるタイミング
寝かしつけをやめるタイミングは、こども自身が一人で眠れる準備ができているかどうかで判断します。
寝かしつけの卒業は、年齢だけで決めるものではありません。こどもの心身の発達状態、生活環境、心理的な準備など、様々な要素を総合的に見て判断することが大切です。無理に卒業させようとすると、かえって不安を増幅させ、睡眠の質を低下させることもあります。
こどもが一人で眠れる準備ができているサインとして、布団に入ってから眠るまでの時間が短くなることが挙げられます。添い寝をしていても、すぐに眠りにつけるようになったら、一人でも眠れる可能性が高くなっています。逆に、寝つきが悪く、長時間かかる場合は、まだサポートが必要です。
保護者がいなくても不安を示さないことも重要なサインです。「一人で寝てみる?」と聞いたときに、「うん」と答える、または「ちょっと怖いけどやってみる」という前向きな反応があれば、挑戦してみる時期かもしれません。強い拒否反応がある場合は、まだ準備が整っていません。
生活リズムが安定していることも条件のひとつです。毎日同じ時間に眠くなる、朝は自然と目が覚めるなど、体内時計が整っていることが、一人で眠る力の基盤になります。生活が不規則な状態では、一人寝への移行は難しくなります。
環境の変化がない時期を選ぶことも大切です。引っ越し、入園、きょうだいの誕生など、大きな変化がある時期は避けましょう。こどもが安定している時期に、段階的に進めることが成功の鍵です。
保護者自身の準備も必要です。寝かしつけをやめることで、こどもが不安を感じたときに対応する覚悟が必要です。最初は何度も起きてくることもあるでしょう。その都度、優しく対応できる心の余裕があるときに始めることが大切です。
寝かしつけをやめるタイミングは、年齢ではなくこどもの準備状態で判断し、環境が安定している時期を選ぶことが重要です。
タイミングが分かったところで、具体的にどのように卒業していけばよいのでしょうか。
寝かしつけから卒業する方法
寝かしつけからの卒業は、段階的に進めることで、こどもの不安を軽減しながら一人寝へ移行できます。
寝かしつけの卒業は、急にやめるのではなく、少しずつサポートを減らしていくことが成功の秘訣です。こどもが安心しながら、自分で眠る力を育てていけるよう、段階的なアプローチが効果的です。
まず、寝る前のルーティンをしっかり確立することから始めます。お風呂、歯磨き、パジャマに着替える、絵本を読む、電気を消すなど、毎日同じ流れを繰り返すことで、こどもは「これから寝る時間だ」と体が覚えます。このルーティンを自動化することが、一人寝の基盤になります。
添い寝の時間を徐々に短くしていく方法も効果的です。最初は眠りにつくまで添い寝をしていたのを、10分だけ添い寝してその後は別室に移動する、5分にする、布団に入れたらすぐに離れるというように、段階的に時間を短くしていきます。こどもには事前に「今日は○分だけね」と説明しておきましょう。
部屋の配置を変えることも一つの方法です。最初は同じ部屋で別の布団、次は隣の部屋でドアを開けたまま、最後はドアを閉めるというように、物理的な距離を徐々に広げていきます。こどもが呼べばすぐに来られる距離から始めることが安心につながります。
「見守っているよ」という言葉かけも有効です。「お母さん(お父さん)は隣の部屋にいるよ」「何かあったらすぐ来るからね」と伝えることで、完全に一人ではないという安心感を与えます。時々様子を見に行き、寝ていなくても「頑張っているね」と声をかけることも効果的です。
ご褒美制度を取り入れることも、年齢によっては有効です。「一人で寝られたらシールを貼ろう」「5回できたら好きなおやつを買おう」など、目に見える達成感を与えることで、モチベーションが高まります。ただし、物で釣るのではなく、頑張りを認めるためのツールとして使うことが大切です。
失敗しても責めないことが何より重要です。一人で寝られた日もあれば、怖くなって保護者を呼ぶ日もあるでしょう。それは自然なことです。「今日は怖かったんだね。また明日頑張ろうね」と優しく受け止めることで、こどもは安心して挑戦を続けられます。
段階的にサポートを減らしながら、こどもの不安に寄り添うことが、寝かしつけ卒業の基本です。
寝かしつけから卒業する方法を知ると、なかなか卒業できない場合はどうすればよいのかという疑問が浮かびます。
寝かしつけが長引いても問題ない?
寝かしつけが長引いても、日常生活に支障がなければ、それは個性や家庭の方針として受け入れてよいものです。
小学校に入学しても寝かしつけが必要なこどももいます。慎重な性格のこども、不安を感じやすいこども、きょうだいが生まれたばかりのこども、環境の変化があったこどもなどは、長く寝かしつけを必要とすることがあります。これは決して甘えや発達の遅れではなく、その子なりのペースです。
文化的な違いも考慮する必要があります。日本では添い寝の文化があり、保護者とこどもが一緒に寝ることを重視する家庭も多いでしょう。欧米のように早期から一人で寝ることが必ずしも正しいわけではなく、家庭の価値観によって選択してよいのです。
寝かしつけが長引くことのデメリットとして、保護者の時間がなくなることが挙げられます。夫婦の時間、自分の時間、家事の時間などが制限されることで、保護者のストレスが溜まることもあるでしょう。このストレスが大きい場合は、卒業を促すことも検討すべきです。
一方で、寝かしつけの時間を親子のコミュニケーションの時間として大切にする考え方もあります。日中は仕事や家事で忙しく、こどもとゆっくり過ごせない場合、寝る前の時間が貴重な親子の時間になることもあります。この時間を楽しめているなら、急いで卒業する必要はありません。
こども自身が一人で寝たいと言い出すまで待つという選択肢もあります。多くの場合、成長とともに自然と一人で寝たがるようになります。友達が一人で寝ていると知る、一人で寝ることがかっこいいと思うなど、きっかけは様々です。無理に急がず、こどものタイミングを待つことも一つの方法です。
ただし、こども自身が一人で寝たいのに寝られない、保護者がいないと不安で夜中に何度も起きるなど、睡眠の質が低下している場合は、専門家への相談も検討しましょう。睡眠は成長に不可欠であり、質の高い睡眠が取れることが最優先です。
寝かしつけが長引いても、家族全員が納得していて、こどもの睡眠の質に問題がなければ、焦って卒業させる必要はありません。
寝かしつけは多くの場合3歳から5歳頃までに卒業しますが、個人差が大きく、小学校入学後も必要なこどももいます。寝かしつけが必要な理由は、睡眠リズムの未熟さと心理的な安心を得るためのサポートの必要性であり、年齢とともに方法が変化していきます。
寝かしつけをやめるタイミングは、こどもの準備状態で判断し、段階的にサポートを減らしながら卒業を目指すことが効果的です。寝かしつけが長引いても、家族が納得していて睡眠の質に問題がなければ、それはその家庭の選択として尊重されるべきものです。
監修

略歴
| 2017年 | 本田右志理事長より右脳記憶教育講座を指南、「JUNKK認定マスター講師」取得 |
|---|---|
| 2018年 | 幼児教室アップルキッズをリビングサロンとして開講 |
| 2020年 | 佐々木進学教室Tokiwaみらい内へ移転、「佐々木進学教室幼児部」として再スタート |
| 2025年 | 一般社団法人 日本右脳記憶教育協会(JUNKK)代表理事に就任 |



